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追放聖女のもふもふスローライフ
第29話 朝の別れとみんなの成長
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チュンチュン
小鳥のさえずりと、窓から差し込む朝の光で目を覚ます。
ここ二日ばかり、本当に慌ただしかった。
まさかマリーが兄様に懸想するなんて思いもしなかったけれど……まあ、女っ気のまったくない兄にはいい機会かもしれない。
それにしても、どうして兄様はモテないんだろう。家格が低いことを差し引いても、あのルックスなら女性が放っておくはずないのに。
うーん、なにか私の知らない問題でもあるのかな?
――まあ、そんなことより、朝の支度をしますか。
「おねーちゃん、おはよう」
「アリサちゃん、おはよう。早起きだね」
そういえば昨日はアリサちゃんも泊まっていったんだった。
みんなで夜遅くまで遊んで、ちょっとしたお泊まり会みたいで楽しかったなぁ。
「今から朝ごはん作るからね」
「私も手伝う!」
「ありがとう。じゃあ、お皿を用意してくれるかな?」
「うん!」
そんなやり取りをしているうちに、みんなも起きてきて、朝ごはんの時間になった。
「いやー、昨日までは隠れてコソコソと大変だったよ」
正体を知られた今では、隠れる必要もなくなったティンカが、笑いながら肩をすくめる。
「アルフレッドは知っていたのですね……」
マリーは少しだけ頬を膨らませ、不満げにつぶやいた。
「申し訳ございません、お嬢様」
「それより、早く食べないと冷める」
「そうです!早く食べましょう!」
「キュキュゥ」
こうして賑やかな朝食が始まった。
そして、朝食が終わった頃――。兄が迎えにやって来た。
「マリー嬢、お迎えに参りました」
爽やかな笑顔を浮かべる兄に、マリーの頬がかすかに染まる。
屋敷を出るその直前、彼女は振り返り、私に向き直った。
「リリアナ。前にも言ったけれど、私にとってあなたは黒竜を調伏した初代聖女様にも引けを取らない、立派な聖女様ですわ。どうか自信を持って」
「はい……マリー様も頑張ってください」
「ええ。この道中で、必ず決めてみせますわ」
その真剣な眼差しに、思わず笑みがこぼれる。
マリーもつられるように微笑み、二人でしばし見つめ合った。
「お話の途中、少しよろしいですか?」
兄様がそう言って私に向き直る。
「リリアナ、父さんも心配していたよ。頼りの一つくらいはしてあげて」
……あの、父様が、私の心配?
そう思ったが素直に頷いておいた。
「それでは皆さん、ごきげんよう」
そう言い残し、マリーは兄に付き従い、屋敷を後にした。
去っていく背中を見送りながら、胸の奥にぽっかりとした寂しさと、ほんの少しの誇らしさが残った。
さてと、今日も日課をこなさないとね。
「ポーションを届けに行くけど、アリサちゃんはどうする?」
一旦家に戻りたいかな? と思い声を掛ける。
「一緒に行くー!」
「了解」
こうして、アリサちゃんと二人――もとい、もふぞーも入れて二人と一匹で雑貨屋へと向かう。
「こんにちはー! ポーション届けに来ましたー!」
アリサちゃんが元気よく扉を開けると、店の奥から明るい声が返ってきた。
「はい、こんにちは」
ケイトさんがにこやかに応じる。
なるほど、アリサちゃんはこのやり取りがしたくてついてきたのね。
「はい、これ。ポーションの代金ね」
ケイトさんも、それに付き合って代金の入った小袋をアリサちゃんに差し出す。
それをアリサちゃんが丁寧に受け取り、ちょこちょこと私のほうへ持ってくる。
「おねーちゃん、はいっ」
「ありがとう、アリサちゃん」
その光景を見ていると、胸の奥がほんわかと温かくなった。
穏やかで、優しい時間。
――こういう日々が、ずっと続けばいいのに。
ふと、兄様の言葉がよみがえる。
『父さんも心配してた』
……そういえば、しばらく手紙も出していなかったな。
そのうち、父様に一筆書いてみよう。
さてと、それじゃあそろそろおいとまするかな――
そう思ったとき、ふともう一つ思い出す。
……そうだ。ケイトさんにロゼとミミィのことを説明しておかなきゃ。
「あの、ケイトさん」
