パーティから追放された雑用係、ガチャで『商才』に目覚め、金の力で『カンストメンバー』を雇って元パーティに復讐します!

yonechanish

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最後の商才編

第109話 神

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 僕は老人の家を後にした。
 結局、黒い粒(老人が言うには『万能薬』)は手に入らなかった。
 落胆している暇は無い。
 老人が指定した金額(それは驚くほどの金額だ)を稼ぎ、万能薬を買い取らなければ。

「それにしても、変な爺さんだったな」

 数分前の老人とのやり取りを思い出す。

 老人は自らのことを『神』と自称した。

「人間はわしが、泥をこねて作ったのじゃ」
「本当ですか?」

 僕は老人の機嫌を取ろうと、話に乗る振りをした。

「この世界はわしが作ったものじゃ」
「それはすごいですね。じゃ、この世界はお爺さんの思い通りになるということですか?」
「それがの、そうもいかんのじゃ。一度作ってしまったものは、わしの手から離れてしまうのじゃ。だから、見守るか、こうして間接的に関わるしかないのじゃ」

 老人こと、神はあぐらをかき、ふくらはぎの辺りをポリポリ指でかきだした。

「見守るとおっしゃいましたが、具体的には?」
「そうじゃな、人間が間違った方向に進んでないか、とか」

 この老人が神だとしたら、彼は僕の復讐をどう判断したのだろうか。



 僕はディオ王国に戻ると、早速、商売に専念した。
 神である老人は、僕のジェニ姫への愛を試している。
 僕はそう思った。
 愛があれば、神が指定した金額を、一生懸命働いて稼ぐことが可能なはずだ。

 僕は24時間働き続けた。
 自分のスキルが尽き果てるまで、全力で知恵を絞り、思いつく限りの商売を実践して行った。
 そして、時は流れて行く。

「ユメル王国とメルル王国が戦争を始めるそうじゃ」

 ディオ王が僕を城に呼び寄せ、そう話した。

「戦争......ですか」
「我が国とメルル王国は同盟を結んでおる。この戦争に同盟国として参加するつもりじゃ」

 僕は自分が何で呼ばれたか、何となく理解した。

「武器を生産しろというのですか?」
「そうじゃ」

 僕の会社は大きく発展し、王国には沢山の工場を持っていた。
 その工場の一つでは、ディオ王国の自衛のための武器や魔法兵器も作っている。(僕は武器なんて作りたくなかった。だけど、ディオ王の依頼で自衛のためならと百歩譲って作っている。あとお金のためもあるが。)

「ディオ王様。グランとマリクが去り、王国は平和になりました。その平和を壊すのですか?」

 僕の訴えを、ディオ王はこう退けた。

「ケンタよ。戦わなければこちらがやられてしまうのじゃ。そうなってからでは手遅れなのじゃ」

 時の流れは人の心をも変えてしまうらしい。

「この戦争は国を挙げての一大事業じゃ。お主にも莫大な報酬を授けよう」

 僕は、莫大な報酬のために、ディオ王の間違った選択に従った。



 戦争は5年目に突入した。
 この世界にある7つの大陸間で血で血を洗う醜い争いが続いた。
 ある者は友人同士で争い、ある者は兄弟同士で争い、ある者は親子同士で争った。
 ある場所では恋人同士が引き裂かれ、ある場所では家族がバラバラにされた。
 犠牲になる者は底辺の弱い者達ばかりだった。
 皮肉にも、戦争が続けば続くほど、僕の会社は儲かった。



 そして、戦争が終わった。
 10年間も続いた。
 世界は歪んだ形になってしまった。
 

 僕は遂に、神が望む金額を稼ぎ出すことに成功した。
 人々の犠牲の上で、僕は自分の希望を掴んだ。

「神様、万能薬を僕に売って下さい」

 僕は息を切らせながら、老人の家に飛び込んだ。

「すまんのう」

 神は僕に背を向けたまま、そう言った。

「どういうことです?」
「一足早く、買い手が見つかったのじゃ」
「え?」

 僕は背後に人の気配を感じた。
 僕は振り返った。

「ケンタ......」

 長く美しい黒い髪。
 僕より頭一つ高い背丈。
 優し気な顔には大きな黒い瞳。

「マリナ......」

つづく
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