死に戻りの世間知らず王妃は、断罪を回避するために全力でやり直します!

こじまき

文字の大きさ
18 / 32

18 あなたがここにいなくなるのは困るの

しおりを挟む
パリス様と気まずく別れたあとでも、やることがなくなったわけではない。

むしろパリス様の協力を得られないなら、自分ひとりで革命勃発を阻止するため、さらに精力的に動く必要がある。

午前中は書類に目を通したり陳情を受けたりする仕事。

そして午後は勉強会や、貴族や平民の富裕層と交流するお茶会の時間。

おおまかなスケジュールを決めて動いている。

王妃の立場でできることは限られると思っていたけれど、パリス様のゆるさのおかげなのか、今までやるべきことをやっていなかっただけなのか、望めば私にもたくさんの仕事が任されるようになった。

あの孤児院は定期的に訪問しているし、陳情を内容や緊急度で仕分けして取りまとめたり、宮廷費の見直しも担当している。

「王妃様は理由をご存じですか?」

午後のお茶会。内務大臣ノックス伯爵の夫人が私に聞いた。

「レオナルド・エステルベルグ卿が国王陛下の側近から外れた理由を」
「な…んですって?」
「あら、ご存じなかったのですか?」

私は小さく頷いた。

「いつの話ですか?」
「今日の朝ですわ」

スプーンがカップに当たる音、鳥がさえずる音。

すべての音が消え去り、身体が小さく震え始める。

パリス様は私とレオナルドの仲を良く思っていないようだった。

そのせいで彼を側近から外したのかもしれない。

昨日の今日で?

いいえ、それよりも。

レオナルドがパリス様や、側近から外された原因をつくった私を恨んだとしたら…

(革命軍への参加…!)

「本当にごめんなさい、今日はこれで失礼するわ」
「王妃様…!?」
「お茶もお菓子も心を込めて用意したの。あとで人気のヴァイオリニストも来るから、ぜひ楽しんでいらして」

(レオナルド、どこなの…?お願い、まだここにいて…)

「レオナルド!」

廊下を駆け、息を切らしながら彼にぶつかるように止まった。

「王妃様、どうなさったのですか?」
「陛下の側近ではなくなったと聞いて…」
「ええ」
「ごめんなさい、私のせいなの」

「落ち着いてください」と言われながら、息を整えながら、私はパリス様との会話をかいつまんで説明する。

「理由はわからないけれど、パリス様は私たちの関係を疑っているようなの。きっとそのせいだわ。本当にごめんなさい」

レオナルドはふっと笑った。

「王妃様が謝ることではありません」
「だけど、あなたがここにいなくなるのは困るの!アズミアを立て直すためにも、あなたにはここにいてもらわなくては!」

(お願い、行かないで。革命と繋がらないで。彼が目の届かないところに行ってしまうのは危険よ…!)

「お願い、残ってちょうだい」
「しかしもう国王陛下のおそばにはいられません」

(だめ、考えて…考えなきゃ…)

私はレオナルドに取りすがる。

「国王陛下のそばにいられないなら、私のそばにいて!」

いつも冷静な彼の瞳がたじろぎ、耳が赤くなるのが見えた。

(そうよ、その手がある)
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。 

さら
恋愛
 私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。  そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。  王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。  私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。  ――でも、それは間違いだった。  辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。  やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。  王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。  無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。  裏切りから始まる癒しの恋。  厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

幸福なる侯爵夫人のお話

重田いの
ファンタジー
とある侯爵家に嫁いだ伯爵令嬢。 初夜の場で、夫は「きみを愛することはない」というけれど。 最終的にすべてを手にした侯爵夫人のお話。 あるいは、負い目のある伯爵令嬢をお飾りの妻にして愛人とイチャイチャ過ごそうと思ったらとんでもないハズレくじを引いちゃった侯爵のお話。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝🌹グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 そう名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  ✴️設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 ✴️稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。 第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。 生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。 その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。 「加護縫い」 (縫った布に強力な祝福を込められる) 「嘘のほころびを見抜く力」 (相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする) を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。 さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王子が近付いて来て……?

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

処理中です...