ヒロインなんかほっといて、主人公は異世界で静かに幼馴染とパンを焼いていたい

yonechanish

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第45話 ガールフレンド

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「ガイアナ姫、よくぞお越しくださいました」
「うむ、そんなにかしこまらなくてもよい」

 膝まづき、敬礼するナツヤにガイアナ姫は気さくに声を掛けた。

「あ、ありがとうございます」
「爺様の頃、仕えてくれてたそうだな。ありがとう。苦労掛けたな」
「そっ、そんなことは……」

 ナツヤは感動からか、言葉を詰まらせた。

「私はしんみりするのは嫌いだ」
「はい……」

 ガイアナ姫はナツヤの肩を叩いた。
 そして、クルスとデメルを見た。
 ガイアナ姫は息を吸い込み、こう言った。

「今日はクルスの家族の普段の姿が見たいのだ。だから、私をラインハルホ王国のガイアナ姫と思うな」
「そう言われましても……」

 それでも、まだ戸惑うナツヤにガイアナ姫はため息をついた。

「そうだな……。よしっ、私をクルスの女友達だと思ってくれていい。その女友達が家に遊びに来ただけだ!」

 一人、手を叩き納得するガイアナ姫。
 満面の笑みを浮かべ、クルスを見つめる。

(ええ……?)

 困惑するクルス。

「わーいっ! ガイアナお姉ちゃんと、家族になったんだ!」

 やや間があって、デメルも手を叩く。

(妹よ……っ。家族になるのは気が早すぎるっ。……って、そんなの無理だろ)

「おお、それは名案。……じゃ、ガイアナと呼ばせてもらおうかな」

 デメルに倣い、ナツヤは頷いた。

(おい! 親父! 切り替え早すぎだろ!)

 クルスのツッコミをよそに、周りの人々で事実が固められていく。

「はい。お父さん! ねぇ、クルス。あなたの部屋、見せてよ。ずっと前からすごく興味があったんだからっ!」

 ガイアナ姫が、目をキラキラさせながら、クルスに擦り寄る。

(……って、姫。口調まで変わってるじゃねぇか!)

 なんだか、このまま冒険の旅に連れて行かれそうだ。

「……ん、そう言えば、クルス。お母さんは? 挨拶したいんだけど」

 ガイアナ姫が部屋中を見渡す。
 クルスがどう応えようか考えていたら、ナツヤが代わりに応えた。

~~~

「この通り、意識を失ったままなんです」

 寝室に通されたガイアナ姫の瞳には、目を閉じベッドに寝かされているユナの姿があった。

「一体どうして?」
「……それが、原因が分からない病でして」
「そうか……」

 ガイアナ姫は口をへの字に曲げ、眉根を寄せた。
 先程までの、ふざけたゴッコ遊びは鳴りを潜め、重苦しい空気が漂う。

「原因が分からないとその医者は言ったんだな?」
「はい。村の医者です」
「その医者を、ここに呼べ」

~~~

「ちゃんと診たのか?」
「はっ、はいっ!」

 背の低い白髭の白衣を着た医者は、後ずさった。
 無表情で一歩一歩詰め寄るガイアナ姫に、村の医者は恐怖で顔を引きつらせていた。

「ひ、姫……。お医者さんなりに良くやってくれたと思います……」

 二人の間に割って入ろうとするナツヤ。

「下がってろ」

 ガイアナ姫は手の平を突き出し、それを制した。
 気迫に押されたナツヤは引き下がるしかなかった。

「あわわ……」

 医者はこれ以上引き下がれない。
 後ろが壁だからだ。

ドン!

「ひっ」

 目を瞑る医者。
 右手で壁を突き、しゃがみ込んで医者の顔を覗き込むガイアナ姫。

「病を治すには薬が必要だ、と言ったそうだな」
「はっ、はい……」
「ユナさんの病に効く薬は無い、と言ったそうだな」

(これじゃ、尋問だ……)

 クルスはガイアナ姫から狂気を感じた。

「本当に調べつくしてそう結論付けたのか?」
「は、は……い……」
「本当か?」

 左手で医者の襟首をつかみ、ねじり上げた。

「この世界の全ての文献を調べても、医者に話を聞いても、治す薬は無い。そうなんだな?」
「いっ……いえ……。全ては、さすがにこんな辺鄙な村では情報不足で」
「言い訳するな。城の図書館は庶民にいつでも開放されている」

 ガイアナ姫は床に医者を放り投げると、クルスの方を向いた。

「大丈夫だ。私の主治医を城から連れて来させる」

つづく
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