【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)

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第三十九話 エイルの里帰り②

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「では、高級ポーション一箱(木箱20本入り)につき、大金貨四枚四十万円でどうですか?」

 高級ポーションの販売価格は、大金貨一枚だ。買い取りに出せば、三割の金貨三枚が提示される。
 それを四割で買い取る算段だ。

 ダークエルフがこの拠点を出ることはないだろうから、秘密が漏れることはない。ただ私としては、彼らの能力を高く買う姿勢を見せ、協力を仰ぎたかっただけ。

「大金貨四枚…」
「出来高制で申し訳ありませんが、外界が落ち着くまではこの値段で買い取るつもりです。外界で起こっている今の騒動が落ち着き、高級ポーションが行き渡れば…少々買い取り額を下げるつもりですが」
「希少価値が上がれば、値段は自然と上がりますからね。でも私たちは、お金よりも物資が欲しいです。出来高制の給金分の物資の手配を頼めませんか?勿論、手間賃は引いてくださってかまいません」

 私の給金の提示に、否の姿勢を見せることなく、了承の意を示す返答を見せる。

「そうですか…では、高級ポーションの製薬を引き受けてくださるんですね?」

 言質を取る訳ではないが、彼らからの口から言葉を引き出したかった。

「はい。素材さえ持ち込んでいただければ、我々が総出で製薬させて頂きます」

 予想通りの返事に笑みを深め頷く私。彼らには、希望する物資の書類作成を頼むことにした。

「ありがとうございます。では、次に来るまでに物資のリスト化をお願いします」
「畏まりました」
「では、私はこれで失礼しますね」

 頭を下げる彼らを認めた私は、そう言うが早いか、転移でその場を離れた。
 だけど…これから行くピアチェルト大叔父が、既に聖国のやらかしに巻き込まれているとは思っていなかった。

 ♢

 ――クリーク連合共和国の首長邸

「モルドでは、高級ポーションの納品の半分以上が、水増しポーションだったと報告が来ています!」

 モルドとは、主にドワーフが住む街の名だ。山々が連なる地域で鉱石や炭鉱が盛んな所。クリーク連合共和国唯一の炭田がある場所でもある。鍛治をするにはうってつけというわけだ。

「セガンでは、三分の一が水増しポーションとの報告が来ています!」

 セガンはモルド周辺にある街で、温泉が有名な宿場町である。モルドを目指す商人が宿泊したり、湯治を目的とした旅人が来ることで栄えている。

「ザイドでは、ほぼ水増しポーションだったとの報告が――」
 次々と放たれる報告に、僕は痛みだした頭を抱える。(これは悩むことなく、早々に備蓄庫の開放かな?)

 クリーク連合共和国の首長邸宅の地下には、備蓄庫かある。そこには、麦などの食料の他にも、有事に備えてあらゆる物資を備蓄している。

 なんで、国がギルドの一大事に動くのか?という疑問が沸き上がるそこの貴方(誰?)。

 クリーク連合共和国は、他国と違う一面があるのだ。それは、クリーク連合共和国首長=商業ギルド本部グランドマスターの兼業だということ。 

 聖国は高級ポーションの素材を提供している関係で、薬師ギルドが聖国に本部を置いた。だが商業ギルドは、クリーク連合共和国が始まりなのだ。つまるところ、商業ギルドの創設者がクリーク連合共和国の初代首長だったという話。

 もちろん国政とギルド運営の資金は別々だし、なんなら、政庁と商業ギルド本部は建物も別である。緊急時は、限られた人員のみが通行出来る転移陣を使って連絡が可能だけどね。
 当たり前だが、聖国の猊下のように、私利私欲のために利用するのは許されていない。

 僕が現実逃避で色々と考えている間にも、無情にも積み重なる書類たち。


「凄いですねぇ…」

 そんな絶望に染まる墨の世界に響いた、異質場違いな声。

「エイル…訪問は玄関から来なさいと言っているだろ?」

 立場上、威厳を保たせた口調と声音を出した僕を、彼は鼻で笑った。

「これはこれは…でも、そんな持ちもしないキャラ変は辞めたほうがいいですよ?叔父上」
「『……』はぁ、今は怒る気力もないよ」

 見つめ合い数秒、僕が折れる形で挨拶は終了した。

「そうでしょうねぇ……しかし、これはポーション備蓄云々と言っていられない事態ですねぇ」
「ん?ポーションに当てがあるのかい?」

 僕の施策というか、予防策を知っていたエイル総称・甥の後半に呟き。そして、彼自身が『ポーション備蓄』を、これから行うかのような言葉。そんな言葉に惹かれて、僕は甥に迫る。

 総称ってのは、甥がなん人もいて面倒だから。歳を重ねれば、子孫も増えるわけで。だから実際の甥・姪以下は、全て総称が甥・姪である。

「当てがあるといえばありますが、現在ではなく今後の話ですね。早くても、半月はかかります」
「半月で高級ポーションが手に入れば、褒章もんだよ。継続的に可能なの?」

 素材は?と思うピアだが、今はそこには口を噤む。もしかしたら…という淡い期待程度だが、彼は嘘を吐かない。エルフ全般、嘘は吐けない。だから、藁にもすがる思いで期待してしまう。

「…この惨事を見ていれば、冗談で誂うのは悪趣味でしょう。頷くしかない現状ってのが、嫌ですけどね」

 しみじみと喋りながら、苦虫を噛み潰したような表情をするエイル。

「今回は、事情が事情だから仕方ないよ。掛け合い漫才は、また今度」

 いつもの漫才挨拶代わりがないのは、僕も変な感じがするけれどね。僕が肩を竦めれば、エイルは、不承不承頷いた。


「エイル様は、加護でも得られたのですか?」

 そんなやりとりをしていた僕たちに、今まで黙っていたシュテルが、ストレートにぶっ込んできたのだった。
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