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第四十話 エイルの里帰り③
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「――――というわけでして、私はミオの後見人兼師匠として、創世神ガイア様からの加護を得たわけです」
ローリーに話した説明をもう一度繰り返した…が、時間がないので、掻い摘んだ要点だけを話す。
「それは…なんというか、棚からぼた餅だね」
まず一言目の感想は、呆気にとられたものだった。いつも紡がれる軽口はどこへやら。流石の長寿ハイエルフにも、衝撃的展開だったらしい。
「ですが、この時期に現れたことがとても偶然とは思えません。ミオ様のことは、全て神の意思で起きた出来事ではありませんか?」
シュテルがそんな事を言ってきたが、私はそれに首を振る。彼はピアチェルト至上主義だが、神や精霊などの神聖な存在も等しく信仰するアニミズムでもある。
「いえ。神はミオを可愛く思ってはいますが、それと神の意思は関係ありません。現に、ミオの危険度を下げる為に、あらゆる手を尽くしていますから」
「…それが、エイルを後見人にすることと関係しているのかい?」
ピアチェルトの声に、エイルは優雅に微笑を讃えた。
「ミオの能力は、私の知識が役に立つそうです。それに、私にも役立つそうです」
「つまり、等価交換というわけかい?」
「そう思うには、憚られる程の加護を頂きましたが…お互いに理解し合い、支援や成長が出来ればと思っています」
「なるほど…それで加護を得たエイルは、ミオと一緒に聖域で高級ポーションの素材採取でもしてくるつもりかい?」
半月で高級ポーションが準備出来ると宣う自信があるのだ。余程の確証がないと、紡がれることはない言葉だ。高級ポーションは、素材もだが、製薬の腕も重要だ。
薬師として活動するには、薬師ギルドに登録しなければならない。そしてそれは、貴重な人材確保も成すシステムになっている。
その貴重な人材は、高級ポーション製薬が可能なレベルになれば、薬師ギルドのお抱えとして声がかかる。断ることも出来るが、それは建前だ。余程の伝手や権力がなければ、ギルドとのトラブルを避けて承諾の道しかない。
青田買いならぬ唾つけだ。
密かに作り手を確保出来ない理由がここにある。正攻法ではないダークエルフに、製薬を頼んだ理由の一つだ。それに、越えてはならない一線を越えた今の薬師ギルド本部の編成が完全に済むまでは、ミオの情報を渡すのはリスクが高い。不穏分子を片付けるまで、ミオには勉強に励んでもらおう。
「えぇ。今は、ミオと従魔のジョウが聖域で採取していますが…高級ポーションはついでですね」
「高級ポーションがついで?…まさか!?」
私の答えにポカンとしたピアチェルトだったが、すぐに我に返った。
高級ポーションの上は、特級=神の酒)か超特級=エリクサーしかないからだ。しかも素材採取・製薬共に極めて難しく、技術継承が困難。人族で製薬出来るのは、片手で数える人数である。
今回は、ミディアンナの薬の素材を取りに行くことがメインだが、ミオは、「高級ポーションの素材も取ってくるよ」と言っていた。しかし、一人と一匹では限界がある。今回の高級ポーションの素材は、ダークエルフの腕鳴らしと考えたらいいだろう。
「えぇ、そのまさかです。貴方も聞いたことがあるでしょう?サミュエルの娘ミディアンナのことはご存知でしょう?」
「あの、治癒師に匙を投げられた薄幸の美少女かい?」
「…こちらでは、そのような噂なんですね?」
可愛い少女ではあるが、薄幸は失礼である。しかも、今は運気を取り返す強運に見舞われているのだから。その噂の払拭の日も、近いだろう。
ローリーに話した説明をもう一度繰り返した…が、時間がないので、掻い摘んだ要点だけを話す。
「それは…なんというか、棚からぼた餅だね」
まず一言目の感想は、呆気にとられたものだった。いつも紡がれる軽口はどこへやら。流石の長寿ハイエルフにも、衝撃的展開だったらしい。
「ですが、この時期に現れたことがとても偶然とは思えません。ミオ様のことは、全て神の意思で起きた出来事ではありませんか?」
シュテルがそんな事を言ってきたが、私はそれに首を振る。彼はピアチェルト至上主義だが、神や精霊などの神聖な存在も等しく信仰するアニミズムでもある。
「いえ。神はミオを可愛く思ってはいますが、それと神の意思は関係ありません。現に、ミオの危険度を下げる為に、あらゆる手を尽くしていますから」
「…それが、エイルを後見人にすることと関係しているのかい?」
ピアチェルトの声に、エイルは優雅に微笑を讃えた。
「ミオの能力は、私の知識が役に立つそうです。それに、私にも役立つそうです」
「つまり、等価交換というわけかい?」
「そう思うには、憚られる程の加護を頂きましたが…お互いに理解し合い、支援や成長が出来ればと思っています」
「なるほど…それで加護を得たエイルは、ミオと一緒に聖域で高級ポーションの素材採取でもしてくるつもりかい?」
半月で高級ポーションが準備出来ると宣う自信があるのだ。余程の確証がないと、紡がれることはない言葉だ。高級ポーションは、素材もだが、製薬の腕も重要だ。
薬師として活動するには、薬師ギルドに登録しなければならない。そしてそれは、貴重な人材確保も成すシステムになっている。
その貴重な人材は、高級ポーション製薬が可能なレベルになれば、薬師ギルドのお抱えとして声がかかる。断ることも出来るが、それは建前だ。余程の伝手や権力がなければ、ギルドとのトラブルを避けて承諾の道しかない。
青田買いならぬ唾つけだ。
密かに作り手を確保出来ない理由がここにある。正攻法ではないダークエルフに、製薬を頼んだ理由の一つだ。それに、越えてはならない一線を越えた今の薬師ギルド本部の編成が完全に済むまでは、ミオの情報を渡すのはリスクが高い。不穏分子を片付けるまで、ミオには勉強に励んでもらおう。
「えぇ。今は、ミオと従魔のジョウが聖域で採取していますが…高級ポーションはついでですね」
「高級ポーションがついで?…まさか!?」
私の答えにポカンとしたピアチェルトだったが、すぐに我に返った。
高級ポーションの上は、特級=神の酒)か超特級=エリクサーしかないからだ。しかも素材採取・製薬共に極めて難しく、技術継承が困難。人族で製薬出来るのは、片手で数える人数である。
今回は、ミディアンナの薬の素材を取りに行くことがメインだが、ミオは、「高級ポーションの素材も取ってくるよ」と言っていた。しかし、一人と一匹では限界がある。今回の高級ポーションの素材は、ダークエルフの腕鳴らしと考えたらいいだろう。
「えぇ、そのまさかです。貴方も聞いたことがあるでしょう?サミュエルの娘ミディアンナのことはご存知でしょう?」
「あの、治癒師に匙を投げられた薄幸の美少女かい?」
「…こちらでは、そのような噂なんですね?」
可愛い少女ではあるが、薄幸は失礼である。しかも、今は運気を取り返す強運に見舞われているのだから。その噂の払拭の日も、近いだろう。
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