63 / 199
第63話 ステータスはバランスを考えて慎重にステ振りさせましょう。
しおりを挟む
「てめぇ! どこのもんだ!?」
ミチヤスが声を荒げる。
今更な質問ではある。
彼にとってはそれどころでは無かったのだろうが。
「ステータスを見れば分かるだろ」
リンネはそれを冷静に受け止める。
「くっ……」
ミチヤスは顔をしかめた。
そして、こう呟いた。
「鉄騎同盟……」
懐かしい響きだ。
僕はそう思った。
「まだ存在していたのか……」
「失礼な」
リンネの手から手裏剣が放たれる。
それは彼の身体を正確に射抜いて行った。
「ぐくっ……これが俺の本当の実力だと思うなよ。これでも、ドワーフを殺したせいでレベルが10も下がったんだ。レベル62のお前なんか本来敵じゃねぇ」
ミチヤスは今、レベル72だった。
ネスコが言っていた。
亜人間、つまりNPCを殺した者は神からペナルティを受ける。
彼の場合、レベルが82から10減って、72になった。
やはり、彼がテルミンとユメルを殺したのか。
「負け惜しみか。仮にお前がレベル82だとしても、その極端に攻撃力だけに偏ったステ振りじゃ、私には勝てないよ」
「何!?」
プライドを傷付けられたのか、唸り声を上げる。
リンネに身体ごと突進する。
「これから死ぬお前に忠告しても仕方がないが、あえて言おう……」
彼女は猛牛の様な突進を難なくかわした。
ミチヤスは勢い余って、大木に激突した。
倒れたミチヤスに近寄り、続きを口にする。
「良く考えて構築するんだな」
リンネがクナイで十字を切った。
◇
戦士ミチヤスは、リンネとの戦いで死んだ。
それは一方的な戦いだった。
「リンネ……ありがとう」
僕は彼女に頭を下げた。
彼女は視線を前に向けたまま、小さく頷いた。
お互い訊きたいことは沢山ある。
だが、お互い何だか照れくさくて、どちらが先に話すか、牽制しあっているかの様だ。
「ユウタ。成長したな」
リンネが僕の方を向いて、そう言った。
黒くてツヤのある髪がなびいた。
僕と目が合うと、彼女の顔は自然と少しほころんだ。
「あ、ああ……鉄騎同盟をクビになってから色々あってね……」
ネスコにはまだ身近な者以外に、救世主であることを言うなと釘を刺されていた。
「ユウタ。お前も気を付けろよ」
「え?」
「お前、レベル56だろ。60からは、パラメータを各ステータスに自由に設定出来るようになる」
代表的なステータスは、攻撃力、防御力、賢さ、運、HP、MP、素早さといったものだ。
リンネ曰く、
レベル59まではレベルアップの度に、各ステータスにはランダムにパラメータが割り当てられる。
それは職業により異なる。
例えば、戦士職なら攻撃力と守備力とHPに多くのパラメータが割当たるし、魔法使いなら賢さとMPに大きく割り当てられる。
だが、レベル60からは与えられたパラメータを自分で自由に各ステータスに割り当てることが出来るらしい。
「ミチヤスみたいにセンスが悪い奴だと、攻撃力ばかりにステ振りし過ぎて、他が疎かになる。もう少しバランスを考えれば、私に寝首をかかれることは無かった」
ミチヤスなりのポリシーがあって攻撃力に特化した構築だったのだろうが、バランスが悪ければ、いくらレベルが高くても、レベルが低い者に負ける。
彼が素早さや、賢さなどのパラメータに値を割いていれば、死ぬことは無かったかもしれない。
そうは言っても、後の祭りだ。
彼の場合、戦士としてのプライドから攻撃力だけは誰にも負けたくなかったのだろう。
リンネとはもっと肝心なことを話すべきなのに。
それを避ける様に、こんな当たり障りの無い話になってしまった。(こういう話も大事ではあるが)
「ありがとう。リンネ」
「うむ」
そうだ。
行かなきゃ。
「リンネ、僕はこれからあの洞穴の中に行く」
「ほう」
言うべきかどうか迷ったが、ハッキリ言った方がいいと思った。
「僕の大切な人が囚われてるんだ」
つづく
ミチヤスが声を荒げる。
今更な質問ではある。
彼にとってはそれどころでは無かったのだろうが。
「ステータスを見れば分かるだろ」
リンネはそれを冷静に受け止める。
「くっ……」
ミチヤスは顔をしかめた。
そして、こう呟いた。
「鉄騎同盟……」
懐かしい響きだ。
僕はそう思った。
