上 下
17 / 29
第1章生徒会

16

しおりを挟む
毬藻が編入してきてから1週間、ふと俺は疑問に思った。しょっちゅうお見合いをして親に女の子が好きアピールしてるのに、何故俺は男子校に居るんだろう。
そういう事で両親に手紙を出した。で、返ってきたのは、女性向けのグラビア雑誌。クソッ、唇のホクロエロい!!
「神代様はそのような女性がお好きなのですか?」
「キャっ!…ん?え?あぁ、う、うん。まぁね」
自室のベッドの上でグラビア雑誌に没頭していた俺は、部屋に入ってきた同室で同じ部の徳原紫苑とくはらしおんに驚き目を瞬かせながらそう答える。そうなのですか、とにこやかな笑みを浮かべながら雑誌を覗き込んできた徳原に気まずさを覚えながら、俺は彼にその雑誌を手渡す。
徳原は黒髪に緑の目と、和を漂わせた美少年だ。THE和風男子と言った感じで俺と違い性欲も無さそうで純粋なイメージ、徳原家も確か京都の伝統ある名家だったはず。
そんな彼はにこにこと微笑みながらグラビア雑誌を1枚1枚丁寧に眺め、数分後にパタンと雑誌を閉じた。
「とても麗しい女性達でしたね。神代様がこのような書物を持っておられたのは存じておりましたが、興味深いです。こちらは何処の文庫でしょう?」
麗しい、書物、文庫。グラビア雑誌に似合わない単語をポンポンと言う徳原に俺はいたたまれない気持ちになる。気を紛らすように時計に目を向け、18時を指す針に俺は話を反す話題を思い浮かべた。
「あっ、もう18時だね。食堂に行かない?夕食を取ろーよっ」
「もうそんな時間でしたか。少々お待ち頂けませんか?羽織を取って参ります」
「オッケー。俺も少しメイク直してくるねっ」
そう言ってパチンと徳原にウインクするが、彼は変わらぬ笑顔を浮かべたまま優雅に部屋に戻っていった。キモいと言われるのも傷付くが無反応もそれはそれで傷付く。
デリケートなお年頃の俺は少し肩を落としながら引き出しを開け並べられた様々な色のリップを見た。少し悩んだ末ピンクプリンスのリップに決め鏡を見ながら慎重にリップを塗ると、下ろしていたウィッグの髪を桃色のゴムで軽く纏め俺は部屋から出た。部屋から出てすぐあるリビングを見ると、緑色の着物を着て肩に赤い羽織を掛けた徳原が立っていた。彼は俺に気が付きにこやかな笑みを浮かべて歩み寄ってくる。
「神代様」
「待たせてごめんねっ、行けそう?」
「えぇ。それに私も準備が長引き先程終わったばかりなので大丈夫ですよ」
そう言って微笑む徳原と共に部屋を出て、俺達は寮内にある食堂へと向かうのだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪役令息だが、愛されたいとは言っていない!【書籍化決定】

BL / 連載中 24h.ポイント:1,285pt お気に入り:1,114

カフェと雪の女王と、多分恋の話

BL / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:12

【完結】新米女王の婿選び

恋愛 / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:329

【BL】霊力チートのΩには5人の神格αがいる【完結】

BL / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:389

おっさんが願うもの

BL / 連載中 24h.ポイント:789pt お気に入り:24

✿エロBL小話をAI挿絵と共に【2】✿

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:13

処理中です...