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追放聖女のもふもふスローライフ
第10話 新しい同居人と初めての服
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チュン、チュン
窓から差し込む柔らかな朝の光と、小鳥のさえずりで目を覚ます。
「……おはようロゼ、おはようもふぞー」
「おはようリリアナ」
「モキュ」
すぐ横で眠っていた二人もゆっくりと目を開けた。
「さてと、朝ごはんにしようか」
私は三人分の朝食を用意し、窓辺には小鳥用の食事を置く。すぐに数羽が寄ってきてついばみ始める。
こうして皆で食卓を囲み、他愛のない会話をしながら朝食を取る。いつもの日常だ。
……そろそろ、ポトフは飽きてきたけど。いや、でもポトフ、楽なんだよなぁ……
まあ、外国人は大体毎日同じような食事だって聞くし。バリエーション豊かな食事を摂りたいと思うのはやっぱり元日本人故の性なのだろうか。
食事を終えて雑貨屋へ行く準備をしていると、玄関の扉がコツコツと叩かれた。
こんな時間に誰だろう?
首をかしげつつ扉を開けると――そこに立っていたのは、ボロボロの布切れを身にまとった、私と同じくらいの年頃の女の子だった。
茶色のショートカット。左右にぴょこんと跳ねた毛が、耳のように見える。
「えっと……あなたは?」
「私、昨日あなたに助けてもらったミミズクです! 恩返しをしたくてやってきました!」
「……え?」
……昨日のミミズク? なんで人型?
鶴の恩返しならぬ、ミミズクの恩返し……? いや、これ正体バレたらダメなやつでは?
「えっと、昨日のミミズク……なんだよね? どうして人間の姿に?」
「わかりません! ただ、あなたに恩返ししたいって強く思ってたら、気づいたらこの姿になってました!」
……その時、不思議なことが起こった的な?
まあいいや。とりあえず自己紹介しておこう。この子の名前も知りたいし。
「私はリリアナ。あなたは……?」
「えっと、人間の名前はありません。もしよければ……リリアナさんにつけてもらえたら嬉しいです」
……なんだろう。ここで名前をつけたら、もう引き返せないような気がする。
でも、じっと見つめてくる瞳は真剣そのものだ。
「……じゃあ、“ミミィ”でどうかな?」
うん、ミミズクだからミミィ。我ながら安直なネーミングだ。
「ミミィ……! いい名前です! ありがとうございます、リリアナさん!」
「リリアナでいいよ。それで、ミミィは恩返しって何ができるの?」
ミミィは少し考えてから、胸を張った。
「ネズミを捕ることができます! あとは夜目が効きます!」
「……うん、まあ、ミミズクだしね」
うーん、ネズミ駆除には役に立ちそうかな?
それにしても……着てるのはボロボロの布切れ一枚。中には、何も身につけてなさそうだ。
「えっと……元の姿には戻れる?」
「わかりません!」
ミミィはその場で目をぎゅっとつぶり、全身をプルプルさせながらウンウンと唸った。
そして――
「……無理みたいです」
肩を落とし、しょんぼりとうなだれる。
「そっか……」
この姿のままの女の子をほっぽり出すわけにもいかない。
ましてや恩返しに来てくれた子を無碍に追い返すなんて、できるはずもない。
――やっぱり、人が動物に手を差し伸べるってことは、それなりの覚悟がいるんだなぁ。
私はそう心の中でつぶやき、そっとため息をついた。
……いや、でも想定外でしょ!? こんな展開!
ぐうぅぅ
その時、ミミィのお腹の虫が盛大に鳴いた。
「……ポトフ食べる?」
元はミミズクの彼女の口に合うかは分からない。でも、人間になったのならきっと食べれるだろう。
「……すみません、いただきます」
ミミィは控えめにそう言うと美味しそうにポトフを平らげる。
「これ、美味しいです」
うん、口にあったようで良かった。
服もそのままってわけにもいかないよね。
とは言え、私も服はそんなに持ってない。私自身、見習い聖女用のローブを普段着にしている有り様だ。
ローブを作ったり綻びなどを直すのは見習い聖女の仕事だったので裁縫の心得はあったが、服を作るための布がない。
うん、ちょうど雑貨屋へ行くところだったからちょうどいい服を見繕ってこよう。
「それじゃあ雑貨屋行ってくるから、後のことはよろしく」
「キュキュゥ!」
「あいあいさー」
もふぞーとロゼに任せて、私はケイトさんの雑貨屋へと向かう。
ポーションの代金を受け取り、補充を済ませるとケイトさんに聞いてみた。
「ケイトさん、服って置いてますか?」
「服? リリアナが欲しいのかい? その聖女のローブ、似合ってるけどね」
「いえ、私じゃなくて……新しい同居人ができたんです。その子、ほとんど服を持ってなくて」
正体までは伏せて、事情だけ簡単に伝える。
「サイズはどのくらいだい?」
「あ、私と同じくらいで」
そう告げると、ケイトさんは奥からいくつか動きやすそうな服を出してくれた。厚手のチュニックに、やわらかな布のスカート、柔らかな布の下着。派手さはないが、淡い色合いで落ち着いていて、着やすそうなものばかりだ。
「うん……これなら動きやすそう」
私は数着を選んで買い取り、袋を抱えて屋敷へ戻った。
――戻ると、部屋は見事に散らかっていた。
ロゼともふぞー、そしてミミィの三人で、どうやらドタバタと遊んでいたらしい。
「はぁ……まずは片付けようか」
声をかけると、ロゼともふぞーはシュンとして片付け始めた。……もっとも、もふぞーはほとんど役に立っていないけど。
私はミミィに向き直る。
「それじゃあ、まず体をきれいにしようか」
「……はい」
私はミミィのボロ切れを剥ぎ取ると同時にショックを受けた。
体格や胸の大きさは私と変わらない。でも下は私と違ってすでに大人だった。
あれ? 私、発育遅い……?
