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夏休みは海で冒険なのだ(完結)
ルシウス君がおこなのだ
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二度あることは三度ある。
ルシウス君が魔法でシャベルを創ってくれたので、子どもたちは波打ち際近くに砂のお山を盛り立てていた。
ピアディは自前の水かきのある短い脚があるので、よちよち歩きながら濡れた砂をかきかき。
「トンネル、トンネルとおそ!」
小さな子どもたちがはしゃいでいる様子に、保護者役のルシウス君は満足げだ。
器用なルシウス君だけならお城もお魚さんもドラゴンだって自由自在だが、それはそれ、これはこれ。
だが、ちょっと雰囲気が悪くなってきた。
陽が高くなってくるにつれて浜辺に人が増えてきて、お行儀の悪い連中も混ざってきたからだ。
ピアディたちはルシウス君の促しで、少しずつ危なそうな人たちからは離れて、離れて、離れて……を繰り返していたのだけれども。
「やだーパパったらー」
キャハハハハ! と甲高いお姉さんの声がして、皆が振り向くと、もう遅かった。
バーンッとぶち当てられたのはカラフルなビーチボール。被害者は案の定のピアディだ。
「ぷぇえっ(またダメージなのだあああ)」
もうピアディはマジ泣きが入っている。
こうも立て続けにビーチボールを食らっては、防御力も低いピアディはひとたまりもない。
「ぷぇええ……!(うえええん……うええん……!)」
投げた側はビーチボールそっちのけでイチャついている。ボールがぶつかったピアディに謝りもしない。
「パパだって。あのお姉さんたちもおやこ?」
「ああ、うん……多分大人の関係……」
ボディタッチ多めに波打ち際で戯れている男女数名は、女性側の水着がだいぶ際どい。あまり子どもたちに見せたい大人ではなかった。
「ボール、取りにこないね」
「そうだね。返してあげないとね」
サナちゃんのお手々の中で、泣いてふるふるしているピアディを見て、ルシウス君は砂浜に転がるビーチボールを手に取った。
ルシウス君の全身から、虹色キラキラを帯びたネオンブルーの魔力が噴き出してくる。
大きく振りかぶって、大人たちにターゲットロックオン。
「あれ? なんかいい匂いがする」
サナちゃんが首を傾げた。森林浴のような爽やかな香りだ。
ふんふんと鼻を鳴らして嗅いでみると、どうやら発生源はルシウス君のようだ。
「ぷぅ(おとうたんは聖剣の聖者様なのだ。魔力に聖なる香りがあるのだ。ごりやくごりやく)」
「ごりやくごりやく!」
ちなみにご利益はどんな効果で出るかランダムである。
湖面の水色の瞳で、思いっきり大人たちを睨みつける。
「一度目は許そう。わざとじゃなかった。二度目だって許すよ。ちゃんと謝ってくれたしね。だが三度目のおまえたちは許さんー!」
子どもたちの教育に悪すぎる!
「ビーチボールをお返しします!」
全力でビーチボールを投げつけた。バウンドしにくい軽いボールのはずだが、魔力の塊込みで一気に複数名を巻き込んでクリティカルヒット!
