悪役令嬢は最強になりたい

咲良

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第1章 原作が始まる数年前

初めてのお茶会

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今日は、お茶会当日!
お茶会会場は、まさかの、シュテルン公爵家!?
三人目のヒーローお出ましか。
「どうぞ。」
ロアにエスコートされて、馬車の席に座った。
「みんなお揃いだね!」
にっこり笑うセターレとローゼ。
「今日はいつもより可愛いね!」
本当に可愛いすぎる。
尊死しちゃう!
「ありがとう。お姉ちゃん。」
「ローザ、僕は?」
「ロアもかっこいいよ!」
「…ありがとう。」
照れてる!可愛い!まだ子供やなぁ。
「「「お姉ちゃん(ローザ)も可愛い。」」」
「みんな、ありがとう。」
馬車が止まり、目の前には、家ぐらい大きな屋敷が立っていた。
ここがシュテルン公爵家か。
「三人とも、私のそばを離れないで。」
「「「うん。」」」
庭園へ向かうと、たくさんの子どもや大人が喋ったりしていた。
私達が奥へ入っていくと、視線はこっちに向いた。
「あの子が公爵家に入った平民だそうよ。」
誰かが小声で囁く。
「でも、皇太子様がいるわ。」
ローゼが私の手を強く握った。
「大丈夫。」
私はローゼの手を握り返した。
「ようこそ。ローザ公爵令嬢、セターレ公子、ローゼ公爵令嬢。」
挨拶してきたのは、シュテルン公爵令息、アステールだった。
「本日はお招きいただきありがとうございます。シュテルン公子。」
私とローゼとセターレはお辞儀をした。
「皇太子殿下、ようこそお越しくださいました。」
「招待ありがとう。」
「では、これで。」
私は三人の手を取り、庭園のもっと奥へ向かった。
この世界のお茶会では、主催者に挨拶をすれば、もうどこにでも行っていいのだ。
「うぐっ… ぐすっ。」
あれ?誰かの泣き声がする。
「三人とも、ちょっと待っててね。ロア、二人のことお願い。」
「わかった。」
泣き声を辿ると、うずくまっている小さな男の子を見つけた。
「大丈夫?あなたは誰?」
銀色の髪、緑色の目、小説に出てきた気がするんだけど…
「僕は、シャルム。シャルム、べシューベルング。」
べシューベルング、って、後々出てきた最強の魔塔の名前じゃない!?
じゃあこの子は…
私を一年後に誘拐する人!?
そんな子には見えないけど。
「私はローザ。ねえ、シャルム、魔法習わない?」
「魔法?習いたい。」
「じゃあ教えてあげる。まず最初に、【鑑定】」
新しい魔法!っていうか、スキル、かな?
ふむふむ、
流石魔塔の主。
全属性魔法使えて、しかも魔法の神の加護持ち。
あの神様、現代ハッカーみたいで面白いんだよね。
「君は、全属性使えるみたい。私の真似してみて。まず炎から、小さな炎を想像して。」
いつも通り、想像していると、私の手の上に小さな火が乗った。
「す、すごい!想像、想像…」
シャルムの手のひらに、小さな炎が乗った。
こんな感じで全ての属性ができた頃には、もう夕方で、私は眠ったシャルムのことをおんぶしていた。
「セターレ、ローゼ、ロア!待たせてごめん!」
「ひどいよ、おねえちゃん!お姉ちゃん、その男の子だれ?また連れてきたの?」
そりゃあ気になるよね。セターレ。
「えっとね、泣き声の元!寝てたから、とりあえず連れてきた。」
「シャルム!」
セターレ達に起こったこと全てを報告していると、大きくなったシャルムみたいな人が急に空中から現れた。
「あ、君たち、ごめんね。僕の息子がお世話になったみたい。」
「大丈夫ですよ!あ、でも、魔法を教えてしまいました。すみません。」
「この子が、魔法を?」
なんでシャルムのお父さん驚いてるの?
「はい!全属性扱えますよ!」
「ありがとうございます。また機会があればお会いしましょう。では。」
シャルムのことを抱えたシャルムのお父さんは、風とともにふわっと消えた。
「帰ろうか。」
「「「うん。(!)」」」
私たちは手を繋ぎ、馬車へ戻った。
そんなにお茶会っぽくなかったなぁ。
どっちかというと、ただの日常だった。

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