ま、まあ、個人差はあるよね……
私は、そう自分に言い聞かせると、布タオルで彼女の身体を拭き、きれいにする。
きれいになったら着かたを教えながら、服を着せていく。
「コレでどうかな?」
「とても、すてきだと思います」
そうは言いつつも、少し動きがぎこちない。服を着ることに慣れていないのだろう。
まあ……そのうちに慣れていくかな。
その後は、いつものようにポーション作りをして過ごした。
ミミィもそれを興味深そうに見ていた。
* * *
日が沈み、いつものように森の泉に水浴びをする。
さっそく私とロゼは服を脱ぎ、水面に身体を沈める。肌をなでる水はひんやりと柔らかく気持ちがいい。
「……ふぅ、気持ちいい」
もふぞーも気持ちが良さそうに水の上にプカプカと浮かんでいる
初めてのミミィもゆっくりと裸になり、泉へと身を浸した。
「気持ちいいですね」
ミミィが言う。
「「うん」」
「キュキュゥ」
水面に映る星々が揺れ、見上げれば、森の隙間から夜空いっぱいの星が瞬いている。
「そう言えば昨日、星が流れるのを見たんですよ」
そっかミミィもあれを見てたんだね。
「綺麗だったね」
「はい」
私たちは水浴びをしながら、優しく笑い合った。
――明日も頑張ろうね。
私は小さくつぶやき、もふぞーの背をそっと撫でた。
窓から差し込む柔らかな朝の光と、小鳥のさえずりで目を覚ます。
「……おはようロゼ、おはようもふぞー」
「おはようリリアナ」
「モキュ」
すぐ横で眠っていた二人もゆっくりと目を開けた。
「さてと、朝ごはんにしようか」
私は三人分の朝食を用意し、窓辺には小鳥用の食事を置く。すぐに数羽が寄ってきてついばみ始める。
こうして皆で食卓を囲み、他愛のない会話をしながら朝食を取る。いつもの日常だ。
……そろそろ、ポトフは飽きてきたけど。いや、でもポトフ、楽なんだよなぁ……
まあ、外国人は大体毎日同じような食事だって聞くし。バリエーション豊かな食事を摂りたいと思うのはやっぱり元日本人故の性なのだろうか。
食事を終えて雑貨屋へ行く準備をしていると、玄関の扉がコツコツと叩かれた。
こんな時間に誰だろう?
首をかしげつつ扉を開けると――そこに立っていたのは、ボロボロの布切れを身にまとった、私と同じくらいの年頃の女の子だった。
茶色のショートカット。左右にぴょこんと跳ねた毛が、耳のように見える。
「えっと……あなたは?」
「私、昨日あなたに助けてもらったミミズクです! 恩返しをしたくてやってきました!」
「……え?」
……昨日のミミズク? なんで人型?
鶴の恩返しならぬ、ミミズクの恩返し……? いや、これ正体バレたらダメなやつでは?
「えっと、昨日のミミズク……なんだよね? どうして人間の姿に?」
「わかりません! ただ、あなたに恩返ししたいって強く思ってたら、気づいたらこの姿になってました!」
……その時、不思議なことが起こった的な?
まあいいや。とりあえず自己紹介しておこう。この子の名前も知りたいし。
「私はリリアナ。あなたは……?」
「えっと、人間の名前はありません。もしよければ……リリアナさんにつけてもらえたら嬉しいです」
……なんだろう。ここで名前をつけたら、もう引き返せないような気がする。
でも、じっと見つめてくる瞳は真剣そのものだ。
「……じゃあ、“ミミィ”でどうかな?」
うん、ミミズクだからミミィ。我ながら安直なネーミングだ。
「ミミィ……! いい名前です! ありがとうございます、リリアナさん!」
「リリアナでいいよ。それで、ミミィは恩返しって何ができるの?」
ミミィは少し考えてから、胸を張った。
「ネズミを捕ることができます! あとは夜目が効きます!」
「……うん、まあ、ミミズクだしね」
うーん、ネズミ駆除には役に立ちそうかな?
