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第42話 暴走する、特別なことじゃない
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ガイアナ姫は一人、突っ込んで行った。
視線の先には、手負いのゴブリン一体。
クルス達も遅れまいと、必死に追い掛ける。
だが、小さく華奢な背中はどんどん小さくなっていく。
(さすが、末裔の中で一番の素早さを誇るだけのことはあるな)
クルスは息も絶え絶え、そう思った。
「こんなの朝飯前よ」
ゴブリンの巣穴から出て来たガイアナ姫は、事も無げにそう言った。
純白の鎧や、そこから露出した肌には傷一つ無い。
一方的な勝利を物語っていた。
「すげえ……」
クルス達が巣穴に入ると、そこには至る所にゴブリンの死体が転がっていた。
50体程か……。
その中にはベスゴブリンや、ホブゴブリンなどのゴブリンの上位互換種もいた。
モンスターが群れを成すと、連係が発動し実力以上の力を発揮する。
E、Fクラスとはいえ、これだけの数を一度に相手にして、ものの数分で撃退するとは。
しかも、巣穴と言えば、こちらにとって敵地だ。
どんな罠があるかも分からない。
「どうやってこれだけの数を……」
「そうね……火の魔法、その他には水の魔法も……使ったかしら」
よく見ると、巣穴が水浸しだし、無残に炭化し原型をとどめていない死体もある。
「まず、水魔法で大量の水を流し込んで窒息させたの」
ゴブリンの巣穴はアリの巣みたいだった。
入り口から中に入ると、すぐ下に降りる階段がある。
恐らくそこに生活拠点があるのだ。
そこに大量の水を放射したのか。
「で、息が出来なくて必死に上がって来たゴブリンを火の魔法で……ねっ」
ガイアナ姫の指先に火がともる。
(ねっ……って、あんた……)
ピンク色の唇の近くまで指先を持って行き、フッと息を吹きかけ火を消した。
「姫様、単独行動は危険です」
兵士の一人がガイアナ姫の前に立つ。
年長者として一言、言うべきだと思ったのだろうか。
「黙ってたのは、すまん。でも、全員でワイワイと追い掛ければ、巣穴の中のゴブリン達に気付かれるだろう。そしたら、迎え撃たれる可能性がある」
ケロッとした顔でガイアナ姫は言ってのける。
(まぁ、一理あるな)
「それに、久々のモンスターとの戦いだ。はりきってしまった」
レイピアに付いた血を、葉っぱで拭いながら笑顔を浮かべる。
「……それにしても、巣穴まで行けば、ボスが現れると思ったのに」
「ボスですか」
「ああ。上位クラスのボスがいると思ったんだが、いなかった」
ガイアナ姫は一人でAクラスやBクラスと戦うつもりだったのだろう。
(まったく、ゲームと同じ性格だな)
"私にとって戦いとは自己表現"
確か、ゲーム中でガイアナ姫はそんなことを言っていた。
窮屈な城での生活や、しきたりだらけでプライベートの無い貴族の生活に嫌気が差している彼女は、冒険の中にこそ生きがいを見出していた。
彼女が魔王討伐の旅に出るのは、自分のやりたいこと、自分のためでもあった。
クルスがアティナとパンを焼くのと同じ様に。
それにしても、すごい惨状だ。
巣穴の中は水没し、ゴブリンが溜め込んでいたであろうアイテムを手に入れることは出来ない。
後先のことを考えずに突っ込むのは、ガイアナ姫の弱点かもしれない。
つづく
視線の先には、手負いのゴブリン一体。
クルス達も遅れまいと、必死に追い掛ける。
だが、小さく華奢な背中はどんどん小さくなっていく。
(さすが、末裔の中で一番の素早さを誇るだけのことはあるな)
クルスは息も絶え絶え、そう思った。
「こんなの朝飯前よ」
ゴブリンの巣穴から出て来たガイアナ姫は、事も無げにそう言った。
純白の鎧や、そこから露出した肌には傷一つ無い。
一方的な勝利を物語っていた。
「すげえ……」
クルス達が巣穴に入ると、そこには至る所にゴブリンの死体が転がっていた。
50体程か……。
その中にはベスゴブリンや、ホブゴブリンなどのゴブリンの上位互換種もいた。
モンスターが群れを成すと、連係が発動し実力以上の力を発揮する。
E、Fクラスとはいえ、これだけの数を一度に相手にして、ものの数分で撃退するとは。
しかも、巣穴と言えば、こちらにとって敵地だ。
どんな罠があるかも分からない。
「どうやってこれだけの数を……」
「そうね……火の魔法、その他には水の魔法も……使ったかしら」
よく見ると、巣穴が水浸しだし、無残に炭化し原型をとどめていない死体もある。
「まず、水魔法で大量の水を流し込んで窒息させたの」
ゴブリンの巣穴はアリの巣みたいだった。
入り口から中に入ると、すぐ下に降りる階段がある。
恐らくそこに生活拠点があるのだ。
そこに大量の水を放射したのか。
「で、息が出来なくて必死に上がって来たゴブリンを火の魔法で……ねっ」
ガイアナ姫の指先に火がともる。
(ねっ……って、あんた……)
ピンク色の唇の近くまで指先を持って行き、フッと息を吹きかけ火を消した。
「姫様、単独行動は危険です」
兵士の一人がガイアナ姫の前に立つ。
年長者として一言、言うべきだと思ったのだろうか。
「黙ってたのは、すまん。でも、全員でワイワイと追い掛ければ、巣穴の中のゴブリン達に気付かれるだろう。そしたら、迎え撃たれる可能性がある」
ケロッとした顔でガイアナ姫は言ってのける。
(まぁ、一理あるな)
「それに、久々のモンスターとの戦いだ。はりきってしまった」
レイピアに付いた血を、葉っぱで拭いながら笑顔を浮かべる。
「……それにしても、巣穴まで行けば、ボスが現れると思ったのに」
「ボスですか」
「ああ。上位クラスのボスがいると思ったんだが、いなかった」
ガイアナ姫は一人でAクラスやBクラスと戦うつもりだったのだろう。
(まったく、ゲームと同じ性格だな)
"私にとって戦いとは自己表現"
確か、ゲーム中でガイアナ姫はそんなことを言っていた。
窮屈な城での生活や、しきたりだらけでプライベートの無い貴族の生活に嫌気が差している彼女は、冒険の中にこそ生きがいを見出していた。
彼女が魔王討伐の旅に出るのは、自分のやりたいこと、自分のためでもあった。
クルスがアティナとパンを焼くのと同じ様に。
それにしても、すごい惨状だ。
巣穴の中は水没し、ゴブリンが溜め込んでいたであろうアイテムを手に入れることは出来ない。
後先のことを考えずに突っ込むのは、ガイアナ姫の弱点かもしれない。
つづく
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