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夏休みは海で冒険なのだ(完結)

われ、夢見の術発動!

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「ぷぅ!(われ、まだお子さまだからだもん。もちょっとしたらちゃんと泳げるようになるもん!)」

 たしっ、たしっと短い前脚で、抱っこしてくれる聖剣の聖者様おとうたんの胸元を叩いた。
 その様子はとてもキュートだったのだが、皆の視線は生暖かいままだ。

「ぷぅ?(な、なんぞその目は!? お、泳げるもん! われ泳げるもんー!)」

 大きな青い目を再び潤ませてぷぇぷぇ泣き出したピアディに、意外なところからフォローが入った。

「まあピアディ様以外の魚人が周りにいませんからね。魚人族ってオレあんまり詳しくないんです。良かったら教えてくれませんか?」

 魔王おばばの縁者にして聖剣の聖者様おとうたんの甥っ子、青銀の髪と 湖面の水色ティールカラーの瞳のピアディの鮭の人さいあいが上手く話を向けてくれた。

 ハッとして振り向いた。

「ぷぅ(ききたい? さいあい、ききたい?)」
「ええ。デザートをいただきながら、ぜひ」

 ちょうど食事もあらかた終わって、料理番のオヤジさんがデザートの配膳をしてくれていた。
 今日のデザートは新鮮なマンゴーを使ったジェラートと、パイナップルとココナッツのジェラートだ。
 どちらも素材だけでシンプルに作られているので、ピアディでも食べられる。
 ただし食べすぎには注意だ。まだ小さなピアディではお腹を壊してしまう。

「ぷぅ(ならば聞くがよい。このピアディの物語を!)」

 ピアディの半透明の身体がキラキラと虹色に光る。
 そのキラキラに、鮮やかなレモンイエロー色の光が重なった。ピアディの魔力の色だ。

「ぷぅ!(夢見の術で過去にとぶのだ。いにしえのお魚さん王国へれっつごー!)

「ピュイッ(ピアディ、魔法使えるじゃないかー!)」

 そして賑やかだったはずの食堂内はホワイトアウトした。



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