3 / 15
2話
しおりを挟む
僕のボッチ生活も、四月が過ぎ、月は新しくなっていた。いつものように学校へ行く。特に変わったことはなかった。今日以外は。
帰り道、学校から駅に向かって歩いていたときのことだ。花屋さんの前を通った。
風見フラワーショップだ。店主の風見さんという若い女性と、従業員数人で切り盛りしているようだった。常連さん達でいつも賑わっている。
この花屋さんは毎日通る。
「店長。これってもう駄目ですよね?」
「そうね。一本だけ売れ残っちゃってるのね。どうしようかしら......。」
そう言って従業員の1人と店主が話しているのを偶然聞いた。2人の目線の先には植木鉢に植えられた白詰草だった。クローバーの花としても有名だ。白詰草は普通、回りにも何本か生えているはずなのだが、この花は一輪だけ。
「あの!」
つい、気になって声を上げてしまった。店中に響いたよね?恥ず...。
「どうかしたんですか?」
さりげなく訪ねてみた。
「実は、今日の朝、ここに来ると、この植木鉢にあったはずの白詰草がこの一輪以外全て折られ倒され、抜けて地面に落ちたものも......。」
「えぇ?!そんなことが...。」
「犯人はどうも野良猫みたいなんですよね。」
「その花!いらないならもらってもいいですか?」
「え?えぇ...まぁ。こちらとしても助かりますし。」
「ありがとうございます!!」
そう言って従業員の1人がたった一輪の白詰草を包装してくれた。料金はいらないと言われた。よく考えてみればこの時が“彼女“との最初の出会いだったのかもしれない。
早速帰って庭に植えることに。そしてしばらく植えた白詰草を眺めていた。
(それにしても小さな花だ。こうして一輪だけ見ると余計に弱々しく思えてくる。)
寂しくないだろうか。
そんなことを考えながら、僕はこの華奢で小さくて、萎れているが、綺麗な花から四ツ葉のクローバーが生えてくるのを期待していた。
この物語の始まりの日であった。
帰り道、学校から駅に向かって歩いていたときのことだ。花屋さんの前を通った。
風見フラワーショップだ。店主の風見さんという若い女性と、従業員数人で切り盛りしているようだった。常連さん達でいつも賑わっている。
この花屋さんは毎日通る。
「店長。これってもう駄目ですよね?」
「そうね。一本だけ売れ残っちゃってるのね。どうしようかしら......。」
そう言って従業員の1人と店主が話しているのを偶然聞いた。2人の目線の先には植木鉢に植えられた白詰草だった。クローバーの花としても有名だ。白詰草は普通、回りにも何本か生えているはずなのだが、この花は一輪だけ。
「あの!」
つい、気になって声を上げてしまった。店中に響いたよね?恥ず...。
「どうかしたんですか?」
さりげなく訪ねてみた。
「実は、今日の朝、ここに来ると、この植木鉢にあったはずの白詰草がこの一輪以外全て折られ倒され、抜けて地面に落ちたものも......。」
「えぇ?!そんなことが...。」
「犯人はどうも野良猫みたいなんですよね。」
「その花!いらないならもらってもいいですか?」
「え?えぇ...まぁ。こちらとしても助かりますし。」
「ありがとうございます!!」
そう言って従業員の1人がたった一輪の白詰草を包装してくれた。料金はいらないと言われた。よく考えてみればこの時が“彼女“との最初の出会いだったのかもしれない。
早速帰って庭に植えることに。そしてしばらく植えた白詰草を眺めていた。
(それにしても小さな花だ。こうして一輪だけ見ると余計に弱々しく思えてくる。)
寂しくないだろうか。
そんなことを考えながら、僕はこの華奢で小さくて、萎れているが、綺麗な花から四ツ葉のクローバーが生えてくるのを期待していた。
この物語の始まりの日であった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる