未完成

clover

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ラベンダー

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「なんせ、藍坂さんのbugの原因を知るのが、世界の絡み合いを防ぐことの最優先になるわけだな。」
「そういうことだ。ゲームのbugにだって原因があるんだ。彼女がbugを起こしてまでここに現れたのにもなにか目的があるはず。」
「目的かぁ...藍坂さんは何かわかる?」
「私は......ごめんなさい。本当に何もわからなくて。」
「まぁそうだよな。無理しなくていいから何か思い出したらその都度言ってくれ。」

そして俺達は連絡先を交換して解散した。





次の日、俺が大学に向かっているときのことだった。
いつもなら徒歩20分くらいで着くはずなのに、家を出てから1時間以上たっていた。
「おかしい......これもbugの影響か?」
そうして近くの道路標識に目をやると、



左10km 本栖湖



と書かれていた。
「本栖湖?本栖湖ってことは...富士山?!は?なんで?!」
そしてそのまま10分ほど歩き回っていると今度は、



この先20km 釧路町



「く、く、釧路町??!!北海道じゃねぇか!どうなってんだこりゃ...」
bugと関係があることはわかりきっていたので、取り敢えず恋に連絡(電話)を取った。
「大学に行こうとしたら本栖湖に行ったり北海道に飛ばされたりして、もうなにがなんだか...やっぱりbugなんだよな?」
『そうね。bugであることは確か。でも私にその回避方法はわからない。』
「わからない?!そんな!」
「私が知っているのはbug自体の修正方法だけだ。それについての影響の防ぎ方なんて知らない。すまないが自分でなんとかしてくれ。私も忙しい。」
「はぁ?おい!そんな!もしもし?もしも......切れた...。」





「自分でなんとかしろって言われても...」
そのまま釧路の畑で座り込んでいると、一台の軽トラが通りかかった。

「兄ちゃん。そんなとこでなにやってんの?」
軽トラから1人のおじさんが話しかけてきた。
「あのぉ。ここって釧路ですか?」
「何言ってんだ?兄ちゃん。そこに釧路ってかいてんじゃねぇか。」
「ですよねぇ...」
「兄ちゃん迷ったのか?」
「まぁ...はい。」
「家は?」
「千葉です。」
「千葉?!そんな遠くから遥々道に迷いに来たってか?ハハハハ、そんなおかしな話はじめて聞いたぞ。まぁ乗れや。駅まで連れてってやる。」
「いいんですか?」
「だって兄ちゃん困ってんだろ?」
「ありがとうございます!!」
そして俺はなんとかして帰ることができた。





そしてまたみんなで集まってその話をすると、湊が、
「その、bugの影響ってさ、藍坂の身近な人や物に起きるんだろ?」
「そうだが。」
「で、その釧路のおじさんが通りかかって、釧路のおじさんと一緒にいる間は何も起きてないんだよな?」
「確かにそうだな...でもそれがどうしたんだ?」
「そうか!」
恋が大声を出した。
「今回の場合、藍坂未菜の身近な人物である、神田悠斗にbugの影響があり、藍坂と何の関係もない人物と一緒にいると影響は防げるということか。」
「そうそう!恋さんわかってるねぇ。」
「今後、こういうことがまだあるだろう。その時は藍坂未菜と直接関係のないものと干渉すればいい。これは大きな収穫だろう。」

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