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第2章
予想外の出会い
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俺達が打ち上げから帰った翌朝、宿でギンハは具合が悪そうにしており、その背中をアイリスがさすっていた。
「ギンハ、大丈夫?」
「はい…大丈夫です…」
ギンハはそう言うが見るからにつらそうだ。
「……したかない。アイリス、ギンハにキュアをかけてあげて」
「りょーかい」
アイリスは返事をしてギンハにキュアをかける。
「すみません。酔いなんかにキュアをかけてもらって」
「そこは謝らなくていいよ、言うとしたら“ありがとう“だよ」
「はい、ありがとうございます」
「うん、それでいいよ」
ギンハの感謝の言葉にアイリスは笑顔になり満足する。
ギンハの具合が良くなったので俺達は宿の一階へと降り、朝食を食べ始める。
食べていると宿の入り口から執事服を着た六十代くらいのいかにも執事といった男性が入ってきた。
誰かを探しているような様子で宿の人に何か訊いている。
聴き終わったのか男性はこちらの方へと歩いてくる。
男性は俺達の座っているテーブルの前で止まった。
「失礼します。あなたがティナ様の息子であるレオ・フランベルグ様でよろしいでしょうか?」
「はい。俺がレオ・フランベルグです」
「あなたがティナ様の息子であることを証明できるものは持っていますか?」
そう言われて俺は腰に差している刀、天羽々斬を外し男性へと渡す。
受け取った男性は刀を確認すると俺に返す。
「はじめましてレオ様。私はアレクサンドル侯爵のもとで執事長をしているジルコと申します。この度は我が主ガモン・アレクサンドル侯爵よりあなたをガモン様のもとへと招くよう命を受けました」
その言葉に俺は少しばかり体に力が入る。
「俺のことはどこで知ったんですか?」
「アドラ騎士団長から連絡を頂きました」
「なぜ俺が侯爵様のところに行かなければならないんですか?」
「レオ様があの方にとって孫にあたる存在だからです」
「母さんを道具のように扱った人のところに俺が行くとでも?」
「……出過ぎたことを言いますが我が主はレオ様が思っているようなお方ではありません」
「どういう事ですか?」
「これ以上は言えません。確かめたいのならガモン様のもとまで来ていただきます」
「……わかりました。行きます」
「かしこまりました。外に馬車を待機させているのでお仲間の方々と来てください」
ジルコとの会話で俺はアレクサンドル侯爵のところに行くことにした。
話を聞く気になった理由としてはアレクサンドル侯爵が俺が思っている人ではないと言っていること。
もう1つの理由としてはさっきジルコが言ったことが全て本当のことだと言うことだ。
なぜわかるかというと“真実の魔眼“を使っていたからだ。
この魔眼は言っていることが嘘か本当かがわかったり、どんなものでも本物か偽物がわかるという効果だ。
俺のギフトである魔眼についてはまだ分からないことが多く、現状では“鷹の魔眼“、“分析の魔眼“、“鑑定の魔眼“、“真実の魔眼“の4つしかわかっていない。
これだけでも十分強力なのにまだ能力がある可能性がある。
まだ食べ終えていない朝食を食べ俺達は外へと出た。
そこには華美過ぎない装飾が施された馬車があった。
当然ジルコが用意した俺達が乗る馬車だろう。
「来られましたか。ではこちらです」
そう言ってジルコは馬車の扉を開け俺たちに乗るように促す。
俺、アイリス、ギンハの順番で馬車へと乗る。
乗る際に奴隷であるギンハが乗ってもなにも言われなかったので大丈夫だろう。
全員が乗り扉が閉められてしばらくすると馬車が動き出した。
貴族御用達の馬車なだけあっていい乗り心地だ。
馬車が移動しはじめてから30分程で目的地へと着いた。
そこは王都の王城近くにある貴族街の中でも最も王城に近いところだった。
敷地の入り口には門がありそこから奥は広大な庭園があった。
そしてその中央には大きな屋敷がある。
馬車は屋敷の前へと止まり、俺達はそこで降りた。
「どうぞ、こちらです」
ジルコは馬車を他の人へと任せて俺達を先導し屋敷の中へと入る。
屋敷の中は広く、さっき乗っていた馬車と同じで華美過ぎないものだった。
それに掃除や手入れが行き届いておりとても綺麗だった。
「レオ、私もいて大丈夫なの?」
「さっき仲間も一緒でいいって言ったから大丈夫だと思う。あとギンハ、アイリスとおんなじこと言うなよ」
「えっ?なんでわかったんですか」
「そんなにソワソワしてると誰でもわかるよ」
そうやってアイリスとギンハの緊張をほぐしているとジルコの先導の元、屋敷の二階の奥の部屋へと着いた。
コンコンコンとジルコがノックをする。
「ガモン様、レオ様とそのお仲間をお連れしました」
「入れ」
部屋の中から男性の声が聞こえた。
ジルコがドアを開け俺達に中に入るように誘導する。
中に入ると部屋の奥には例えるなら学校の校長先生が使ってるような机があり、その椅子にはジルコより少し若いくらいの白髪混じりの茶髪に青い瞳の男性が座っていた。
男性は椅子から立ち上がるとこちらへと歩いてくる。
俺の前で立ち止まるとその男性は俺の顔を見る。
「……その髪の色、その目……君がティナの息子なのだな…」
男性は急にそんなことを言って一人で納得した。
「ガモン様、レオ様が困っております」
