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追放聖女のもふもふスローライフ
第20話 小さな弟子と初めてのポーション作り
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チュンチュン
小鳥たちのさえずりと、朝の光で目を覚ます。
私は飛び起きると、真っ先にミミィの様子を確認する。
「……おはようございます」
ミミィは寝ぼけ眼で挨拶する。
特に変わった様子もなさそうだ。安心して胸をなでおろす。
……ふぅ、ちょっと気をもみ過ぎかな?
「おはようリリアナ」
「キュキュゥ」
ロゼともふぞーの声がして、いつもの日常が帰ってきたことを実感した。
* * *
食後はポーション補充に雑貨屋へと足を運ぶ。
「おはようリリアナ、ミミィちゃんは大丈夫なのかい?」
カウンターの奥からケイトさんが声をかけたきた。
「はい。もう大丈夫だと思います」
「そいつはよかった」
ケイトさんは安堵の笑みを浮かべる。
……ミミィのこと、心配してくれたんだ。
「ご心配ありがとうございます」
「いやいや、当たり前さ。あんた達ももう、大事な村の一員なんだからね」
その言葉にじんわりと胸の奥が温かくなる。
「それはそうと、あんたに頼みたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「アリサに、聖女の勉強を教えてやってほしいんだ」
「アリサちゃんに? 私が?」
思わず聞き返す。確かにアリサちゃんは聖女に憧れてる。でも力が発現するかどうかはわからないし……何より私は“無能聖女”。私よりも他の人に教わったほうがいいんじゃ?
「ああ、あの子はあんたに憧れてる。だからあんたに頼みたいんだ」
「私にっ!?」
えっ!? アリサちゃんが憧れてるのって、聖女じゃなく私!? なんで!?
自分が誰かの憧れになれるなんて、考えてもみなかった。
「でも、力が発現しないと聖女には……」
「力を使わないことだけでいいのさ。薬草の扱い方とかね」
「……それなら。わかりました、頑張らせていただきます」
「よし、そうと決まれば……アリサー、ちょっと来なさい」
ケイトさんが奥に向かって呼びかけると、トタトタと軽い足音が響いてきた。
「あ、おねーちゃん! おはようございます」
「おねーちゃんが聖女になるための勉強、教えてくれるって」
「ホント!? ありがとう、おねーちゃん」
アリサちゃんは目をキラキラ輝かせ、私を見上げる。
「基本的なことしか教えられないし、聖女の力が使えるようになるかは分からないよ?。それでもいい?」
「うん!」
元気いっぱいの返事に、思わず笑みがこぼれる。
……じゃあ、どうしようか?
「……えっと、この後ポーション作りするんだけど、見に来る?」
「うん!」
「それじゃあ、アリサちゃん、お借りしますね」
「ああ、よろしく頼むよ」
* * *
帰り道。
私は少し勇気を出して尋ねてみた。
「アリサちゃんは“聖女様”に憧れてるんだよね?」
「うん! おねーちゃんみたいにカッコイイ聖女様になりたい!」
……うわっ、直球ドストレートだ。
その真っすぐな言葉には、私への憧れがビシビシと感じられた。
私は全然格好良くなんかない。でも、その期待には応えたいと思った。
「これから聖女の勉強をさせてもらうアリサです。よろしくお願いします!」
屋敷に戻ると、アリサちゃんは元気よくみんなに頭を下げた。
……まあ、村の広場では何度も一緒に遊んだ仲なんだけど。こういう場面できちんとできるのは、やっぱりケイトさんのしつけのおかげかな。あの人、そういうところ厳しそうだし。
「それじゃあ、さっそくポーション作りを始めようか」
「うん……はいっ!」
緊張と期待が入り混じった返事。うん、やっぱり可愛い。
「最初は私が実演してみせるね。よく見てて」
私は慣れた手つきで回復ポーションの工程を進める。
乾燥させたハーブを丁寧にすりつぶし、浄化した水に溶かす。小瓶に注ぎ入れ、手をかざして回復魔法を込めると、液体がふわりと光を帯びた。
「わぁ……!」
アリサちゃんの口から感嘆の声がもれる。そのきらきらした瞳に、思わず私まで背筋が伸びた。
「こんな感じ。どうだった?」
「すごかったです! ポーションって、こうやってできるんですね……!」
その真っ直ぐな反応に、胸がくすぐったくなる。
……私なんかが“先生役”で本当にいいのかな。でも、期待されている以上、ちゃんと応えなきゃ。
「じゃあ次は、アリサちゃんにも覚えてもらいたいポーションを作ろう。今度は解熱ポーションね」
「はい!」
