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夏休みは海で冒険なのだ(完結)
不届者にはおしおきするのだ
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しかしパパ活女子とそのパパたちは懲りなかった。
イチャつきながら泳いで浜辺まで戻ってきて、やっぱりイチャついているのである。
というより、ユキノに海に投げ込まれたことすら、何かのアトラクションと思っている節がある。
迷惑系リア充だ。本当に迷惑極まりない。
しまいにはパパの一人がお姉さんの水着の紐を引っ張り出したので、ルシウス君は慌てて子どもたちに見ないよう注意した。
呆れながらも、ルシウス君がとてとて近づいてお願いしに行った。
「ねえ、おじさんたち。子どもの教育に悪いから別のとこでやってくれない?」
「は? お前が子どもだろうが」
「ビーチエリアの利用権をちゃんと購入してるんだぞ! ガキどもこそどっか行け!」
パパの一人が差し出してきた防水加工されたカードタイプのチケットを見ると。
「どれどれ、利用チケットを拝見。……あ、旧王家の認可かあ。残り期間……今年の夏終わりまで。これは仕方ないかあ」
カーナ神国は、少し前までは王様のいるカーナ王国という名前だった。
聖女様をいじめる悪い王子様がいた国だったのだが、激おこした国民に倒されて、今は進化した種族のピアディが守護者を務めている。
旧王国時の権利関係は、混乱を避けるため、ほとんどそのまま今のカーナ神国に受け継がれていた。
残念だが、すごすごとルシウス君が戻ってきた。
しかし、大人たちはそれから何度も子どもたちのエリアを侵して来る上に、注意してもすぐ忘れて同じことを繰り返す。
ビーチボールも何度飛んできたことか。
「もういっそ潰しちゃおうかな……」
とは、投げ返すのに飽きたルシウス君のマジ顔と呟きだ。
「ビーチボールを?」
サナちゃんの幼い子どもらしい純粋な問いかけに、ルシウス君はふふっと笑って、金髪の柔らかな髪をいいこいいこと撫で撫でした。
ルシウス君が大人の聖剣の聖者様に戻れば、あんないかがわしい大人たちなど聖剣なしでもぷちっと潰せる。
「ぷぅ……(われもういやなのだああ……母なる海がきらいになりそうなレベルー!)」
「だ、だいじょうぶよ、ピアディさま! あたしが守ってあげるからね!」
「ぷぅ……(サナたん。われ、キュンときた)」
見渡すと、他の子どもたちや家族連れも浜辺から離れようか検討している様子だった。
迷惑な大人たちは、別の海岸利用客にも迷惑をかけているのだ。
「ぷぅ(われ知ってる。ああいうの鳥頭っていうのだ)
「ひどいわよね! おうぼう!」
サナちゃんもおこだ。
「ぷぅ(あんな大人には)」
「うん。なりたくないよね!」
「ぷぅ(せいだいなおしおきが必要なのだ)」
「えっ?」
なんか予想と違う答え、と困惑するサナちゃんをよそに、ピアディはよちよちと砂浜を歩き始めた。
彼らの周りの、特に波打ち際を繰り返し歩く。
どうせこの大人たちは自分たちでイチャイチャするのに夢中で、小さなウーパールーパーなど視界にも入れていない。
「ピュイッ」
ピンときたユキノもピアディの後に続いた。
それを見たサナちゃんを始めとした子どもたちも「なるほど!」と後に続いた。
野外で上手く立ち回るのは子どものほうが得意だ。良い加減に大人たちとの距離を保ちつつ、濡れた波打ち際の砂の上を踏み踏みした。
要した時間はほんの数分。
「わー!?」
「やだー足が沈むー!?」
お行儀の悪い大人たちはぬかるみに足を取られて、そこかしこでずべっと転んで泥だらけ。
「ぷふー(ぷふー。ざまぁみろなのだ)
可愛さが売りのウーパールーパーがしてはならない、とても悪な顔でピアディは笑った。
泥状の砂まみれになったいかがわしい大人たちは、海はもういいやと言って軽く海水で身体を洗ってから浜辺から離脱していった。宿でシャワーを浴びるようだ。
