ヒロインなんかほっといて、主人公は異世界で静かに幼馴染とパンを焼いていたい

yonechanish

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第43話 探索結果

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 一ヶ月後--

 会議室の円卓を囲んでいるのは、ガイアナ姫、クラークソン兵隊長、その部下数名、デルマン男爵、村長、そしてクルス。
 一ヶ月の探索結果を総括するための会議が行われていた。

 円卓の上には探索結果を記した羊皮紙が置かれていた。
 遭遇したモンスターの種類と数を日ごとに集計した表。
 モンスターの特徴や戦闘方法。
 落としたアイテムについても記されている。

 これらの情報は王国に持ち帰り、重要な資料として活用される。

 だが、本当に欲しい情報はこの中には存在しなかった。

 なぜなら……

 結局、一ヶ月ほど探索したが、思ったような結果は得られなかった。
 つまり、Aクラス以上のモンスターは現れなかった。

「これだけ探索しても見つからないのであれば、見間違いでしょうか……」

 クラークソン兵隊長はため息をついた。

「そんなことはない。魔王の力は日々強まっている。事実、モンスターと遭遇することが日増しに多くなっているのは確かだ」

 ガイアナ姫は事実を認め様としなかった。

 確かにモンスターと遭遇する回数は増えていた。
 例えば、ゴブリンのスタンピードは珍しいことではなくなった。
 夜型のモンスターが昼にも現れる様になったし、E、Fクラスとはいえ、新種のモンスターも現れる様になった。

 それは、モンスターの生成《ポップ》頻度が高くなったということだ。

 生成《ポップ》には、魔力を要する。

 ガイアナ姫が感じている様に、魔王の力が強くなっている証拠だ。
 
「今回はAクラスの存在は確認出来なかったが、パルテノ村周辺の監視を怠ってはならない」

 ガイアナ姫がクラークソン兵隊長に向かってそう言った。
 兵隊長は顎髭に手を当て、こう返した。

「そうですね。領土を奪われるということは、王国にとっての収益が一つ減るということですから」

(おいおい、それじゃまるでパルテノ村が貯金箱みたいじゃないか)

 ラインハルホ王国は、領土つまり、街や村を治める代わりに、その領土から税というかたちで収益を得ていた。
 その収益は、王国の運営、そして街や村にとっての運営に使われた。

 王国が治める領土の中で、パルテノ村は比較的、作物が豊富に収穫出来る。
 従って、多額の税収が見込める重要な場所の一つだった。

 それを分かってはいても、クルスはクラークソン兵隊長の露骨な物の言い方に、嫌な気分になった。

 会議室がシンと静まる。

 ガイアナ姫が眉根を寄せ、不機嫌そうな顔になったからだ。

 静寂を切り裂いたのは、彼女の怒声だった。

「こら! クラークソン!」
「はっ、はいっ!」
「領民を物の様に言うでない! 領民あっての王国だ。言葉を慎め」
「はい……」

 ガイアナ姫に叱られ、シュンとなるクラークソン兵隊長。

「まったく。爺様の頃の体質がまだ抜けてない様だな」

 ガイアナ姫は、ラインハルホ王国の前国王、ラインハルホ・ウラヌスのことを言っているのだろう。

(……) 

 ガイアナ姫は、クルスに向かって一瞬、片目を閉じた。

 そんな姫に対して、クルスは真実を言えずに、心苦しかった。

つづく
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