パーティから追放された雑用係、ガチャで『商才』に目覚め、金の力で『カンストメンバー』を雇って元パーティに復讐します!

yonechanish

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賢者の人生編

第92話 パパはゲームプログラマー

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 私の意識は暗闇の中を漂っていた。
 この暗闇で過ごす時間は、毎回長さが異なる。
 これは、私の考えだが……
 私が暗闇で過ごす間、世界の再構築が行われているのだろう。
 私が設定したセーブポイント。
 その時点を目指して世界の再構築が行われているのだ。
 従って、ループ前の世界(私が自殺するまでいた世界)の変化の仕方(何人の人が死んだとか、建物の破損状況とか)で、再構築の時間が変わるのだと思われる。
 まあ、この暗闇の時間は、ゲームでいうところのロード時間みたいなものだ。
 その時、その時で、データ量(世界の変化の仕方)が異なれば、ロード時間も変化するということか。
 私がこういう風に、何でもゲームに置き換えて考える癖がついたのは、父親のお陰だ。

 私はこの時間、自らを振り返ることを常としている。

 私の父はゲームプログラマという職業だったらしい。
 らしいと付けたのは、父が仕事しているのを見たことが無いからである。
 どちらにしても、この世界には存在しない職業だ。

 父は自分の仕事に誇りを持っていた。
 だから、仕事の素晴らしさを伝えるために父は私にある物を作り、遊ばせた。

 それが『ゲーム』だった。

 長方形の箱の真ん中に透明なガラスが張られている。
 STARTボタンを押した。
 ガラスにドットというブロックで描かれたキャラクターが表示された。
 その瞬間から、私の感動は約束されていた。
 私の意のままに、ピコピコと音を立てて動くキャラクター。
 強い敵に何度もチャレンジし、創意工夫の挙句に倒した時の達成感。
 作り手の思惑の裏をかいて、理不尽な謎を解き明かした時の爽快感。
 世の中にこんなに面白いものがあるとは。
 しかし、父はどうやってこれを作ったのだろうか?

「この世界にある素材の性質は、私が昔住んでいた世界にあった素材の性質と非常によく似ている」

 だから、作ることが出来たそうだ。
 それはそれとして、この世界にこんな高度な機械を作るテクノロジーは存在しないのでは?

「昔住んでいた世界?」
「いい機会だ。マリク、お前に話しておこう」

 父はチキュウという星のニホンから来たらしい。
 仕事のデスマーチ(過酷な労働のことらしい)中、意識を失い、目を覚ましたらこの世界にいたとのこと。
 私はそのことに対して驚きは無かった。
 何故なら、その頃の私は既に召喚魔法の初歩を習得していた。
 だから、異世界から偶然であれ、必然であれ、何者かが召喚されることは私の中では有り得ることで、常識だった。
 父は誰かの気まぐれでここに召喚されたのか、時空の歪みに入り込んでここに迷い込んだのかは分からないが、そんなことはどうでも良かった。
 それよりも、父がこの世界には存在しないテクノロジーを用いることでコンピュータなるものを作り上げ、ゲームをプログラミングしたということの方に私は関心をそそられた。

 私の母(平民の普通の女だ)と父は街の路地裏で出会った。
 異世界から転移した父を、母が介抱してあげたことが、私のルーツになる。
 私はどちらの祖先から才能を受け継いだか分からないが、魔法に関しては才能に恵まれていた。
 誰もが四苦八苦して習得する魔法を、息を吸うよりも簡単に覚えることが出来た。
 私は逆に他の者達が何で出来ないのか不思議でならなかった。
 こんなもの、本を読み、教師が実践する通りにやれば出来るではないかと。
 人は私のことを『神童』と呼ぶ様になった。
 父は魔法の無い世界に生まれたらしいので、私は母方の祖先から何かを受け継いだのかと思った。
 だが、母に訊いてもそんな祖先はいないと言う。
 ならば、単純に天から与えられた才能なのだろう。
 身体の弱さと、やや力が無いことが弱点と言えば弱点だが、それを補って余りあるほどの魔力を私は備えていた。
 恵まれていると人は思うだろう。
 だが、私にとって見れば、困難の無い人生は退屈で仕方がなかった。
 もう少しステータスに難があれば、スリルのある人生が遅れたのにと、ゲームをしながらいつも思っていた。
 まもなく、私は学校に視察に来たディオ王に認められ、平民の身でありながら城に召し抱えられた。

つづく
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