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第3章 点と点
第1話
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週が明けた月曜日。
いつまでも休校とすることはできず、今日から学校の授業が再開する。しばらくの間は生徒の心理的負担を減らすため、授業は午前中のみとなる。部活動も全て活動休止だ。
授業中、烈はノートを取る手を止め、教室のクラスメイト達を見渡す。烈の席は窓側で一番後ろの席であるため、教室全体が見渡せる。空席が幾つかあり、それらの席の生徒達は今日休みを取っている。多野はボカしていたが、花咲の死から立ち直れず、家で塞ぎ込んでいるらしい。
まあ、無理もないよな。
烈は普段から事件事故に接し、理不尽な死を何度も目の当たりにしてきた。その烈でも、萌絵の死を完全に受け入れられずにいる。クラスメイト達が体調を崩すのも仕方がない。
授業が全て終わり、帰りのホームルームになると、多野は「寄り道はせず、すぐに帰るように」と生徒に何度も念押し。警察が捜査のために学校に出入りするから、邪魔するなとのこと。
多野が教室から出て行った後、クラスメイト達も帰り支度をするが、烈は席を立とうとしない。学校でやることがあるからだ。
「なあ、水原」
烈はリュックを背負おうとしている隣の席の男子生徒に話しかける。彼の名前は水原陽一。今年知り合った気さくな同級生であり、烈とそこそこ波長が合う人物である。
「ん、なんだ?」
「ちょっと聞きたいことがあってな。別に気が乗らないなら、無理に答えなくてもいいんだが」
「なんだよ、その妙な前置きは? なんでも気軽に聞いてくれよ」
調子良さげに自分の胸を叩く水原。彼も萌絵が死んで気が重いはずだが、それを感じさせない明るさだ。水原はお調子者で、クラスのムードメーカー。クラスの雰囲気をなるべく明るくしようとしたのか、今日の彼はいつもよりテンションが高かった。
「じゃあ、遠慮なく。花咲について聞きたい。事件後が起きる前のアイツに、何かトラブルがあったりするか?」
「トラブル?」
水原は両手を組み、「うーん」と唸りながら体を大袈裟に左右に揺らす。
「トラブル、トラブルねぇ……」
「どんな小さいことでもいいんだ。何か思い当たるか?」
「俺の知る限りはないな。そもそもあの子は常に明るくて、自分の暗いところを他人に見せなかっただろ。自分一人で抱え込むつーかなんつーか、他人の気分を暗くする話題は避けていた」
「そういえば……」
萌絵は他者の相談には親身になっていたが、逆に弱音を吐いた姿は見たことがない。
「なあ、剛村」
「ん?」
「お前、もしかして花咲さんの犯人を探しているのか? 明日見さんも?」
一瞬誤魔化そうかと思ったが、ここで嘘を吐いても意味はないと正直に認める。
「ああ。そうだ」
「やっぱりな。あの明日見さんだもんな」
「このことは……」
「分かってる分かってる。学校には言うな、だろ? 俺は明日見さんみたいに頭が良いわけでもないし、剛村みたいに喧嘩が強いわけでもない。だけど、協力できることはするぜ。他のクラスメイトにも話を聞くんだろ? 俺も聞いて回ってやるよ」
「……すまん、ありがとうな」
「気にすんな」
烈と水原は、手分けしてまだ帰っていないクラスメイト達に声をかける。クラスメイト達は烈の目的をなんとなく察し、彼らも聞き取りに協力してくれた。
「とまあ、俺が聞いた話はこんなもんだな。まあ、剛村達の役に立つ情報はなかったけど」
「いや、十分だ」
「じゃあ、俺はそろそろ帰るから。他のクラスの奴らにも聞いてみるから」
水原は「応援しているからなー!」と言い残し、教室を出て行った。
協力してくれる仲間がいるという事実に、烈は胸の奥が熱くなる。自分達は決して孤独ではないのだと。
烈が学校でやるべきこととは、萌絵の情報を集めること。明里も今頃、情報を集めているはず。