それにしても……着てるのはボロボロの布切れ一枚。中には、何も身につけてなさそうだ。
「えっと……元の姿には戻れる?」
「わかりません!」
ミミィはその場で目をぎゅっとつぶり、全身をプルプルさせながらウンウンと唸った。
そして――
「……無理みたいです」
肩を落とし、しょんぼりとうなだれる。
「そっか……」
この姿のままの女の子をほっぽり出すわけにもいかない。
ましてや恩返しに来てくれた子を無碍に追い返すなんて、できるはずもない。
――やっぱり、人が動物に手を差し伸べるってことは、それなりの覚悟がいるんだなぁ。
私はそう心の中でつぶやき、そっとため息をついた。
……いや、でも想定外でしょ!? こんな展開!
ぐうぅぅ
その時、ミミィのお腹の虫が盛大に鳴いた。
「……ポトフ食べる?」
元はミミズクの彼女の口に合うかは分からない。でも、人間になったのならきっと食べれるだろう。
「……すみません、いただきます」
ミミィは控えめにそう言うと美味しそうにポトフを平らげる。
「これ、美味しいです」
うん、口にあったようで良かった。
服もそのままってわけにもいかないよね。
とは言え、私も服はそんなに持ってない。私自身、見習い聖女用のローブを普段着にしている有り様だ。
ローブを作ったり綻びなどを直すのは見習い聖女の仕事だったので裁縫の心得はあったが、服を作るための布がない。
うん、ちょうど雑貨屋へ行くところだったからちょうどいい服を見繕ってこよう。
「それじゃあ雑貨屋行ってくるから、後のことはよろしく」
「キュキュゥ!」
「あいあいさー」
もふぞーとロゼに任せて、私はケイトさんの雑貨屋へと向かう。
ポーションの代金を受け取り、補充を済ませるとケイトさんに聞いてみた。
「ケイトさん、服って置いてますか?」
「服? リリアナが欲しいのかい? その聖女のローブ、似合ってるけどね」
「いえ、私じゃなくて……新しい同居人ができたんです。その子、ほとんど服を持ってなくて」
正体までは伏せて、事情だけ簡単に伝える。
「サイズはどのくらいだい?」
「あ、私と同じくらいで」
そう告げると、ケイトさんは奥からいくつか動きやすそうな服を出してくれた。厚手のチュニックに、やわらかな布のスカート、柔らかな布の下着。派手さはないが、淡い色合いで落ち着いていて、着やすそうなものばかりだ。
「うん……これなら動きやすそう」
私は数着を選んで買い取り、袋を抱えて屋敷へ戻った。
――戻ると、部屋は見事に散らかっていた。
ロゼともふぞー、そしてミミィの三人で、どうやらドタバタと遊んでいたらしい。
「はぁ……まずは片付けようか」
声をかけると、ロゼともふぞーはシュンとして片付け始めた。……もっとも、もふぞーはほとんど役に立っていないけど。
私はミミィに向き直る。
「それじゃあ、まず体をきれいにしようか」
「……はい」
私はミミィのボロ切れを剥ぎ取ると同時にショックを受けた。
体格や胸の大きさは私と変わらない。でも下は私と違ってすでに大人だった。
あれ? 私、発育遅い……?
ま、まあ、個人差はあるよね……
私は、そう自分に言い聞かせると、布タオルで彼女の身体を拭き、きれいにする。
きれいになったら着かたを教えながら、服を着せていく。
「コレでどうかな?」
「とても、すてきだと思います」
そうは言いつつも、少し動きがぎこちない。服を着ることに慣れていないのだろう。
まあ……そのうちに慣れていくかな。
その後は、いつものようにポーション作りをして過ごした。
ミミィもそれを興味深そうに見ていた。
* * *
日が沈み、いつものように森の泉に水浴びをする。
さっそく私とロゼは服を脱ぎ、水面に身体を沈める。肌をなでる水はひんやりと柔らかく気持ちがいい。
「……ふぅ、気持ちいい」
もふぞーも気持ちが良さそうに水の上にプカプカと浮かんでいる
初めてのミミィもゆっくりと裸になり、泉へと身を浸した。
「気持ちいいですね」
ミミィが言う。
「「うん」」
「キュキュゥ」
水面に映る星々が揺れ、見上げれば、森の隙間から夜空いっぱいの星が瞬いている。
「そう言えば昨日、星が流れるのを見たんですよ」
そっかミミィもあれを見てたんだね。
「綺麗だったね」
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