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第二章 お師匠様がやってきた
生活に不安がなくなるメリット
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ルシウスが、自分の財産がなくなったにも関わらず、理由を把握した後は焦ることもなく落ち着いていた理由がある。
一度、環が安定してしまえば、後は基本的な衣食住に困ることがなくなる。
世界がその存在を生かすようになるからだ。
世界や、世界の理と接続するとはそういうことだ。
こういった特典は『執着を離れる』ことが発動条件の環の使いへの恩恵のひとつである。
「えっ。なら、環が安定したら、もしや俺の古書店も大繁盛でウハウハの左うちわになったりするかな!?」
「だいたい、本人の所属する社会の集合の平均値か少し上ぐらいになると聞いている。トオンの場合は、この南地区のご近所さんたちと自分たちを足して人数で割ったぐらいの生活水準が保持されるだろう」
「あ……なるほど、そういうことか」
環境が変わらないままドカンと儲けて裕福になるわけではないらしい。
「私はまだ貴族のままだし、王侯貴族の人脈も多いからその辺の平均的な収入なら、またすぐに回り出すと思ったのさ」
ただ、今はホームのアケロニア王国ではなく、カーナ王国のトオンの古書店、2階の安宿にいる。
庶民のご近所さんたちという新たな知り合いも増えた。
その分は多少、下方修正されるだろうとのこと。
「カズン様も、旅先で環がきちんと使えるようになってからは、飢えることもなくなり冒険者として生計が立てられるようになったそうだ」
ただし、環が安定して使えていることが条件だから、一度出せたからといって安心し油断していると酷い目に遭う。
「なるほどね、だからカズンは最初に環に目覚めて故郷を出た後、苦労したってことなんだ」
「……そういうこと。魔力使いとしての試練だといえばそうなのだが、親しい者たちは皆、悲しい思いをしたものだよ」
ルシウスとカズンは同じフリーダヤ・ロータスファミリーの魔力使いだから、ルシウスの環を通じて最初から金銭的な支援をすることもできたはずなのだが、それはやらなかったのだろうか?
トオンがそこを突っ込むと、言われると思ったとルシウスが苦笑している。
「それはフリーダヤから止められてしまったんだ。少しぐらい苦労するのも大人になりかけの子供には必要だと言われて」
ポーションや多少の物品を送るだけに留めるよう、フリーダヤはルシウスの環からカズンの環に送る物量数に一時的に制限をかけたという。
もちろん現在はとっくに解除されているものの。
「それで甥っ子には随分と恨まれた。顔を合わせれば『叔父様なんて大嫌い』『顔も見たくない』と言われて、私は……私は……」
当時のことを思い出しているのか、ルシウスの麗しの顔がしょんぼりとして、いつもの覇気がない。
たまにカズンが手紙やメモに書いてくる「(´・ω・`)ショボン」の顔だ。
「鮭の人、逆恨みする系の人なんだ?」
「というより、甘えてるんじゃない?」
「それこそカズンに言いつけちまえばいいのに」
ほとんど面識もないのに、短期間でアイシャとトオンはすっかり鮭の人こと、ルシウスの甥っ子通になっている。
要するに『ちょっと面倒くさい』系の人なのだ。
--
ちょっと?と自分で書いておきながら首傾げたくなった作者ですw
一度、環が安定してしまえば、後は基本的な衣食住に困ることがなくなる。
世界がその存在を生かすようになるからだ。
世界や、世界の理と接続するとはそういうことだ。
こういった特典は『執着を離れる』ことが発動条件の環の使いへの恩恵のひとつである。
「えっ。なら、環が安定したら、もしや俺の古書店も大繁盛でウハウハの左うちわになったりするかな!?」
「だいたい、本人の所属する社会の集合の平均値か少し上ぐらいになると聞いている。トオンの場合は、この南地区のご近所さんたちと自分たちを足して人数で割ったぐらいの生活水準が保持されるだろう」
「あ……なるほど、そういうことか」
環境が変わらないままドカンと儲けて裕福になるわけではないらしい。
「私はまだ貴族のままだし、王侯貴族の人脈も多いからその辺の平均的な収入なら、またすぐに回り出すと思ったのさ」
ただ、今はホームのアケロニア王国ではなく、カーナ王国のトオンの古書店、2階の安宿にいる。
庶民のご近所さんたちという新たな知り合いも増えた。
その分は多少、下方修正されるだろうとのこと。
「カズン様も、旅先で環がきちんと使えるようになってからは、飢えることもなくなり冒険者として生計が立てられるようになったそうだ」
ただし、環が安定して使えていることが条件だから、一度出せたからといって安心し油断していると酷い目に遭う。
「なるほどね、だからカズンは最初に環に目覚めて故郷を出た後、苦労したってことなんだ」
「……そういうこと。魔力使いとしての試練だといえばそうなのだが、親しい者たちは皆、悲しい思いをしたものだよ」
ルシウスとカズンは同じフリーダヤ・ロータスファミリーの魔力使いだから、ルシウスの環を通じて最初から金銭的な支援をすることもできたはずなのだが、それはやらなかったのだろうか?
トオンがそこを突っ込むと、言われると思ったとルシウスが苦笑している。
「それはフリーダヤから止められてしまったんだ。少しぐらい苦労するのも大人になりかけの子供には必要だと言われて」
ポーションや多少の物品を送るだけに留めるよう、フリーダヤはルシウスの環からカズンの環に送る物量数に一時的に制限をかけたという。
もちろん現在はとっくに解除されているものの。
「それで甥っ子には随分と恨まれた。顔を合わせれば『叔父様なんて大嫌い』『顔も見たくない』と言われて、私は……私は……」
当時のことを思い出しているのか、ルシウスの麗しの顔がしょんぼりとして、いつもの覇気がない。
たまにカズンが手紙やメモに書いてくる「(´・ω・`)ショボン」の顔だ。
「鮭の人、逆恨みする系の人なんだ?」
「というより、甘えてるんじゃない?」
「それこそカズンに言いつけちまえばいいのに」
ほとんど面識もないのに、短期間でアイシャとトオンはすっかり鮭の人こと、ルシウスの甥っ子通になっている。
要するに『ちょっと面倒くさい』系の人なのだ。
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ちょっと?と自分で書いておきながら首傾げたくなった作者ですw
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