今度は教室を出て、クラス、学年関係なく、萌絵の友人と思われる人物に声をかけ、話を聞いていった。
いつまでも休校とすることはできず、今日から学校の授業が再開する。しばらくの間は生徒の心理的負担を減らすため、授業は午前中のみとなる。部活動も全て活動休止だ。
授業中、烈はノートを取る手を止め、教室のクラスメイト達を見渡す。烈の席は窓側で一番後ろの席であるため、教室全体が見渡せる。空席が幾つかあり、それらの席の生徒達は今日休みを取っている。多野はボカしていたが、花咲の死から立ち直れず、家で塞ぎ込んでいるらしい。
まあ、無理もないよな。
烈は普段から事件事故に接し、理不尽な死を何度も目の当たりにしてきた。その烈でも、萌絵の死を完全に受け入れられずにいる。クラスメイト達が体調を崩すのも仕方がない。
授業が全て終わり、帰りのホームルームになると、多野は「寄り道はせず、すぐに帰るように」と生徒に何度も念押し。警察が捜査のために学校に出入りするから、邪魔するなとのこと。
多野が教室から出て行った後、クラスメイト達も帰り支度をするが、烈は席を立とうとしない。学校でやることがあるからだ。
「なあ、水原」
烈はリュックを背負おうとしている隣の席の男子生徒に話しかける。彼の名前は水原陽一。今年知り合った気さくな同級生であり、烈とそこそこ波長が合う人物である。
「ん、なんだ?」
「ちょっと聞きたいことがあってな。別に気が乗らないなら、無理に答えなくてもいいんだが」
「なんだよ、その妙な前置きは? なんでも気軽に聞いてくれよ」
調子良さげに自分の胸を叩く水原。彼も萌絵が死んで気が重いはずだが、それを感じさせない明るさだ。水原はお調子者で、クラスのムードメーカー。クラスの雰囲気をなるべく明るくしようとしたのか、今日の彼はいつもよりテンションが高かった。
「じゃあ、遠慮なく。花咲について聞きたい。事件後が起きる前のアイツに、何かトラブルがあったりするか?」
「トラブル?」
水原は両手を組み、「うーん」と唸りながら体を大袈裟に左右に揺らす。
「トラブル、トラブルねぇ……」
「どんな小さいことでもいいんだ。何か思い当たるか?」
「俺の知る限りはないな。そもそもあの子は常に明るくて、自分の暗いところを他人に見せなかっただろ。自分一人で抱え込むつーかなんつーか、他人の気分を暗くする話題は避けていた」
「そういえば……」
萌絵は他者の相談には親身になっていたが、逆に弱音を吐いた姿は見たことがない。
「なあ、剛村」
「ん?」
「お前、もしかして花咲さんの犯人を探しているのか? 明日見さんも?」
一瞬誤魔化そうかと思ったが、ここで嘘を吐いても意味はないと正直に認める。
「ああ。そうだ」
「やっぱりな。あの明日見さんだもんな」
「このことは……」
「分かってる分かってる。学校には言うな、だろ? 俺は明日見さんみたいに頭が良いわけでもないし、剛村みたいに喧嘩が強いわけでもない。だけど、協力できることはするぜ。他のクラスメイトにも話を聞くんだろ? 俺も聞いて回ってやるよ」
「……すまん、ありがとうな」
「気にすんな」
烈と水原は、手分けしてまだ帰っていないクラスメイト達に声をかける。クラスメイト達は烈の目的をなんとなく察し、彼らも聞き取りに協力してくれた。
「とまあ、俺が聞いた話はこんなもんだな。まあ、剛村達の役に立つ情報はなかったけど」
「いや、十分だ」
「じゃあ、俺はそろそろ帰るから。他のクラスの奴らにも聞いてみるから」
水原は「応援しているからなー!」と言い残し、教室を出て行った。
協力してくれる仲間がいるという事実に、烈は胸の奥が熱くなる。自分達は決して孤独ではないのだと。
烈が学校でやるべきこととは、萌絵の情報を集めること。明里も今頃、情報を集めているはず。
今度は教室を出て、クラス、学年関係なく、萌絵の友人と思われる人物に声をかけ、話を聞いていった。
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