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第69話 出入り禁止!
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エスティアの服装は汚れてはいないが、みすぼらしいものだった。
特に袖のところがボロボロなのが目立つ。
白い丸い襟の半袖シャツに、同じく白いズボン。
だけど、サイズが合っていないのか、へその辺りが丸出しだった。
ズボンもひざっ小僧が見えている。
「まず、服でも買おうか……」
クルスの提案に応える様にエスティアのお腹が、
ぐ~っ……
と鳴った。
「にゃっ!」
顔を真っ赤にして、両手を小さなお腹の上に被せた。
ピンク色の肉球がへそに当たってる。
恥ずかしいのか、俯いてしまった。
「……お腹空いてるんだね」
「お腹空いたにゃ」
エスティアはゆっくりと顔を上げ、上目遣いでクルスの顔を窺う。
「じゃ、何か食べよう!」
「みゃあぁっ!」
エスティアは垂れ目になり舌を出してクルスの足元に擦り寄った。
頬を脛に当てスリスリし始めた。
「ほら、行くぞ」
(腹が減っては戦は出来ぬって言うしな……。ま、服を買いに行くだけだけど……)
クルスはエスティアの先に立ち歩き出した。
エスティアもピョコピョコとスキップしながら着いて行く。
~~~
だが……
「獣人はお断りです」
どこの店に行っても断られた。
獣の毛が料理に入って不衛生だとか、いろんな理由をつけて断られる。
無理も無い。
本当の理由は、獣人に対する差別や偏見なのだろう。
「やっぱ、仕方ないにゃ……」
エスティアの尖った耳が垂れ下がり、尻尾も力なく地面にペタリとついていた。
気が付いたら海辺を歩いていた。
海に沈む夕日が、へこんでる二人を橙色に染めていた。
「エスティア。落ち込むなよ。こうなったら、あそこの屋台で何か買って海でも見ながら食べようぜ」
クルスの指差す先には、軽食を売っている屋台があった。
そう妥協仕掛けた時……
「お二人さん、うちの店なら獣人も大丈夫だよ」
振り返ると、丸い顔と丸い身体をしたふくよかな年配の女が立っていた。
長い髪を後ろで玉ねぎみたいな形にして結っている。
オレンジ色のワンピースの裾が、海風に揺れていた。
おばさんは細い目をさらに細め、ニコニコ笑っている。
~~~
港が真正面に見える食堂で、クルスとエスティアは久々の食事にありついていた。
店内は木製でゴザの様な敷物が敷かれている。
窓全開で、潮風が心地よく入って来る。
「海の家みたいだ」
「海の家?」
「ああ……まぁ、何て言ったらいいかなぁ」
転生元の世界をエスティアにどう話していいか、クルスは考えてしまった。
クルスが黙りこくったので、エスティアは料理に夢中になった。
丸い木の机の上には、焼き、フライ、煮、刺身など様々な魚料理が並んでいた。
それらをエスティアは、一心不乱に素手でがっついている。
(よっぽど腹が減ってたんだな)
エスティアを救うのに相当金を使ったが、まだいくらか残っている。
ここの飯代なら平気で出せるくらいはある。
「うちは魚料理が自慢なんだよ。沢山お食べ」
先程店に誘ってくれた女は、この店の店主だった。
「ありがとうございます」
「あんたたちの一部始終見てたよ。獣人とはいえ、女の子を助けるなんてカッコいいことするじゃないか」
店主の女はクルスを褒めた。
見ている人は見ていてくれてるんだと思うと、クルスは感動した。
「うちは獣人でも大歓迎さ。ゆっくりして行きな」
「はいっ!」
「にゃあっ!」
しばしの安息。
気が休まると共にクルスは、これからどうすればいいのか考え込んだ。
(持って帰って来たのが、アポロの花の蜜じゃなくて、猫耳少女だったら皆、驚くだろうな……)
ユナの病を治すための特効薬であるアポロの花の蜜を取りに行くのが当初の目的だった。
だが、ロドス大陸への定期船に乗ることさえも出来なかった。
待つにしても次のロドス大陸への定期船は一ヶ月後。
それを待っていたらユナは死んでしまう。
お腹がいっぱいになったクルスは、考える余裕が出て来た。