「まだ存在していたのか……」
「失礼な」
リンネの手から手裏剣が放たれる。
それは彼の身体を正確に射抜いて行った。
「ぐくっ……これが俺の本当の実力だと思うなよ。これでも、ドワーフを殺したせいでレベルが10も下がったんだ。レベル62のお前なんか本来敵じゃねぇ」
ミチヤスは今、レベル72だった。
ネスコが言っていた。
亜人間、つまりNPCを殺した者は神からペナルティを受ける。
彼の場合、レベルが82から10減って、72になった。
やはり、彼がテルミンとユメルを殺したのか。
「負け惜しみか。仮にお前がレベル82だとしても、その極端に攻撃力だけに偏ったステ振りじゃ、私には勝てないよ」
「何!?」
プライドを傷付けられたのか、唸り声を上げる。
リンネに身体ごと突進する。
「これから死ぬお前に忠告しても仕方がないが、あえて言おう……」
彼女は猛牛の様な突進を難なくかわした。
ミチヤスは勢い余って、大木に激突した。
倒れたミチヤスに近寄り、続きを口にする。
「良く考えて構築するんだな」
リンネがクナイで十字を切った。
◇
戦士ミチヤスは、リンネとの戦いで死んだ。
それは一方的な戦いだった。
「リンネ……ありがとう」
僕は彼女に頭を下げた。
彼女は視線を前に向けたまま、小さく頷いた。
お互い訊きたいことは沢山ある。
だが、お互い何だか照れくさくて、どちらが先に話すか、牽制しあっているかの様だ。
「ユウタ。成長したな」
リンネが僕の方を向いて、そう言った。
黒くてツヤのある髪がなびいた。
僕と目が合うと、彼女の顔は自然と少しほころんだ。
「あ、ああ……鉄騎同盟をクビになってから色々あってね……」
ネスコにはまだ身近な者以外に、救世主であることを言うなと釘を刺されていた。
「ユウタ。お前も気を付けろよ」
「え?」
「お前、レベル56だろ。60からは、パラメータを各ステータスに自由に設定出来るようになる」
代表的なステータスは、攻撃力、防御力、賢さ、運、HP、MP、素早さといったものだ。
リンネ曰く、
レベル59まではレベルアップの度に、各ステータスにはランダムにパラメータが割り当てられる。
それは職業により異なる。
例えば、戦士職なら攻撃力と守備力とHPに多くのパラメータが割当たるし、魔法使いなら賢さとMPに大きく割り当てられる。
だが、レベル60からは与えられたパラメータを自分で自由に各ステータスに割り当てることが出来るらしい。
「ミチヤスみたいにセンスが悪い奴だと、攻撃力ばかりにステ振りし過ぎて、他が疎かになる。もう少しバランスを考えれば、私に寝首をかかれることは無かった」
ミチヤスなりのポリシーがあって攻撃力に特化した構築だったのだろうが、バランスが悪ければ、いくらレベルが高くても、レベルが低い者に負ける。
彼が素早さや、賢さなどのパラメータに値を割いていれば、死ぬことは無かったかもしれない。
そうは言っても、後の祭りだ。
彼の場合、戦士としてのプライドから攻撃力だけは誰にも負けたくなかったのだろう。
リンネとはもっと肝心なことを話すべきなのに。
それを避ける様に、こんな当たり障りの無い話になってしまった。(こういう話も大事ではあるが)
「ありがとう。リンネ」
「うむ」
そうだ。
行かなきゃ。
「リンネ、僕はこれからあの洞穴の中に行く」
「ほう」
言うべきかどうか迷ったが、ハッキリ言った方がいいと思った。
「僕の大切な人が囚われてるんだ」
つづく
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい
冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。
何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。
「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。
その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。
追放コンビは不運な運命を逆転できるのか?
(完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる