ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish

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第147話 理想論

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(マリアン、お前はもう用なしだ)

 低くゆっくりとした機械的な声。
 僕以外の皆にもそれは聞こえたのだろう。
 皆、辺りを見渡しその声の主を探す。

「剣が……」

 ガイアが指差す。
 マリアンの手から緑色の剣が離れて行く。
 まるで意志を持ったかのように刀身を真っすぐにし、天に向かって昇って行く。

「おお……」

 僕は目が離せなかった。
 何故なら、緑色の刀身が黒く……漆黒に変わって行く。
 それに伴い、マリアンのうつろだった目に光が宿る。

「い、一体、私は……」
「マリアンさん、上!」

 正気に戻った彼女の頭上に、漆黒に染まった剣の先端が迫る。
 僕は無我夢中で走り出していた。
 誰も彼女を助けようとしない。
 ガイアはマリアンのことが大嫌いだった。
 他の皆も、そうかもしれない。
 蟹の泡の結界が破られた今、嫌われ者のマリアンは死んでもいいと、皆から思われている。
 だから、僕が彼女を助けようと思った。
 剣が彼女の頭頂部に到達するまであと数センチ。
 僕は地面を蹴って彼女に突っ込む。

「ぐふ!」

 脇腹に頭から突っ込み、一緒に数メートル先までゴロゴロと転がる。
 地面に叩きつけられ、僕はダメージを受ける。
 剣は僕達がさっきまでいた場所に、突き刺さっていた。

「ユウタ……お前……」

 僕の下でうつ伏せになったマリアンは、顔を上げた。
 僕と目が合う。
 彼女は膝を付き、立ち上がる。

「何で……?」

 彼女の瞳には、頬に擦り傷を付けた僕が映っている。

「僕は皆を救う。魔王を倒し、皆と地球《ちきゅう》に転生する」

 意識しなくても言葉が出た。
 
「ユウタ……」

 僕の頬にソっと手が添えられる。
 それは白く優しい温かい感触だった。
 マリアンは戦士だから治癒魔法は使えないはずだが、頬の傷は癒えた様な気がする。
 マリアンが口を開く。

「ユウタ、お前となら……」

 お互い、見つめ合う。
 彼女の厳つい顔しか見たこと無かった。
 こうやって落ち着いた表情を見るのは初めてだ。
 意外に可愛いな……。

(おいおい、いい感じになってんじゃねーぞ)

 何だよ。
 いいところなのに。

(俺を無視するんじゃねー)

 剣だ。
 剣が声を上げている。

(俺はこの段のボス。名前は特にないな。ま、師匠とでも呼んでくれ)

 機械的な声で、冗談とも本気ともつかないことを言うから、すごい違和感を感じる。
 剣が話すことに皆、それぞれの反応を示していた。

「わー、すごい! 師匠! 剣のくせに話せるんだ」

 フィナが剣に近づく。

「おい、フィナ危ないぞ!」

 珍しい物を見て、喜ぶのは仕方ないとしても、それは敵だぞ。

(おっ、ねーちゃん。俺の凄さがよく分かってるじゃねーか)

 剣が地面からひとりでに抜け、ユラリと舞う。
 そしてピタリと止まり、剣先をフィナに向ける。

(よーし、まずはお前からだな)

つづく
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