「なんだい? 改まって」
「実は……ロゼとミミィのことなんですけど」
少し、言い淀む。
「……ああ、もしかして人間じゃあないってことかい?」
「えっ!? 知ってたんですか?」
「この前、本人たちから聞いたよ。他の村の人たちにも説明して回ってたみたいだね」
「いつの間に……」
「まあ、なんであろうと、あの子たちはあの子たちさ。大事な村の仲間には違いないよ」
「……ありがとうございます!」
ケイトさんの温かい言葉に、胸がふっと軽くなった。
「うん、それじゃあ屋敷に戻ろうか。アリサちゃん」
今のアリサちゃんは私の弟子として同行している。だからこう呼びかける。
「うん!」
アリサちゃんは元気に返事をした。
「それじゃあ、また夕方頃送ってきますね」
「あいよ、……がんばりな」
「はい!」
ケイトさんの柔らかな笑みに見送られ、私たちは屋敷へと戻るのだった。
* * *
「ただいまー」
「おかえり、リリアナ」
屋敷に戻るとロゼたちが出迎えてくれる。
「……村の人達にロゼ達のこと説明してたんだね」
「うん、みんな温かく受け入れてくれた。だからリリアナが心配しなくても大丈夫」
「そっか……」
私は、私がみんなを守らなきゃって保護者の気分でいたけど。みんなもちゃんと成長してるんだ。うれしい反面、少し寂しさを感じた。
「よし、それじゃあ今日の授業、始めるよ」
「はい!」
今日も、ポーション作りの反復練習をして、それが終わったらみんなで遊んだ。
……そろそろ、水浴びに行かないと。
夕方になる前に行かないと、アリサちゃんを雑貨屋に送り届けるのが遅くなっちゃう。
森を抜け泉にたどり着くと、私たちは服を脱ぎ水面に身体を沈める。ひんやりとした感触が肌を包み込んで気持ちがいい。
「……ふぅ、気持ちいい」
みんなで水遊びをしているのを見ながら考える。
ロゼとミミィ、ティンカとアリサちゃん。みんなどんどん成長していくんだなぁ。
――うん、私も成長していかないとね。
そうつぶやくと、私はもふぞーの背をそっと撫でた。
小鳥のさえずりと、窓から差し込む朝の光で目を覚ます。
ここ二日ばかり、本当に慌ただしかった。
まさかマリーが兄様に懸想するなんて思いもしなかったけれど……まあ、女っ気のまったくない兄にはいい機会かもしれない。
それにしても、どうして兄様はモテないんだろう。家格が低いことを差し引いても、あのルックスなら女性が放っておくはずないのに。
うーん、なにか私の知らない問題でもあるのかな?
――まあ、そんなことより、朝の支度をしますか。
「おねーちゃん、おはよう」
「アリサちゃん、おはよう。早起きだね」
そういえば昨日はアリサちゃんも泊まっていったんだった。
みんなで夜遅くまで遊んで、ちょっとしたお泊まり会みたいで楽しかったなぁ。
「今から朝ごはん作るからね」
「私も手伝う!」
「ありがとう。じゃあ、お皿を用意してくれるかな?」
「うん!」
そんなやり取りをしているうちに、みんなも起きてきて、朝ごはんの時間になった。
「いやー、昨日までは隠れてコソコソと大変だったよ」
正体を知られた今では、隠れる必要もなくなったティンカが、笑いながら肩をすくめる。
「アルフレッドは知っていたのですね……」
マリーは少しだけ頬を膨らませ、不満げにつぶやいた。
「申し訳ございません、お嬢様」
「それより、早く食べないと冷める」
「そうです!早く食べましょう!」
「キュキュゥ」
こうして賑やかな朝食が始まった。
そして、朝食が終わった頃――。兄が迎えにやって来た。
「マリー嬢、お迎えに参りました」
爽やかな笑顔を浮かべる兄に、マリーの頬がかすかに染まる。
屋敷を出るその直前、彼女は振り返り、私に向き直った。
「リリアナ。前にも言ったけれど、私にとってあなたは黒竜を調伏した初代聖女様にも引けを取らない、立派な聖女様ですわ。どうか自信を持って」
「はい……マリー様も頑張ってください」
「ええ。この道中で、必ず決めてみせますわ」
その真剣な眼差しに、思わず笑みがこぼれる。
マリーもつられるように微笑み、二人でしばし見つめ合った。
「お話の途中、少しよろしいですか?」
兄様がそう言って私に向き直る。
「リリアナ、父さんも心配していたよ。頼りの一つくらいはしてあげて」
……あの、父様が、私の心配?
そう思ったが素直に頷いておいた。
「それでは皆さん、ごきげんよう」
そう言い残し、マリーは兄に付き従い、屋敷を後にした。
去っていく背中を見送りながら、胸の奥にぽっかりとした寂しさと、ほんの少しの誇らしさが残った。
さてと、今日も日課をこなさないとね。
「ポーションを届けに行くけど、アリサちゃんはどうする?」
一旦家に戻りたいかな? と思い声を掛ける。
「一緒に行くー!」
「了解」
こうして、アリサちゃんと二人――もとい、もふぞーも入れて二人と一匹で雑貨屋へと向かう。
「こんにちはー! ポーション届けに来ましたー!」
アリサちゃんが元気よく扉を開けると、店の奥から明るい声が返ってきた。
「はい、こんにちは」
ケイトさんがにこやかに応じる。
なるほど、アリサちゃんはこのやり取りがしたくてついてきたのね。
「はい、これ。ポーションの代金ね」
ケイトさんも、それに付き合って代金の入った小袋をアリサちゃんに差し出す。
それをアリサちゃんが丁寧に受け取り、ちょこちょこと私のほうへ持ってくる。
「おねーちゃん、はいっ」
「ありがとう、アリサちゃん」
その光景を見ていると、胸の奥がほんわかと温かくなった。
穏やかで、優しい時間。
――こういう日々が、ずっと続けばいいのに。
ふと、兄様の言葉がよみがえる。
『父さんも心配してた』
……そういえば、しばらく手紙も出していなかったな。
そのうち、父様に一筆書いてみよう。
さてと、それじゃあそろそろおいとまするかな――
そう思ったとき、ふともう一つ思い出す。
……そうだ。ケイトさんにロゼとミミィのことを説明しておかなきゃ。
「あの、ケイトさん」
「なんだい? 改まって」
「実は……ロゼとミミィのことなんですけど」
少し、言い淀む。
「……ああ、もしかして人間じゃあないってことかい?」
「えっ!? 知ってたんですか?」
「この前、本人たちから聞いたよ。他の村の人たちにも説明して回ってたみたいだね」
「いつの間に……」
「まあ、なんであろうと、あの子たちはあの子たちさ。大事な村の仲間には違いないよ」
「……ありがとうございます!」
ケイトさんの温かい言葉に、胸がふっと軽くなった。
「うん、それじゃあ屋敷に戻ろうか。アリサちゃん」
今のアリサちゃんは私の弟子として同行している。だからこう呼びかける。
「うん!」
アリサちゃんは元気に返事をした。
「それじゃあ、また夕方頃送ってきますね」
「あいよ、……がんばりな」
「はい!」
ケイトさんの柔らかな笑みに見送られ、私たちは屋敷へと戻るのだった。
* * *
「ただいまー」
「おかえり、リリアナ」
屋敷に戻るとロゼたちが出迎えてくれる。
「……村の人達にロゼ達のこと説明してたんだね」
「うん、みんな温かく受け入れてくれた。だからリリアナが心配しなくても大丈夫」
「そっか……」
私は、私がみんなを守らなきゃって保護者の気分でいたけど。みんなもちゃんと成長してるんだ。うれしい反面、少し寂しさを感じた。
「よし、それじゃあ今日の授業、始めるよ」
「はい!」
今日も、ポーション作りの反復練習をして、それが終わったらみんなで遊んだ。
……そろそろ、水浴びに行かないと。
夕方になる前に行かないと、アリサちゃんを雑貨屋に送り届けるのが遅くなっちゃう。
森を抜け泉にたどり着くと、私たちは服を脱ぎ水面に身体を沈める。ひんやりとした感触が肌を包み込んで気持ちがいい。
「……ふぅ、気持ちいい」
みんなで水遊びをしているのを見ながら考える。
ロゼとミミィ、ティンカとアリサちゃん。みんなどんどん成長していくんだなぁ。
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