ただ、去り際にギャルの一人が不穏な言葉を残した。
「あのピンクのカエルちゃん、ブサかわいい~。欲しいなあ~」
※ウパルパです。
イチャつきながら泳いで浜辺まで戻ってきて、やっぱりイチャついているのである。
というより、ユキノに海に投げ込まれたことすら、何かのアトラクションと思っている節がある。
迷惑系リア充だ。本当に迷惑極まりない。
しまいにはパパの一人がお姉さんの水着の紐を引っ張り出したので、ルシウス君は慌てて子どもたちに見ないよう注意した。
呆れながらも、ルシウス君がとてとて近づいてお願いしに行った。
「ねえ、おじさんたち。子どもの教育に悪いから別のとこでやってくれない?」
「は? お前が子どもだろうが」
「ビーチエリアの利用権をちゃんと購入してるんだぞ! ガキどもこそどっか行け!」
パパの一人が差し出してきた防水加工されたカードタイプのチケットを見ると。
「どれどれ、利用チケットを拝見。……あ、旧王家の認可かあ。残り期間……今年の夏終わりまで。これは仕方ないかあ」
カーナ神国は、少し前までは王様のいるカーナ王国という名前だった。
聖女様をいじめる悪い王子様がいた国だったのだが、激おこした国民に倒されて、今は進化した種族のピアディが守護者を務めている。
旧王国時の権利関係は、混乱を避けるため、ほとんどそのまま今のカーナ神国に受け継がれていた。
残念だが、すごすごとルシウス君が戻ってきた。
しかし、大人たちはそれから何度も子どもたちのエリアを侵して来る上に、注意してもすぐ忘れて同じことを繰り返す。
ビーチボールも何度飛んできたことか。
「もういっそ潰しちゃおうかな……」
とは、投げ返すのに飽きたルシウス君のマジ顔と呟きだ。
「ビーチボールを?」
サナちゃんの幼い子どもらしい純粋な問いかけに、ルシウス君はふふっと笑って、金髪の柔らかな髪をいいこいいこと撫で撫でした。
ルシウス君が大人の聖剣の聖者様に戻れば、あんないかがわしい大人たちなど聖剣なしでもぷちっと潰せる。
「ぷぅ……(われもういやなのだああ……母なる海がきらいになりそうなレベルー!)」
「だ、だいじょうぶよ、ピアディさま! あたしが守ってあげるからね!」
「ぷぅ……(サナたん。われ、キュンときた)」
見渡すと、他の子どもたちや家族連れも浜辺から離れようか検討している様子だった。
迷惑な大人たちは、別の海岸利用客にも迷惑をかけているのだ。
「ぷぅ(われ知ってる。ああいうの鳥頭っていうのだ)
「ひどいわよね! おうぼう!」
サナちゃんもおこだ。
「ぷぅ(あんな大人には)」
「うん。なりたくないよね!」
「ぷぅ(せいだいなおしおきが必要なのだ)」
「えっ?」
なんか予想と違う答え、と困惑するサナちゃんをよそに、ピアディはよちよちと砂浜を歩き始めた。
彼らの周りの、特に波打ち際を繰り返し歩く。
どうせこの大人たちは自分たちでイチャイチャするのに夢中で、小さなウーパールーパーなど視界にも入れていない。
「ピュイッ」
ピンときたユキノもピアディの後に続いた。
それを見たサナちゃんを始めとした子どもたちも「なるほど!」と後に続いた。
野外で上手く立ち回るのは子どものほうが得意だ。良い加減に大人たちとの距離を保ちつつ、濡れた波打ち際の砂の上を踏み踏みした。
要した時間はほんの数分。
「わー!?」
「やだー足が沈むー!?」
お行儀の悪い大人たちはぬかるみに足を取られて、そこかしこでずべっと転んで泥だらけ。
「ぷふー(ぷふー。ざまぁみろなのだ)
可愛さが売りのウーパールーパーがしてはならない、とても悪な顔でピアディは笑った。
泥状の砂まみれになったいかがわしい大人たちは、海はもういいやと言って軽く海水で身体を洗ってから浜辺から離脱していった。宿でシャワーを浴びるようだ。
ただ、去り際にギャルの一人が不穏な言葉を残した。
「あのピンクのカエルちゃん、ブサかわいい~。欲しいなあ~」
※ウパルパです。
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