「ユキノ君、いけー!」
「ピュイッ(了解です!)」
ルシウス君の掛け声で、中型犬サイズで子どもたちのお守りをしていたユキノはボフンと巨大化した。
突如現れた巨大な純白の綿毛竜に浜辺は騒然となる。
そのまま透明な樹脂の翼でひゅいっと飛んで、パパたちとパパ活女子たちをもふもふの両前脚でまとめて掴んだ。
「ぷぅ~!(ユキノたん、そのままぽいなのだー!)」
「大丈夫。この辺、浅瀬だから」
水の中にぽいしても、海水がクッションになる。怪我もしないだろう。せいぜい海水を飲んでむせるぐらいだ。
「きゃー!」
「わー!?」
ユキノに海に落とされた大人たちの悲鳴が聞こえる。
「ぷぅ(やれやれなのだ。これでうるさいのが消えたのだ)」
ルシウス君が魔法でシャベルを創ってくれたので、子どもたちは波打ち際近くに砂のお山を盛り立てていた。
ピアディは自前の水かきのある短い脚があるので、よちよち歩きながら濡れた砂をかきかき。
「トンネル、トンネルとおそ!」
小さな子どもたちがはしゃいでいる様子に、保護者役のルシウス君は満足げだ。
器用なルシウス君だけならお城もお魚さんもドラゴンだって自由自在だが、それはそれ、これはこれ。
だが、ちょっと雰囲気が悪くなってきた。
陽が高くなってくるにつれて浜辺に人が増えてきて、お行儀の悪い連中も混ざってきたからだ。
ピアディたちはルシウス君の促しで、少しずつ危なそうな人たちからは離れて、離れて、離れて……を繰り返していたのだけれども。
「やだーパパったらー」
キャハハハハ! と甲高いお姉さんの声がして、皆が振り向くと、もう遅かった。
バーンッとぶち当てられたのはカラフルなビーチボール。被害者は案の定のピアディだ。
「ぷぇえっ(またダメージなのだあああ)」
もうピアディはマジ泣きが入っている。
こうも立て続けにビーチボールを食らっては、防御力も低いピアディはひとたまりもない。
「ぷぇええ……!(うえええん……うええん……!)」
投げた側はビーチボールそっちのけでイチャついている。ボールがぶつかったピアディに謝りもしない。
「パパだって。あのお姉さんたちもおやこ?」
「ああ、うん……多分大人の関係……」
ボディタッチ多めに波打ち際で戯れている男女数名は、女性側の水着がだいぶ際どい。あまり子どもたちに見せたい大人ではなかった。
「ボール、取りにこないね」
「そうだね。返してあげないとね」
サナちゃんのお手々の中で、泣いてふるふるしているピアディを見て、ルシウス君は砂浜に転がるビーチボールを手に取った。
ルシウス君の全身から、虹色キラキラを帯びたネオンブルーの魔力が噴き出してくる。
大きく振りかぶって、大人たちにターゲットロックオン。
「あれ? なんかいい匂いがする」
サナちゃんが首を傾げた。森林浴のような爽やかな香りだ。
ふんふんと鼻を鳴らして嗅いでみると、どうやら発生源はルシウス君のようだ。
「ぷぅ(おとうたんは聖剣の聖者様なのだ。魔力に聖なる香りがあるのだ。ごりやくごりやく)」
「ごりやくごりやく!」
ちなみにご利益はどんな効果で出るかランダムである。
湖面の水色の瞳で、思いっきり大人たちを睨みつける。
「一度目は許そう。わざとじゃなかった。二度目だって許すよ。ちゃんと謝ってくれたしね。だが三度目のおまえたちは許さんー!」
子どもたちの教育に悪すぎる!
「ビーチボールをお返しします!」
全力でビーチボールを投げつけた。バウンドしにくい軽いボールのはずだが、魔力の塊込みで一気に複数名を巻き込んでクリティカルヒット!
「ユキノ君、いけー!」
「ピュイッ(了解です!)」
ルシウス君の掛け声で、中型犬サイズで子どもたちのお守りをしていたユキノはボフンと巨大化した。
突如現れた巨大な純白の綿毛竜に浜辺は騒然となる。
そのまま透明な樹脂の翼でひゅいっと飛んで、パパたちとパパ活女子たちをもふもふの両前脚でまとめて掴んだ。
「ぷぅ~!(ユキノたん、そのままぽいなのだー!)」
「大丈夫。この辺、浅瀬だから」
水の中にぽいしても、海水がクッションになる。怪我もしないだろう。せいぜい海水を飲んでむせるぐらいだ。
「きゃー!」
「わー!?」
ユキノに海に落とされた大人たちの悲鳴が聞こえる。
「ぷぅ(やれやれなのだ。これでうるさいのが消えたのだ)」
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