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第1章生徒会

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熱を出しかに鍋を食べ気絶してから3日経った日の放課後、漣が風邪を引いて学校を休んだ。クソどうでもいいが、何故か学年主任の志澤ティーチャーに、何故か漣にプリントを届けるよう言われた。
「えー、何で俺なの?書記さんでいいじゃないですかぁ」
「勿論声は掛けたが、ダッシュで逃げられた。だからお前だ」
「けど俺病み上がり」
「お前が熱出しながら朦朧と部屋でエロゲやってた事、徳原から聞いたぞ」
「えっ、うそでしょ?恥ずかし!」
両手で顔を覆いそう叫ぶ俺に、頼んだぞとめんどくさそうな声音でプリントを押し付けた志澤ティーチャーはすたすたと職員室へ去っていった。あんなのが教師でいいのか、日本よ。
そう思いながら俺はため息を付き、通学カバンを肩に掛け寮へ向かう。委員会に所属している者達は寮の最上階にあるVIPルームを使用しており、使うエレベーターは一般生徒が使う物では無く別のエレベーター。このエレベーターで無ければ最上階まで行かない為、これを使用しなければならない。そして夜這い防止の為にボタン近くにある指定の場所にカードをかざさなければエレベーターは動かない。そう、動かないのである。
「……カードの件忘れてた……」
委員専用エレベーターの前で項垂れた俺はそう呟く。 と、ふと背後に気配を感じた。
「…ど…、した…、の……?」
後ろからぼそぼそと耳元で小さく言われる。そう、まるで幽霊かのように。
「ギィヤァァァァァ!!!!」
「うわぁぁぁァァァ?!?!」
「アィヤァァa───」
「うるっさいですね、乗るなら早く乗りなさい」
俺の渾身の叫び声を遮り冷たくそう言い捨てたのは副会長で、俺の背後霊かと思ったが違ったのが書記。うるさいのは俺のせいじゃないと書記に罪を擦り付けようと思ったが、それより早く背中を押され半ば強引にエスカレーターに乗せられた。ピッと副会長がカードを指定された場所にかざすと、エレベーターの扉は閉じて上に上り始める。
副会長はエレベーターの壁に背中を預け、何故かこちらを睨んで来た。何故。
「エレベーターの前で今後一切叫ばないでください、ひたすらにうるさいです」
「ごっめ~ん☆」
「……ご……ご、め……」
ピキリとこめかみに青筋を立てて俺を睨んでくる。何で俺なのか、書記はどうした。
「………、それで、貴方は何故居るんです?まさか夜這いですか」
「失礼な、空き巣はしても夜這いはしません」
「何故犯罪者予備軍がこの学園に居るんです、今すぐ退学なさい」
「嫌ですぅ、大体犯罪者予備軍って言うなら先輩の方が───」
狭い密室のエレベーターの中で口喧嘩を始める俺と副会長を書記はあわあわと見比べるが、コミュ障である彼は止めはしない。狭いと言ったがいつも乗っているエレベーターよりは格段に広い為、恐らく掴みかかっての喧嘩もある程度なら出来るだろう。───やるか。
俺と副会長がボキボキと拳を鳴らし始めた頃、チーンとなってエレベーターが止まった。どうやら着いたようだ。
「あ……、お……、……降り……」
「降りましょうか」
「そうですね」
書記の言葉を無意識に遮った副会長の言葉を肯定し、俺達はエレベーターを降りる。久しぶりに来る、イギリス王室をモチーフにしたVIPフロアを見回し俺は感嘆した。
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