異世界に転生した青年、「天災」の竜人となる

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第1章

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緊急依頼を達成した日の夜。

俺は今自分が泊まっている宿の部屋のベッドに腰掛けている。

ちなみに報酬の話は明日に延期となった。

理由としては討伐するのが早すぎて国からの報酬がまだギルドに届いていないらしい。

なのでやることがなく疲れていたので今日は宿に帰ることにした。

その道中でアイリスに「話があるから今日レオの部屋に行くね」と言われているので俺は待っている。

やばい、緊張してきた。

そんなことを思いながら待っていると部屋のドアがノックされる。

「アイリスだよ。入ってもいい?」

「いいよ」

俺がそう返事をするとドアが開く。

入ってくるのは当然アイリスでそれを確認した俺は少し姿勢を正す。

そうしている間にアイリスは俺の隣に腰掛けて喋り始める。

「ねえ、レオ」

「なに?」

「あの時私に好きって言ったのは本当?」

ん?

あああああー!!

忘れてたあああー!!

あの時死ぬと思って気持ち伝えたの忘れてたああーー!!

「もしかして……覚えていない?」

「いや、大丈夫。ちゃんと覚えているから!!」

「じゃああれは本当なの?」

アイリスは俺に真剣に訊く。

その様子を見て俺は腹をくくり正直に答える。

「うん、本当だよ。俺は君のことが好きだ」

俺は彼女の目を見てそう言う。

「……そっか。…ふふ」

そう言ってアイリスは笑う。

「レオ」

「ん?」

「私もレオのことが好きだよ」

そう言われて俺はすごく嬉しくなった。

好きな人と両想い。

それを知っただけで俺は彼女を抱きしめたくなってしまう。

しかしアイリスの言葉がそれを制した。

「……でも、私はレオと一緒にいない方が良いかもしれない」

「えっ?なんで?」

「私は“穢れた子”だから」

アイリスはそう言うと自分のことについて話し始めた。

彼女が始祖竜と人の半竜人だと言うこと。

彼女が竜人の国でどんな扱いを受けていたのかということ。

そして……

彼女がこの世界においてどんな存在かということ。

彼女に関する全てを俺は聞いた。

「……」

「だから、レオが私と一緒にいるとレオも酷い目に遭うかもしれない。私は貴方にそんな目に遭ってほしくないの」

「……」

「他にも私の血を狙う人が大勢出てくるかもしれない。そうなると貴方も命を狙われるかもしれない。だから……」

「辛かっただろ」

「えっ?」

そう言い俺はアイリスを優しく抱きしめる。

急に抱きしめられた彼女は驚いているが俺はまだ喋る。

「苦しかった時も沢山あっただろ」

「レ、レオ。今の話聞いてた?」

「聞いてたよ」

「なら私といると酷い目に遭うかもしれないのも聞いたでしょ」

「そんな話聞かされたら尚更君を一人に出来ないよ」

「……」

「俺はさ、アイリスのことが好きだ」

「……うん」

「君が隣にいるだけで幸せな気持ちになってしまうぐらい俺はアイリスが好きだ」

「…うん」

「そんな君が辛い思いをしていると俺も辛い」

「うん」

「だから俺は君と一緒にいたい。君が苦しんでいても寄り添えるように。君の苦しみを取り除くために」

「うん」

「この世界で君のことを罵ったり、蔑んだり、侮辱しようとする奴がいても俺がそれをさせない」

「うん」

「君のためなら俺はこの世界を変えてみせる」
 
「うん」

「だからアイリス、俺と一緒にいてくれ」

「ゔん」

俺がそう言ってより一層強く抱くとアイリスは泣きながら抱き返してくれる。

この日の夜、俺とアイリスは恋人となった。
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