それは現実と向き合うということだった。
(何とか、ロドス大陸へ渡る方法は無いだろうか……)
つづく
特に袖のところがボロボロなのが目立つ。
白い丸い襟の半袖シャツに、同じく白いズボン。
だけど、サイズが合っていないのか、へその辺りが丸出しだった。
ズボンもひざっ小僧が見えている。
「まず、服でも買おうか……」
クルスの提案に応える様にエスティアのお腹が、
ぐ~っ……
と鳴った。
「にゃっ!」
顔を真っ赤にして、両手を小さなお腹の上に被せた。
ピンク色の肉球がへそに当たってる。
恥ずかしいのか、俯いてしまった。
「……お腹空いてるんだね」
「お腹空いたにゃ」
エスティアはゆっくりと顔を上げ、上目遣いでクルスの顔を窺う。
「じゃ、何か食べよう!」
「みゃあぁっ!」
エスティアは垂れ目になり舌を出してクルスの足元に擦り寄った。
頬を脛に当てスリスリし始めた。
「ほら、行くぞ」
(腹が減っては戦は出来ぬって言うしな……。ま、服を買いに行くだけだけど……)
クルスはエスティアの先に立ち歩き出した。
エスティアもピョコピョコとスキップしながら着いて行く。
~~~
だが……
「獣人はお断りです」
どこの店に行っても断られた。
獣の毛が料理に入って不衛生だとか、いろんな理由をつけて断られる。
無理も無い。
本当の理由は、獣人に対する差別や偏見なのだろう。
「やっぱ、仕方ないにゃ……」
エスティアの尖った耳が垂れ下がり、尻尾も力なく地面にペタリとついていた。
気が付いたら海辺を歩いていた。
海に沈む夕日が、へこんでる二人を橙色に染めていた。
「エスティア。落ち込むなよ。こうなったら、あそこの屋台で何か買って海でも見ながら食べようぜ」
クルスの指差す先には、軽食を売っている屋台があった。
そう妥協仕掛けた時……
「お二人さん、うちの店なら獣人も大丈夫だよ」
振り返ると、丸い顔と丸い身体をしたふくよかな年配の女が立っていた。
長い髪を後ろで玉ねぎみたいな形にして結っている。
オレンジ色のワンピースの裾が、海風に揺れていた。
おばさんは細い目をさらに細め、ニコニコ笑っている。
~~~
港が真正面に見える食堂で、クルスとエスティアは久々の食事にありついていた。
店内は木製でゴザの様な敷物が敷かれている。
窓全開で、潮風が心地よく入って来る。
「海の家みたいだ」
「海の家?」
「ああ……まぁ、何て言ったらいいかなぁ」
転生元の世界をエスティアにどう話していいか、クルスは考えてしまった。
クルスが黙りこくったので、エスティアは料理に夢中になった。
丸い木の机の上には、焼き、フライ、煮、刺身など様々な魚料理が並んでいた。
それらをエスティアは、一心不乱に素手でがっついている。
(よっぽど腹が減ってたんだな)
エスティアを救うのに相当金を使ったが、まだいくらか残っている。
ここの飯代なら平気で出せるくらいはある。
「うちは魚料理が自慢なんだよ。沢山お食べ」
先程店に誘ってくれた女は、この店の店主だった。
「ありがとうございます」
「あんたたちの一部始終見てたよ。獣人とはいえ、女の子を助けるなんてカッコいいことするじゃないか」
店主の女はクルスを褒めた。
見ている人は見ていてくれてるんだと思うと、クルスは感動した。
「うちは獣人でも大歓迎さ。ゆっくりして行きな」
「はいっ!」
「にゃあっ!」
しばしの安息。
気が休まると共にクルスは、これからどうすればいいのか考え込んだ。
(持って帰って来たのが、アポロの花の蜜じゃなくて、猫耳少女だったら皆、驚くだろうな……)
ユナの病を治すための特効薬であるアポロの花の蜜を取りに行くのが当初の目的だった。
だが、ロドス大陸への定期船に乗ることさえも出来なかった。
待つにしても次のロドス大陸への定期船は一ヶ月後。
それを待っていたらユナは死んでしまう。
お腹がいっぱいになったクルスは、考える余裕が出て来た。
それは現実と向き合うということだった。
(何とか、ロドス大陸へ渡る方法は無いだろうか……)
つづく
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