パーティから追放されたのは神に選ばれし救世主だった。～チートスキルで元のパーティを見返し、全知全能の冒険者になってやる！～

第61話 シスターは彼をハルトと名付け、この世の理を教えてくれた。

ゾディアック・アクス・オンライン

このゲームは世界初のVRMMORPGとして世間を驚かせた。
ゲームのクオリティの高さや自由度の多さなどが評価されて爆発的なヒットとなった。
蒼もその波に乗り遅れないようにと、すぐにソフトを買った。

付属のヘッドギア、ボディスーツを装着。
ギアのこめかみ部分にあるスイッチをオン。
ギアから
インターネットへ突入し、ゾディアック・アクス・オンラインのサーバへログオン。
キャラメイク。

そして、蒼はこのゲームの世界へダイブしたのだった。

ゲームを始めて、すぐ。

始まりのムービー。

そこで蒼の意識は飛び、目を覚ますと、異世界つまりゾディアック・アクス・オンラインの世界にいた。

生まれ落ちた。

その記憶はある。

だが、両親の温もりは知らなかった。

そう、彼はこの異世界でも捨てられた子供だった。
生まれた時に捨てられ、教会で育った孤児だったのだ。
この世界での親代わりの教会シスターは彼を優しく育ててくれた。
教会の庭で走り回って遊んだり、文字の読み書きを教えてもらったり。

「いい？　ハルト。この世界では強くなくては生きていけないの」

シスターは彼をハルトと名付け、この世の理を教えてくれた。

強さとは何か。
それは力ではない。
己を貫く信念。
それがハルトの強さだった。
ハルトはそんなシスターが大好きで、彼女のようになりたいと常々思っていた。
そして、いつか立派な冒険者になって彼女と一緒に旅をしてみたいと思っていた。
そんなある時。
ハルトはシスターは殺された。
モンスターに。