婚約破棄で捨てられ聖女の私の虐げられ実態が知らないところで新聞投稿されてたんだけど~聖女投稿~

真義あさひ

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第五章 鮭の人無双~環《リンク》覚醒ハイ進行中

揺籠の秘密

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「アヴァロニスはカーナ王国の崩壊も預言していた。ゆえにこの神人カーナは、私の許可なく国を建てた者たちにもあえて意図的な制裁を加えなかった。放置していれば遠からず倒れる国だったからだ。……だが」

 カーナ姫がアイシャをまっすぐ見つめた。
 琥珀のカーナ姫の瞳と、飴のようなアイシャの茶の瞳が合う。

「『聖女アイシャの聖女投稿事件』これほど大きな事件を、アヴァロニスは預言できなかった。本人は強いショックを受けていてね。汚名を濯ぐためにいま必死になっている」
「奴は教会本部の長だからな。旧カーナ王国の教会が聖女アイシャ虐待の片棒を担いでいて、それを防止できなかったことに批判が出ている。あの野郎の権威が少し翳った今がチャンスだ」
「ましてや、新たな神人ピアディの出現も預言できなかった。これは預言者としては大きな失態だ」
「ぷぅ!(うむ、われすごいのだ!)」

 小さなウパルパは話の内容を恐らく理解していない。それでも自分の名前が出たことにぷるんと半透明ピンクの胸を張り、鮭の人の胸ポケットから誇らしげに自己主張をしている。

 永遠の国で、積極的に世界と関わっているのは長老カーナ、その親友ジューア、そしてアヴァロニスの三名とその配下たちで、他は中立だという。

「私、カーナとジューアはアヴァロニスの管理思想には否定的な意見を持っている。私たちがいること自体がアヴァロニスへの牽制だ」
「今、我々が寿命を迎えると、円環大陸はアヴァロニスの下で徹底した管理社会に移行してしまう。これだけは避けたい。……チッ、あの野郎の好きにさせるなど業腹にも程がある。おい、弟!」
「は、はいっ!?」

 苛々した顔のままジューアがルシウスを呼んだ。
 呼ばれたルシウスがピシッとソファに座ったまま背筋を伸ばす。
 ……姉弟の力関係がよくわかる光景だった。

「今の話、お前は聞いてどう思った? お前は新たな神人として、アヴァロニスと我ら、どちらを支持する?」
「それはもちろん、姉様たちに付きますよ。だいたい何なのですか管理って。彼に付いたらその管理業務とやらを手伝わされるのでしょう? 嫌ですよ、面倒くさい」

 おお、とアイシャたちは声なき声をあげた。
 こういうところは甥っ子の鮭の人そっくりの思考回路のようだ。独自基準に沿って自分本位なところ。

「我らはお前をアヴァロニスの対立派に立てたい」
「え」
「けどルシウス君は地下ダンジョンのボス化していて、今のところカーナ神国を出られないからね……。まあ、その辺はおいおい」

 ルシウスが固まっている。もしかしなくても、大いなる面倒ごとを背負わされた瞬間である。

「のおおお……」

 頭を抱えてしまったルシウスは置いておいて、だ。

「何にせよ私とジューアはまだ死ねない。まず弱点である肉体の傷や欠損の修復が急務だ。だから揺籠の修復が最優先になる。ただ、揺籠には一つだけ問題があってね……」

 カーナ姫がジューアを見る。
 ジューアはずっと眉間に皺を寄せた難しい顔のままだ。
 が、観念したのか説明を始めた。

「そこのピンクのカエルもどきが入っていた揺籠は進化した種族ハイヒューマンが素材になっていた。正確には、一台につき進化した種族ハイヒューマンの魂が一人分、魔力源として必要だ」
「え」
「今は壊れているから、使われていた魂も消失した。新たな魂が要る」

 場に一気に緊張が走った。

「長年生きた私がこれ以上生きながらえても化石のようなものだ。私はジューアを回復させるため、揺籠の礎となる」
「カーナ様が!?」
「なあに、永遠にではない。揺籠の耐用年数は数万年。その後壊れれば魂は解放されてまた生まれ変わるのさ」

 今回、アイシャたちを海上神殿ポセイドニアに呼び出したのは、カーナ姫が創成の揺籠の生贄となった後の相談が主題だったようだ。



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