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第36話 チート救世主は美少女ヒロインたちにもてるけど、昔の初恋の相手をいまだに想ってる。
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救世主である僕の行動が世界に大きな影響を与える。
世界自体を消滅させることだって出来る。
そのことに今更ながら僕は驚き、怯えていた。
僕は外に出て一人、膝を抱え考え込んでいた。
世界の端っこで、どこまでも続く暗闇を見つめていた。
「ユウタ」
ソプラノ声が耳に響いた。
「フィナ」
振り返ると、緑の髪をポニーテールにした踊り子がそこにいた。
藍色のドレスの裾が風に吹かれて揺れている。
「踊ろう」
フィナが僕の手を取る。
立ち上がる。
フィナに引き寄せられる。
近い。
僕の右脇腹とフィナの左脇腹がくっついてる。
甘い匂いがする。
鼓動が止まらない。
そして、僕は踊り方を知らない。
「ジルバなら簡単だよ」
「それも、知らないよ」
「んとね、フィナの肩甲骨の辺りに右手を添えて。んで、左手は私の右手と握り合う」
フィナがリズムを取り出す。
「スロー、スロー、クイック、クイック」
彼女のリードで僕は自然と身体が動く。
地面に長く伸びる二人の影が揺れる。
リズムに身を任せて踊るのは心地よい。
さっきまで塞いでいた気持ちが、徐々に晴れて行く。
「ユウタ!」
「フィナ!」
僕も慣れて来て、彼女の背中を押す。
僕の意を感じ取ったように彼女がターンする。
「ユウタ、上手!」
「ありがと」
「ねぇ、ユウタ」
ポニーテールを揺らしながらフィナが問い掛ける。
「ネスコはああ言うけど、ユウタが一緒に居たい人を選んでね」
「うん」
「願うんだよ。ユウタ。自分の仲間になって欲しい人のことを」
フィナが僕のリードでステップを踏む。
頬を紅潮させ、軽いステップで飛び跳ねるフィナは可愛くてとても綺麗だ。
フィナの残像に囲まれた僕は、万華鏡の中にいるみたいだ。
彼女のお陰で、僕はダンスのスキルが身に付いた。
仲間になって欲しい人。
僕を奴隷生活から引き上げてくれたタイチか。
僕のことを想ってくれているリンネか。
それとも……
僕は、その人の顔を思い出した時、フィナの顔をまともに見れなかった。
まともに見る資格は無いと思ったからだ。
◇
二人で月を見ながら座る。
「ダンスって楽しいでしょ?」
「ああ」
「今度はワルツ教えてあげるね」
僕はフィナと踊って楽しかった。
彼女のお陰で、僕は元気になった。
そして、僕は彼女に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
奴隷の少女。
僕が奴隷だった頃、生まれて初めて好きになった人だ。
と同時に、僕は彼女に酷い目に合い、恋愛恐怖症、人間不信になった。
そんな人を、フィナと踊ってる時に思い出すなんて……
「フィナ、ごめん」
「ん?」
「僕、君のこと侮辱した」
僕は過去のことを話し、正直に気持ちを話した。
「話してくれて、ありがとう。ユウタ」
「フィナ……」
「ユウタのそういうところ、好きだよ」
僕に優し過ぎやしないか。
そのことが逆に僕を不安にさせる。
僕は愛された後、裏切られ、傷付くことを恐れていた。
僕は問い掛けた。
「僕を好きなのも、やっぱり君の運命なの?」
ネスコが言っていた。
「人間を一定の方向へ導く。それがNPCだ」
フィナが僕を好きでいてくれるのも、NPCだからか。
僕は本当に愛されたかったし、僕も本当に愛したかった。
フィナは笑顔でこう答えた。
「私、難しいことは分からない。だけど、ユウタを好きでいるのは私の意志だよ。私、好きな人としかダンスは踊らない」
僕は、脳裏から奴隷少女のことをかき消した。
つづく
世界自体を消滅させることだって出来る。
そのことに今更ながら僕は驚き、怯えていた。
僕は外に出て一人、膝を抱え考え込んでいた。
世界の端っこで、どこまでも続く暗闇を見つめていた。
「ユウタ」
ソプラノ声が耳に響いた。
「フィナ」
振り返ると、緑の髪をポニーテールにした踊り子がそこにいた。
藍色のドレスの裾が風に吹かれて揺れている。
「踊ろう」
フィナが僕の手を取る。
立ち上がる。
フィナに引き寄せられる。
近い。
僕の右脇腹とフィナの左脇腹がくっついてる。
甘い匂いがする。
鼓動が止まらない。
そして、僕は踊り方を知らない。
「ジルバなら簡単だよ」
「それも、知らないよ」
「んとね、フィナの肩甲骨の辺りに右手を添えて。んで、左手は私の右手と握り合う」
フィナがリズムを取り出す。
「スロー、スロー、クイック、クイック」
彼女のリードで僕は自然と身体が動く。
地面に長く伸びる二人の影が揺れる。
リズムに身を任せて踊るのは心地よい。
さっきまで塞いでいた気持ちが、徐々に晴れて行く。
「ユウタ!」
「フィナ!」
僕も慣れて来て、彼女の背中を押す。
僕の意を感じ取ったように彼女がターンする。
「ユウタ、上手!」
「ありがと」
「ねぇ、ユウタ」
ポニーテールを揺らしながらフィナが問い掛ける。
「ネスコはああ言うけど、ユウタが一緒に居たい人を選んでね」
「うん」
「願うんだよ。ユウタ。自分の仲間になって欲しい人のことを」
フィナが僕のリードでステップを踏む。
頬を紅潮させ、軽いステップで飛び跳ねるフィナは可愛くてとても綺麗だ。
フィナの残像に囲まれた僕は、万華鏡の中にいるみたいだ。
彼女のお陰で、僕はダンスのスキルが身に付いた。
仲間になって欲しい人。
僕を奴隷生活から引き上げてくれたタイチか。
僕のことを想ってくれているリンネか。
それとも……
僕は、その人の顔を思い出した時、フィナの顔をまともに見れなかった。
まともに見る資格は無いと思ったからだ。
◇
二人で月を見ながら座る。
「ダンスって楽しいでしょ?」
「ああ」
「今度はワルツ教えてあげるね」
僕はフィナと踊って楽しかった。
彼女のお陰で、僕は元気になった。
そして、僕は彼女に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
奴隷の少女。
僕が奴隷だった頃、生まれて初めて好きになった人だ。
と同時に、僕は彼女に酷い目に合い、恋愛恐怖症、人間不信になった。
そんな人を、フィナと踊ってる時に思い出すなんて……
「フィナ、ごめん」
「ん?」
「僕、君のこと侮辱した」
僕は過去のことを話し、正直に気持ちを話した。
「話してくれて、ありがとう。ユウタ」
「フィナ……」
「ユウタのそういうところ、好きだよ」
僕に優し過ぎやしないか。
そのことが逆に僕を不安にさせる。
僕は愛された後、裏切られ、傷付くことを恐れていた。
僕は問い掛けた。
「僕を好きなのも、やっぱり君の運命なの?」
ネスコが言っていた。
「人間を一定の方向へ導く。それがNPCだ」
フィナが僕を好きでいてくれるのも、NPCだからか。
僕は本当に愛されたかったし、僕も本当に愛したかった。
フィナは笑顔でこう答えた。
「私、難しいことは分からない。だけど、ユウタを好きでいるのは私の意志だよ。私、好きな人としかダンスは踊らない」
僕は、脳裏から奴隷少女のことをかき消した。
つづく
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