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追放聖女のもふもふスローライフ
第9話 小さな命と流星群
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チュン、チュン
窓から差し込む柔らかな朝の光と、小鳥のさえずりで目を覚ます。
「……おはようロゼ、おはようもふぞー」
「おはようリリアナ」
「モキュ」
すぐ横で眠っていた二人もゆっくりと目を開けた。
「さてと、朝ごはんにしようか」
私は三人分の朝食を用意し、窓辺には小鳥用の食事を置く。
こうして皆で食卓を囲み、他愛のない会話をしながら朝食を取る。すっかりといつもの日常だ。
さて、今日はどうしよう。
そうだ、今日は森の奥にあるハーブ園を確認しに行こう。まだ手持ちには余裕があるけど、一昨日の嵐の影響で大変なことになってないか心配だ。
私たち三人は森の中の獣道を進む。
そういえば、この森にはユニコーンなんかの幻獣も住んでるんだよね。私はこのあいだ泉で遭遇した純白の体躯を思い出す。
……遭遇したらちょっと困るな。気をつけて進まなきゃ。
湿った土の匂いと、濡れた木々のきらめきを感じながら獣道を進んでいくと――道の先に小さな影が見えた。
「キュキュゥ!」
もふぞーが鋭い声を上げる。
よく見ると、それは傷ついた小さなフクロウ……いや、耳のような羽角があるからミミズクだろうか。泥にまみれ、羽を震わせることもできず、ぐったりと横たわっていた。
胸が締め付けられる。
自然の世界は弱肉強食、弱ったものが命を落とすのは仕方のないこと。人間が軽々しく干渉すべきじゃない。可哀想だけど、このまま放置するしか……
……ああっ、もう! そんな事できるわけないじゃない!
目の前で必死に生きようとしている子を見捨てるなんてできない。
「……大丈夫。すぐ、治してあげるからね」
私はそっとミミズクの傍らに膝をつき、傷だらけの体に手をかざした。
掌から柔らかい光が広がり、温かな魔力が小さな体を包み込んでいく。
傷だらけだった身体は一瞬のうちに完治した。
――やっぱり回復力が上がってる……
やがてミミズクは目を開き、羽をばさりと震わせると、ふわりと宙に舞い上がった。
そして私の頭上をぐるぐると飛び回り、楽しそうに鳴き声を上げる。
……まるで「ありがとう」と言っているみたいに。
「……良かった」
そう呟くと、私たちは再び森の奥へと歩き始めた。
森の奥の天然のハーブ園は、少し折れてる草はあったものの大半は無事で、青々と茂っていた。
――ああ、命はこうして何度でも立ち上がるんだ。
私はそっと息を吐き、空を飛ぶ小さな影に目を細めた。
* * *
そろそろ屋敷内の掃除もしなきゃね。
まだ一階の奥と二階の大半が手つかずだった。まずは一階から掃除していこう。……階段の上り下りが面倒だというのは内緒だ。
「私も手伝う」
「キュキュゥ」
二人ともやる気満々だ。
「じゃあロゼは床のモップ掛けお願いね」
「うん、わかった」
ロゼはモップを構えて気合を入れる。
「もふぞーは……私たちの応援頼めるかな」
「キュキュゥ♪」
もふぞーは鳴き声をあげながらぴょんこぴょんこと飛び跳ねた。
私は部屋の物を整理しながら、棚の奥から一冊の本を見つけた。
「あ、これ……懐かしい」
それは小さい頃、夢中になって読んでいた物語――『聖女物語』。
この本を読んで、私は“聖女”に憧れるようになった。だから自分に聖女の力が発現したときは、心の底から嬉しかったのを覚えている。……まさか“無能聖女”と呼ばれ、追放されるなんて夢にも思わなかったけど。
ページをめくると、動物たちと仲良く心を通わせる聖女の挿絵が出てくる。
「……やっぱりこのくだりが一番好きなんだよね」
……あれ? 何か違和感が。
――大聖堂で教えられた“聖女の力”は「回復」「浄化」「祝福」「結界」の四つ。
動物と心を通わせるなんて、聖堂では一度も聞いたことがない。
うーん、この本の中の聖女様の能力はなんなんだろう?
