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第1章生徒会

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「じゃあオレの部屋はー?寮管理委員会は認めてるよぉ」
寮管理委員会、寮とそこに住まう生徒達を管理する委員会で、寮内での問題行動は生徒達の日常生活を乱さない範囲で罰を与える権利を持つ。風紀委員会とは対になる委員会だ。学校生活を取り締まる風紀委員に対し、寮管理委員は日常生活を管理する。13時までに寝ましょう、7時には起きましょう等は無く、10時以降は騒音を出さない等の常識の範囲の決まりがほとんどだ。また、寮内での暴行事件は寮管理委員会が取り締まる物で、風紀委員会に罰する権限は無い。昔は寮管理が軽めの罰を下すと風紀がクレームを入れたそうだ。
「生徒会の権限も、他の委員会の権力内では無力だよな」
「生徒会はみーんなの代表で仕事してる代わりに特別待遇を貰ってる立場だしぃ。その仕事に関する物とか特別待遇で貰う権利とかがあるからいーの。それにオレ達は委員も含めた生徒の代表だからぁ」
そう言って長話になると判断したのか、漣は俺が乗っていたベッドに腰掛け、男の子を膝の上に乗せる。そして視線はこちらに向けたまま、プチプチとボタンを外し始めた。止めろバカ。
「手を止めろここでそれをやるな。他に空き教室でも何でもあるだろうに」
「えー、めんどくさいよぉ」
「………」
額に手を置きため息を付く俺に、漣は呑気に大丈夫ぅ?と聞きてくる。その事に俺が苛立ちを感じ本当に頭痛を感じていると、焦れた少年が漣に擦りよった。
「漣様ぁ、早くしましょうよぉ♡」
「ちょっと待ってねぇ。流石のオレでも嫌がる人が居るのに出来ないしぃ。ねぇ、ルカくん、ここでヤっていーい?」
「嫌だとさっきから言っているだろ」
「そこをどーにかぁ──」
「ちょっとお前!漣様がこう言ってるのに、何で言う事を聞かないの?!お前何か漣なら簡単に潰せるんだからね!大体無礼なんだよ!抱かれない癖に図々しく漣様と話して!今すぐ出てけっっ!!」
「黙れよ」
そう言ったのは、漣だった。いつもの間延びした声じゃなく、冷ややかに男の子を見下ろしている。珍しい物に俺は目を瞬かせた。男の子も大層驚いたようで、あんぐりと口を開け漣を見上げている。漣は男の子の背中を乱暴に押して膝から下ろし、足を組んだ。
「キミが家の事を持ち込むなんてね、がっかりだよ。オレらはこの学園の中では1学生、そうでない場面はあろうとも、少なくともオレは学生として学園生活を満喫したいと思ってる」
満喫の仕方が不純すぎるけど。
俺の心の中の突っ込みは届くはずもなく、漣は冷たい表情で言葉を続ける。
「それなのにキミは……。前々からこういうのの予兆はあったけど、本当につまらないね。それにルカくんは大手製薬会社会長の息子だよ。神代家はずっと前からその事業をやってた。無礼だ何だ勝手に言ってるけどさ、立場で言えばオレと対等でキミ以上。分かる?キミの理論ではキミは今、ルカくんに無礼を働いているね」
「でもっ、でも!本当にそんな身分があるなら何故こいつは委員会に所属していないんですか?!」 
格上のはずの漣の言葉を遮りキッとこちらを睨む男の子に俺は顔を歪める。何て質問をしてきやがるんだこいつは。言いたく無い、そう思い俺は口ごもる。
「それは──」
「成績が低いからだよぉ」
へにゃりとした顔に戻りそう言った漣に、俺はこいつの首を絞めてやろうかとマジで思った。
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