婚約破棄で捨てられ聖女の私の虐げられ実態が知らないところで新聞投稿されてたんだけど~聖女投稿~

真義あさひ

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第五章 鮭の人無双~環《リンク》覚醒ハイ進行中

彼は見たことがないタイプの人

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 反面、忙しく動くことになったのが、他国人のはずが宰相になってしまった鮭の人ヨシュア・リーストだ。

 カズンとともに叔父の危機に旧カーナ王国に駆けつけた後、国家体制の改革に関わりながらも故郷アケロニア王国に一度帰国している。

 その際、リースト家の当主の座と侯爵位を、有力な親族女性に譲渡譲位する手続きを取った。
 更には女王から叔父ルシウスと自分その他一部のリースト家の者たち(秘書ユキレラなど)まとめて新生カーナ神国へ帰化する許可をもぎ取って、すぐとんぼ返りしてきたのだ。

 しかも本人、これを一週間足らずの短期間で終わらせている。
 円環大陸の西のカーナ神国から北西のアケロニア王国までは、徒歩なら数ヶ月。実際は途中の主要国家内の空間転移陣を利用すれば移動手段に関わらず一週間から十日程度まで短縮できる。
 アイシャのように、あるいは以前アイシャから教えられた直後のルシウスのように、空中飛行するのかなと思っていた一同だったが……



 鮭の人がアケロニア王国に一度戻ると聞いたとき、皆は見送りのためルシウス邸の庭に集まっていた。
 そこには本来の巨体に戻った綿毛竜コットンドラゴンのユキノと、そのユキノの換毛期に抜けた羽毛で作ったロングの白いダウンジャケットを着込んだ鮭の人の姿があった。

「上空は寒いからやめろって叔父様がうるさかったんですけど、なら防寒具があれば問題ないですよねってジューアお姉様にお願いしたら作ってくれたんです」

 フード付きのダウンジャケットは明るい白色で、青銀の髪や色白の肌など薄味色の鮭の人によく似合っていた。
 防寒防風はもちろん、フードを被れば雲の上に出ても直射日光を顔から弾く効果があるそうな。
 だがその言葉にトオンとユーグレン、神人ジューアの下僕二人が動揺した。

「じ、ジューアお姉様に〝お願い〟とか言いましたよこの人!?」
「い、いやでもヨシュアはジューアお姉様の子孫だというし、孫のおねだりを聞く感覚なのでは……?」

 当の神人ジューアは心なしかげっそりした様子だった。

「こやつ、私が良いと頷くまでしつこいのなんの。しまいには私の弟まで味方に付けて、朝から晩までお願いお願いと……」

 そのしつこさは、相当のものだったらしい。お願いという名の強制だったとげんなりしている。
 もちろんタダで防寒ダウンを作ってやったわけではない。代わりに自分の魔導具研究への協力を約束させたし、相応の代価も徴収している。

 そんな彼を小突いていたのは幼馴染みのカズンだ。

「おまえな、ヨシュア。少しは遠慮して差し上げろ」
「ははは、身内に遠慮する理由がわかりません!」
「……本当に、ほんとに……お前は変わらんなあ」

 鮭の人のゴリ押しのやり口と恐るべき神人ジューアへの〝身内〟扱いに、トオンとユーグレンは「それ大丈夫? ねえ本当に大丈夫なの???」と震え上がったし、カズンは「いつものヨシュアだな」と呆れ果て、アイシャは「さすがだわヨシュアさん!」とますます鮭の人への尊敬度がアップした。

 なおルシウスに関しては、最初から甥っ子への愛情が限界まで上がりきっているのでとにかく甘い。自分の姉と可愛い甥っ子が仲良しに見えているらしく、皆の間に流れる微妙な雰囲気をスルーして笑顔である。





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