「リリアナ、サボってる?」
おっと、どうやら本に夢中になってたみたいだ。
「……サボってないよ。早くお掃除しちゃわないとね」
* * *
日が沈み、汗と埃でドロドロになった身体を綺麗にするため、今日もまた森の泉に水浴びに来ていた。
さっそく私はいつものように服を脱ぎ、水面に身体を沈める。肌をなでる水はひんやりと柔らかく、汗も埃も一気に流れていくようだった。
「……ふぅ、気持ちいい」
いつものように、もふぞーはプカプカと浮いていた。
「私もきれいにする」
ロゼはそう言うとドレスを脱ぎ始める。
――今日はロゼも大分埃をかぶっちゃったしね。
服を脱ぐと、ムダ毛一つないすべすべした肌があらわになった。透き通った肌が月光に照らされ、陶器のように白く輝いている。うん、女の私から見てもきれいで羨ましい。
こうして私とロゼ、もふぞーは泉での水浴びを楽しむ。
「キャキュゥ!」
「わあ、すごい」
ロゼ達の声に空を見上げると、無数の流れ星が夜空を横切っていた。
――流星群。
すごい……。
そういえば、元の世界では「流れ星に願いを三回唱えると願いが叶う」なんて迷信があったけど、この世界にもあるのかな。
私は胸の中で、そっと願う。
――このまま、のんびり暮らせますように。
流星が夜空を流れ、森の奥でフクロウの声が響いた。
――明日も頑張ろうね、もふぞー、ロゼ。
私は小さくつぶやき、もふぞーの背をそっと撫でた。
窓から差し込む柔らかな朝の光と、小鳥のさえずりで目を覚ます。
「……おはようロゼ、おはようもふぞー」
「おはようリリアナ」
「モキュ」
すぐ横で眠っていた二人もゆっくりと目を開けた。
「さてと、朝ごはんにしようか」
私は三人分の朝食を用意し、窓辺には小鳥用の食事を置く。
こうして皆で食卓を囲み、他愛のない会話をしながら朝食を取る。すっかりといつもの日常だ。
さて、今日はどうしよう。
そうだ、今日は森の奥にあるハーブ園を確認しに行こう。まだ手持ちには余裕があるけど、一昨日の嵐の影響で大変なことになってないか心配だ。
私たち三人は森の中の獣道を進む。
そういえば、この森にはユニコーンなんかの幻獣も住んでるんだよね。私はこのあいだ泉で遭遇した純白の体躯を思い出す。
……遭遇したらちょっと困るな。気をつけて進まなきゃ。
湿った土の匂いと、濡れた木々のきらめきを感じながら獣道を進んでいくと――道の先に小さな影が見えた。
「キュキュゥ!」
もふぞーが鋭い声を上げる。
よく見ると、それは傷ついた小さなフクロウ……いや、耳のような羽角があるからミミズクだろうか。泥にまみれ、羽を震わせることもできず、ぐったりと横たわっていた。
胸が締め付けられる。
自然の世界は弱肉強食、弱ったものが命を落とすのは仕方のないこと。人間が軽々しく干渉すべきじゃない。可哀想だけど、このまま放置するしか……
……ああっ、もう! そんな事できるわけないじゃない!
目の前で必死に生きようとしている子を見捨てるなんてできない。
「……大丈夫。すぐ、治してあげるからね」
私はそっとミミズクの傍らに膝をつき、傷だらけの体に手をかざした。
掌から柔らかい光が広がり、温かな魔力が小さな体を包み込んでいく。
傷だらけだった身体は一瞬のうちに完治した。
――やっぱり回復力が上がってる……
やがてミミズクは目を開き、羽をばさりと震わせると、ふわりと宙に舞い上がった。
そして私の頭上をぐるぐると飛び回り、楽しそうに鳴き声を上げる。
……まるで「ありがとう」と言っているみたいに。
「……良かった」
そう呟くと、私たちは再び森の奥へと歩き始めた。
森の奥の天然のハーブ園は、少し折れてる草はあったものの大半は無事で、青々と茂っていた。
――ああ、命はこうして何度でも立ち上がるんだ。
私はそっと息を吐き、空を飛ぶ小さな影に目を細めた。
* * *
そろそろ屋敷内の掃除もしなきゃね。
まだ一階の奥と二階の大半が手つかずだった。まずは一階から掃除していこう。……階段の上り下りが面倒だというのは内緒だ。
「私も手伝う」
「キュキュゥ」
二人ともやる気満々だ。
「じゃあロゼは床のモップ掛けお願いね」
「うん、わかった」
ロゼはモップを構えて気合を入れる。
「もふぞーは……私たちの応援頼めるかな」
「キュキュゥ♪」
もふぞーは鳴き声をあげながらぴょんこぴょんこと飛び跳ねた。
私は部屋の物を整理しながら、棚の奥から一冊の本を見つけた。
「あ、これ……懐かしい」
それは小さい頃、夢中になって読んでいた物語――『聖女物語』。
この本を読んで、私は“聖女”に憧れるようになった。だから自分に聖女の力が発現したときは、心の底から嬉しかったのを覚えている。……まさか“無能聖女”と呼ばれ、追放されるなんて夢にも思わなかったけど。
ページをめくると、動物たちと仲良く心を通わせる聖女の挿絵が出てくる。
「……やっぱりこのくだりが一番好きなんだよね」
……あれ? 何か違和感が。
――大聖堂で教えられた“聖女の力”は「回復」「浄化」「祝福」「結界」の四つ。
動物と心を通わせるなんて、聖堂では一度も聞いたことがない。
うーん、この本の中の聖女様の能力はなんなんだろう?
「リリアナ、サボってる?」
おっと、どうやら本に夢中になってたみたいだ。
「……サボってないよ。早くお掃除しちゃわないとね」
* * *
日が沈み、汗と埃でドロドロになった身体を綺麗にするため、今日もまた森の泉に水浴びに来ていた。
さっそく私はいつものように服を脱ぎ、水面に身体を沈める。肌をなでる水はひんやりと柔らかく、汗も埃も一気に流れていくようだった。
「……ふぅ、気持ちいい」
いつものように、もふぞーはプカプカと浮いていた。
「私もきれいにする」
ロゼはそう言うとドレスを脱ぎ始める。
――今日はロゼも大分埃をかぶっちゃったしね。
服を脱ぐと、ムダ毛一つないすべすべした肌があらわになった。透き通った肌が月光に照らされ、陶器のように白く輝いている。うん、女の私から見てもきれいで羨ましい。
こうして私とロゼ、もふぞーは泉での水浴びを楽しむ。
「キャキュゥ!」
「わあ、すごい」
ロゼ達の声に空を見上げると、無数の流れ星が夜空を横切っていた。
――流星群。
すごい……。
そういえば、元の世界では「流れ星に願いを三回唱えると願いが叶う」なんて迷信があったけど、この世界にもあるのかな。
私は胸の中で、そっと願う。
――このまま、のんびり暮らせますように。
流星が夜空を流れ、森の奥でフクロウの声が響いた。
――明日も頑張ろうね、もふぞー、ロゼ。
私は小さくつぶやき、もふぞーの背をそっと撫でた。
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