ぴしっと背筋を伸ばすアリサちゃん。真剣さが伝わってくる。
その様子に「返事はサー!イエッサー!だ」なんて科白が頭をよぎるが、私は鬼軍曹になる気はないし、この世界では通用しないネタなので胸の中にしまっておく。
「使うのは、この“解熱草”。やることはさっきとほとんど同じ。ただし魔力を込めないから、聖女の力がなくても作れるんだよ。だから、誰でも覚えておいて損はないの」
「……誰でも……」
アリサちゃんは小さくつぶやき、握りしめた手に力を込めた。
「じゃあ、まずは私が一つ作ってみせるね。そのあと、アリサちゃんにもやってもらおう」
「はい!」
私は見本として解熱ポーションを作り終えると、道具をアリサちゃんに手渡した。
彼女は小さな体ですり鉢に向かい、気合を入れるように「えいっ」と掛け声をあげながら、解熱草を一所懸命すりつぶしていく。
「これで、どうですか?」
「うーん、もうちょっと細かいほうがいいかな。粗いと水に溶けにくくなっちゃうから」
「はい!」
返事と同時に、さらに力を込めるアリサちゃん。小さな腕を目いっぱい動かして頑張る姿に、思わず微笑んでしまう。
十分にすりつぶしたあと、浄化した水に薬草を溶かし、慎重にかき混ぜていった。
「ポーション作りって、思ってたより大変なんですね……」
「そうだね。力もいるし、丁寧さも必要だよ」
額に汗をにじませながら、それでも真剣に取り組むアリサちゃんを見ていると――自分が初めてポーションを作ったときのことを思い出して、なんだか胸がじんわりと温かくなった。
* * *
ポーション作りを教え終えたあと、みんなでひとしきり遊んで、私はアリサちゃんを雑貨屋まで送り届けた。
アリサちゃんが作った初めてのポーションを受け取ったケイトさんは嬉しそうにアリサちゃんの頭を撫でた。アリサちゃんも誇らしげだった。
そして今は、のんびりと水浴びの時間だ。
「アリサちゃん、頑張ってましたね!」
「そうだねぇ」
「憧れのリリアナみたいになれるといいね」
……なんか、そう言われると余計に照れくさい。
「リリアナ、照れてる?」
「あーもうっ!」
私はロゼにぱしゃっと水をかける。
その瞬間、ロゼが笑いながら応戦してきて――こうして、いつもの水かけっこが始まった。
――明日もいい日になるといいね、もふぞー。
私は小さくつぶやき、もふぞーの背をそっと撫でた。
小鳥たちのさえずりと、朝の光で目を覚ます。
私は飛び起きると、真っ先にミミィの様子を確認する。
「……おはようございます」
ミミィは寝ぼけ眼で挨拶する。
特に変わった様子もなさそうだ。安心して胸をなでおろす。
……ふぅ、ちょっと気をもみ過ぎかな?
「おはようリリアナ」
「キュキュゥ」
ロゼともふぞーの声がして、いつもの日常が帰ってきたことを実感した。
* * *
食後はポーション補充に雑貨屋へと足を運ぶ。
「おはようリリアナ、ミミィちゃんは大丈夫なのかい?」
カウンターの奥からケイトさんが声をかけたきた。
「はい。もう大丈夫だと思います」
「そいつはよかった」
ケイトさんは安堵の笑みを浮かべる。
……ミミィのこと、心配してくれたんだ。
「ご心配ありがとうございます」
「いやいや、当たり前さ。あんた達ももう、大事な村の一員なんだからね」
その言葉にじんわりと胸の奥が温かくなる。
「それはそうと、あんたに頼みたいことがあるんだけど」
「なんですか?」
「アリサに、聖女の勉強を教えてやってほしいんだ」
「アリサちゃんに? 私が?」
思わず聞き返す。確かにアリサちゃんは聖女に憧れてる。でも力が発現するかどうかはわからないし……何より私は“無能聖女”。私よりも他の人に教わったほうがいいんじゃ?
「ああ、あの子はあんたに憧れてる。だからあんたに頼みたいんだ」
「私にっ!?」
えっ!? アリサちゃんが憧れてるのって、聖女じゃなく私!? なんで!?
自分が誰かの憧れになれるなんて、考えてもみなかった。
「でも、力が発現しないと聖女には……」
「力を使わないことだけでいいのさ。薬草の扱い方とかね」
「……それなら。わかりました、頑張らせていただきます」
「よし、そうと決まれば……アリサー、ちょっと来なさい」
ケイトさんが奥に向かって呼びかけると、トタトタと軽い足音が響いてきた。
「あ、おねーちゃん! おはようございます」
「おねーちゃんが聖女になるための勉強、教えてくれるって」
「ホント!? ありがとう、おねーちゃん」
アリサちゃんは目をキラキラ輝かせ、私を見上げる。
「基本的なことしか教えられないし、聖女の力が使えるようになるかは分からないよ?。それでもいい?」
「うん!」
元気いっぱいの返事に、思わず笑みがこぼれる。
……じゃあ、どうしようか?
