死に戻りの世間知らず王妃は、断罪を回避するために全力でやり直します!

こじまき

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15 あのころの私たち

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「ダイニングで一緒に食事をしたい、ですって?」

パリス様から「今夜は一緒に夕食をとりたい」という伝言が来て、私はおしとやかな振る舞いも忘れて大声をあげてしまった。

なにしろ、パリス様とはもう何年も一緒に食事をとっていないのですもの。

仮面夫婦は、食事も、ベッドも、すべて別々。

国王と王妃それぞれの私室からドアでつながった夫婦の寝室は、結婚以来一度も使われないままになっているほど。

「何か裏があるのかしら…何があっても驚かないように覚悟しておかないと」

「喜んでご一緒いたします」と返事をし、シンプルな緑のマーメイドラインのドレスに、ネックレスは誕生祝のパーティーでつけたものを使いまわし、久しく箱すら空けていなかった婚約指輪をつけて、ダイニングに向かった。

ダイニングにつくと、パリス様はもう席についていらした。私も長いダイニングテーブルの向かい側に腰を下ろす。

「お待たせいたしました」
「構わない。では食事を始めようか」

粛々と食事が始まり、パリス様は私のことをチラチラ見るけれど、何もおっしゃらない。

食器のカチャカチャという音や、時折聞こえる椅子の軋みだけが流れていく。

「重苦しい空気に呼吸がつまるようで、思わず手を膝に握りしめる

探り合いの重苦しい雰囲気で窒息しそうになり、思わず心の叫びが声に出てしまった。

「パリス様、一体何なのですか?急に一緒に食事しようと言い出したと思ったら、全然お話しにならないなんて。何のために私を誘ったのです?」

言葉の強さにびっくりしたパリス様が、慌てて返した言葉は意外なものだった。

「孤児院や貧民街の視察がどうだったか、王妃殿からも聞きたくて」
「それぞれの視察については、内務大臣から報告を受けられたのでは?」
「そうだが、王妃殿からも聞きたかった。孤児院ではピアノを弾いたと聞いたが」

孤児との交流や貧民街の視察を「王妃らしくない」ととがめられるのかと思ってパリス様の顔色を窺ったけれど、怒ってはいらっしゃるわけではないようだ。

「…さようでございます。孤児院では、子どもたちと歌を歌いました。打ち解けてくると、リクエストをしてくれる子や、私のことを『お姉ちゃん』と呼ぶ子も出てきて…」
「お姉ちゃんだって?」
「はい、その時の内務大臣の顔ったら!目を見開いて口をパクパクさせて、おかしかったですわ」
「まるで金魚のようだったろうな」
「その例えは秀逸です!最後には、また来ると約束いたしました」

はっと気づいた。私、パリス様にお話しすることを楽しんでいる。パリス様も楽しそうに聞いてくださる。

(そうだ、幼いころのパリス様は、こんな風に聞き上手だったわ…)

「じゃあ貧民街はどうだった?ひどかっただろう」
「ええ…」

あの光景が浮かぶ。

「初めて見たので驚いてしまいました」
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