死に戻りの世間知らず王妃は、断罪を回避するために全力でやり直します!

こじまき

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17 もう一度愛してほしい

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パリス様は私の手を掴む。

「痛っ…離してくださいませ」
「離さない。俺はリリーの夫だ。リリーの夫は俺なんだ」

久々にパリス様の口から聞いた「リリー」という名前。

いつも「もう一度リリーと呼んでほしい」と思っていたはずなのに、何の感情も起きない。

「夫でも妻を手荒に扱ってはいけませんわ」
「いや、構わない」
「何をなさるのですかっ」

パリス様は私を夫婦の寝室まで引っ張っていく。

結婚以来一度も使われないままなのに、毎日毎日新しいシーツに替えられてきれいにしつらえられてきた、夫婦の寝室。

ベッドに押し倒されて、私は逃げようともがく。

「嫌…嫌っ!」
「なぜだ、俺たちは夫婦だろ?」
「陛下にはエドナがいるではないですか!」
「そしてリリーにはレオナルドがいると?」
「だからそれは違うと説明を…んっ!」

パリス様の唇が、私の口を塞ぐ。

苦しい。

「俺のことをもう一度愛してほしいんだ」
「…っ」
「俺はリリーを愛してる」

《愛してほしい》

《愛してる》

セリフが頭の中をぐるぐる回って、息が止まってしまいそう。

頬が熱を持って、耳まで熱い。

散々浮気されてきて、今だって心底呆れていて嫌なはずなのに、あまりに陳腐な言葉でこんなにドキドキしてしまうなんて、私はどこかおかしいのかしら。

パリス様の声が良すぎるせいかもしれないし、キスされながら聞いているからかもしれない。

でも、こんなの…

仲の良かった友達を他の子にとられていじけた子どもがやるような幼稚な真似で、「愛してほしい」「愛してる」だなんて言われるのは…

泣きたくなんてないのに、涙が目の横を流れていく。

呆れている理性と彼に愛されたかった感情がごちゃまぜになって、何が何だかわからない。

「やめてください、陛下…お願いです」

パリス様ははっとして、身体を離した。

「すまなかった」

さっきまで執拗に迫っていたのに、急に正気に戻ったかのよう。

少し戸惑いがちな優しい手つきで、そっと涙を拭いてくれる。

そして私の身体を起こしてくれた。

貴族たちの前で形式的に身体に触れられているときとは違う、確かな熱を感じる。

(こんな風に扱われたら、もっと混乱してしまう…)

「自分の部屋で寝るか?」
「…はい」

パリス様は私の部屋につながるドアを、国王然とした優雅な仕草で開けてくれた。

「おやすみ」
「…失礼いたします」

私は一睡もできずに夜を過ごした。

パリス様が夫婦の寝室からテラスに出て、「私もテラスに出てくるのではないか」と期待して待っていたことには、気づくよしもなかった。
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