「……えっと、この後ポーション作りするんだけど、見に来る?」
「うん!」
「それじゃあ、アリサちゃん、お借りしますね」
「ああ、よろしく頼むよ」
* * *
帰り道。
私は少し勇気を出して尋ねてみた。
「アリサちゃんは“聖女様”に憧れてるんだよね?」
「うん! おねーちゃんみたいにカッコイイ聖女様になりたい!」
……うわっ、直球ドストレートだ。
その真っすぐな言葉には、私への憧れがビシビシと感じられた。
私は全然格好良くなんかない。でも、その期待には応えたいと思った。
「これから聖女の勉強をさせてもらうアリサです。よろしくお願いします!」
屋敷に戻ると、アリサちゃんは元気よくみんなに頭を下げた。
……まあ、村の広場では何度も一緒に遊んだ仲なんだけど。こういう場面できちんとできるのは、やっぱりケイトさんのしつけのおかげかな。あの人、そういうところ厳しそうだし。
「それじゃあ、さっそくポーション作りを始めようか」
「うん……はいっ!」
緊張と期待が入り混じった返事。うん、やっぱり可愛い。
「最初は私が実演してみせるね。よく見てて」
私は慣れた手つきで回復ポーションの工程を進める。
乾燥させたハーブを丁寧にすりつぶし、浄化した水に溶かす。小瓶に注ぎ入れ、手をかざして回復魔法を込めると、液体がふわりと光を帯びた。
「わぁ……!」
アリサちゃんの口から感嘆の声がもれる。そのきらきらした瞳に、思わず私まで背筋が伸びた。
「こんな感じ。どうだった?」
「すごかったです! ポーションって、こうやってできるんですね……!」
その真っ直ぐな反応に、胸がくすぐったくなる。
……私なんかが“先生役”で本当にいいのかな。でも、期待されている以上、ちゃんと応えなきゃ。
「じゃあ次は、アリサちゃんにも覚えてもらいたいポーションを作ろう。今度は解熱ポーションね」
「はい!」
ぴしっと背筋を伸ばすアリサちゃん。真剣さが伝わってくる。
その様子に「返事はサー!イエッサー!だ」なんて科白が頭をよぎるが、私は鬼軍曹になる気はないし、この世界では通用しないネタなので胸の中にしまっておく。
「使うのは、この“解熱草”。やることはさっきとほとんど同じ。ただし魔力を込めないから、聖女の力がなくても作れるんだよ。だから、誰でも覚えておいて損はないの」
「……誰でも……」
アリサちゃんは小さくつぶやき、握りしめた手に力を込めた。
「じゃあ、まずは私が一つ作ってみせるね。そのあと、アリサちゃんにもやってもらおう」
「はい!」
私は見本として解熱ポーションを作り終えると、道具をアリサちゃんに手渡した。
彼女は小さな体ですり鉢に向かい、気合を入れるように「えいっ」と掛け声をあげながら、解熱草を一所懸命すりつぶしていく。
「これで、どうですか?」
「うーん、もうちょっと細かいほうがいいかな。粗いと水に溶けにくくなっちゃうから」
「はい!」
返事と同時に、さらに力を込めるアリサちゃん。小さな腕を目いっぱい動かして頑張る姿に、思わず微笑んでしまう。
十分にすりつぶしたあと、浄化した水に薬草を溶かし、慎重にかき混ぜていった。
「ポーション作りって、思ってたより大変なんですね……」
「そうだね。力もいるし、丁寧さも必要だよ」
額に汗をにじませながら、それでも真剣に取り組むアリサちゃんを見ていると――自分が初めてポーションを作ったときのことを思い出して、なんだか胸がじんわりと温かくなった。
* * *
ポーション作りを教え終えたあと、みんなでひとしきり遊んで、私はアリサちゃんを雑貨屋まで送り届けた。
アリサちゃんが作った初めてのポーションを受け取ったケイトさんは嬉しそうにアリサちゃんの頭を撫でた。アリサちゃんも誇らしげだった。
そして今は、のんびりと水浴びの時間だ。
「アリサちゃん、頑張ってましたね!」
「そうだねぇ」
「憧れのリリアナみたいになれるといいね」
……なんか、そう言われると余計に照れくさい。
「リリアナ、照れてる?」
「あーもうっ!」
私はロゼにぱしゃっと水をかける。
その瞬間、ロゼが笑いながら応戦してきて――こうして、いつもの水かけっこが始まった。
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