「おお、そうだな。はじめましてレオ、私はガモン・アレクサンドル。君の祖父にあたるものだ」
ガモン・アレクサンドル、いや俺の祖父は俺に向かってそう言い微笑んだ。
「ギンハ、大丈夫?」
「はい…大丈夫です…」
ギンハはそう言うが見るからにつらそうだ。
「……したかない。アイリス、ギンハにキュアをかけてあげて」
「りょーかい」
アイリスは返事をしてギンハにキュアをかける。
「すみません。酔いなんかにキュアをかけてもらって」
「そこは謝らなくていいよ、言うとしたら“ありがとう“だよ」
「はい、ありがとうございます」
「うん、それでいいよ」
ギンハの感謝の言葉にアイリスは笑顔になり満足する。
ギンハの具合が良くなったので俺達は宿の一階へと降り、朝食を食べ始める。
食べていると宿の入り口から執事服を着た六十代くらいのいかにも執事といった男性が入ってきた。
誰かを探しているような様子で宿の人に何か訊いている。
聴き終わったのか男性はこちらの方へと歩いてくる。
男性は俺達の座っているテーブルの前で止まった。
「失礼します。あなたがティナ様の息子であるレオ・フランベルグ様でよろしいでしょうか?」
「はい。俺がレオ・フランベルグです」
「あなたがティナ様の息子であることを証明できるものは持っていますか?」
そう言われて俺は腰に差している刀、天羽々斬を外し男性へと渡す。
受け取った男性は刀を確認すると俺に返す。
「はじめましてレオ様。私はアレクサンドル侯爵のもとで執事長をしているジルコと申します。この度は我が主ガモン・アレクサンドル侯爵よりあなたをガモン様のもとへと招くよう命を受けました」
その言葉に俺は少しばかり体に力が入る。
「俺のことはどこで知ったんですか?」
「アドラ騎士団長から連絡を頂きました」
「なぜ俺が侯爵様のところに行かなければならないんですか?」
「レオ様があの方にとって孫にあたる存在だからです」
「母さんを道具のように扱った人のところに俺が行くとでも?」
「……出過ぎたことを言いますが我が主はレオ様が思っているようなお方ではありません」
「どういう事ですか?」
「これ以上は言えません。確かめたいのならガモン様のもとまで来ていただきます」
「……わかりました。行きます」
「かしこまりました。外に馬車を待機させているのでお仲間の方々と来てください」
ジルコとの会話で俺はアレクサンドル侯爵のところに行くことにした。
話を聞く気になった理由としてはアレクサンドル侯爵が俺が思っている人ではないと言っていること。
もう1つの理由としてはさっきジルコが言ったことが全て本当のことだと言うことだ。
なぜわかるかというと“真実の魔眼“を使っていたからだ。
この魔眼は言っていることが嘘か本当かがわかったり、どんなものでも本物か偽物がわかるという効果だ。
俺のギフトである魔眼についてはまだ分からないことが多く、現状では“鷹の魔眼“、“分析の魔眼“、“鑑定の魔眼“、“真実の魔眼“の4つしかわかっていない。
これだけでも十分強力なのにまだ能力がある可能性がある。
まだ食べ終えていない朝食を食べ俺達は外へと出た。
そこには華美過ぎない装飾が施された馬車があった。
当然ジルコが用意した俺達が乗る馬車だろう。
「来られましたか。ではこちらです」
そう言ってジルコは馬車の扉を開け俺たちに乗るように促す。
俺、アイリス、ギンハの順番で馬車へと乗る。
乗る際に奴隷であるギンハが乗ってもなにも言われなかったので大丈夫だろう。
全員が乗り扉が閉められてしばらくすると馬車が動き出した。
貴族御用達の馬車なだけあっていい乗り心地だ。
馬車が移動しはじめてから30分程で目的地へと着いた。
そこは王都の王城近くにある貴族街の中でも最も王城に近いところだった。
敷地の入り口には門がありそこから奥は広大な庭園があった。
そしてその中央には大きな屋敷がある。
馬車は屋敷の前へと止まり、俺達はそこで降りた。
「どうぞ、こちらです」
ジルコは馬車を他の人へと任せて俺達を先導し屋敷の中へと入る。
屋敷の中は広く、さっき乗っていた馬車と同じで華美過ぎないものだった。
それに掃除や手入れが行き届いておりとても綺麗だった。
「レオ、私もいて大丈夫なの?」
「さっき仲間も一緒でいいって言ったから大丈夫だと思う。あとギンハ、アイリスとおんなじこと言うなよ」
「えっ?なんでわかったんですか」
「そんなにソワソワしてると誰でもわかるよ」
そうやってアイリスとギンハの緊張をほぐしているとジルコの先導の元、屋敷の二階の奥の部屋へと着いた。
コンコンコンとジルコがノックをする。
「ガモン様、レオ様とそのお仲間をお連れしました」
「入れ」
部屋の中から男性の声が聞こえた。
ジルコがドアを開け俺達に中に入るように誘導する。
中に入ると部屋の奥には例えるなら学校の校長先生が使ってるような机があり、その椅子にはジルコより少し若いくらいの白髪混じりの茶髪に青い瞳の男性が座っていた。
男性は椅子から立ち上がるとこちらへと歩いてくる。
俺の前で立ち止まるとその男性は俺の顔を見る。
「……その髪の色、その目……君がティナの息子なのだな…」
男性は急にそんなことを言って一人で納得した。
「ガモン様、レオ様が困っております」
「おお、そうだな。はじめましてレオ、私はガモン・アレクサンドル。君の祖父にあたるものだ」
ガモン・アレクサンドル、いや俺の祖父は俺に向かってそう言い微笑んだ。
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