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夏休みは海で冒険なのだ(完結)
泳げるウパルパめざすのだ
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「ぷぅ(勇者君。われもみまわりお付き合いするのだ)」
「一通り見回った後だから大丈夫だ。これから昼食の準備をしようと思ってな」
勇者君が示した岩陰から、銛や漁業用の網を持ったり、素潜り用のシュノーケル装備をしたりのトランクスタイプの水着にTシャツ姿の男三人組がやってきた。
そのうち、クーラーボックスを肩から提げているのは。
「ぷぅ!(鮭の人! さいあいなのだ、さいあいも海に来てたのかなのだ!?)」
聖剣の聖者様や魔王おばばそっくりの、青銀の髪と 湖面の水色の瞳の麗しの青年。
ピアディに鮭の人と呼ばれている宰相様だ。
お仕事で忙しいと聞いていたピアディはもう大興奮だ。
一緒に来ていた聖女様の彼氏や、勇者君の親戚君も目に入らないぐらいのはしゃぎよう。
「叔父様だけじゃ不安でしたからね。ついでなのでお昼をご一緒しようかと思いまして。ちょうど観光地用の食べやすい軽食の調理実験を考えてたところでしたし」
魔王おばばと聖剣の聖者様そっくりの麗しの青年、ピアディの鮭の人はクーラーボックスを開けて中を見せてくれた。
「ぷぅ(海老さん。イカさん。……タコさん?)」
他にも貝やウニなどメジャーで食べやすい海の食材が詰まっている。
「海の家を貸し切ったんです。お昼になったらお友達も一緒にどうぞ」
「ぷぅ!」
浜辺から少し高台にある小さな建物を示される。夏の間だけ営業する簡易店舗だ。
「ぷぅ(ならばお昼のじかんまで、全力であそぶのだ!)」
もうすっかり、ピアディは本来の目的を忘れていた。
それから、勇者君たちと別れて、ルシウス君やユキノ、サナちゃんやそのお友達と一緒に混ざってお砂遊びをしていると。
「ぷぇ!」
まさかのビーチボール、二度目だ。
小さな四肢でぺちぺち濡れた砂を固めていたピアディの、小さな身体に後ろから派手にぶつかってきた。
「アッ、おーい、大丈夫かー?」
どうやら海岸近くの学校の学生たちらしい。高等部ぐらいの年齢の男子たちだ。
「ピュイッ(あぶないよー)」
「あっ、ごめんごめん。もう少し離れたところに移動するね!」
ユキノがもふもふの両脚でビーチボールを投げ返すと、申し訳なさそうに受け取って戻っていった。
「意外と礼儀正しい人たちだったね。よし」
「ぷぅ!(よしじゃないのだ、おとうたん! われのみわくのボディがベコベコにヘコんでしまったではないか!)
「うーん。ピアディ、幸運値高いのに。なんでこうもビーチボールが飛んでくるんだろ?」
しかも、ルシウス君やユキノがいるのに、微妙に死角から飛んでくるせいで、防いであげることもできないときた。
「ピアディさま、だいじょうぶ? いたいのいたいの、とんでいけー!」
「ぷぅ」
サナちゃんが小さな手で撫で撫でしてくれた。それで衝撃のショックが薄れるから不思議なものである。猫ならゴロゴロ喉を鳴らしているところだ。
「ぷぅ(うむ。このなでなでは良いなでなで。サナたんは良いとくを詰んだのだ。ごりやくあるかも)」
「ほんと? ならあたし、泳げるようになりたいの!」
「ぷぅ!?」
後ろでルシウス君とユキノがニヤニヤ笑っている。
よりによってそれか、とピアディは焦った。
しかし誤魔化すことはせず、恐る恐る白状することにした。
「ぷ、ぷぅう……(あ、あのねなのだ、サナたん。われもね、われも……泳げるようになりたいのだ)」
「そうなの? ならどっちが先に泳げるようになるか競走しよ!」
「ぷぅ!」
まずは海水に慣れるところから!
「一通り見回った後だから大丈夫だ。これから昼食の準備をしようと思ってな」
勇者君が示した岩陰から、銛や漁業用の網を持ったり、素潜り用のシュノーケル装備をしたりのトランクスタイプの水着にTシャツ姿の男三人組がやってきた。
そのうち、クーラーボックスを肩から提げているのは。
「ぷぅ!(鮭の人! さいあいなのだ、さいあいも海に来てたのかなのだ!?)」
聖剣の聖者様や魔王おばばそっくりの、青銀の髪と 湖面の水色の瞳の麗しの青年。
ピアディに鮭の人と呼ばれている宰相様だ。
お仕事で忙しいと聞いていたピアディはもう大興奮だ。
一緒に来ていた聖女様の彼氏や、勇者君の親戚君も目に入らないぐらいのはしゃぎよう。
「叔父様だけじゃ不安でしたからね。ついでなのでお昼をご一緒しようかと思いまして。ちょうど観光地用の食べやすい軽食の調理実験を考えてたところでしたし」
魔王おばばと聖剣の聖者様そっくりの麗しの青年、ピアディの鮭の人はクーラーボックスを開けて中を見せてくれた。
「ぷぅ(海老さん。イカさん。……タコさん?)」
他にも貝やウニなどメジャーで食べやすい海の食材が詰まっている。
「海の家を貸し切ったんです。お昼になったらお友達も一緒にどうぞ」
「ぷぅ!」
浜辺から少し高台にある小さな建物を示される。夏の間だけ営業する簡易店舗だ。
「ぷぅ(ならばお昼のじかんまで、全力であそぶのだ!)」
もうすっかり、ピアディは本来の目的を忘れていた。
それから、勇者君たちと別れて、ルシウス君やユキノ、サナちゃんやそのお友達と一緒に混ざってお砂遊びをしていると。
「ぷぇ!」
まさかのビーチボール、二度目だ。
小さな四肢でぺちぺち濡れた砂を固めていたピアディの、小さな身体に後ろから派手にぶつかってきた。
「アッ、おーい、大丈夫かー?」
どうやら海岸近くの学校の学生たちらしい。高等部ぐらいの年齢の男子たちだ。
「ピュイッ(あぶないよー)」
「あっ、ごめんごめん。もう少し離れたところに移動するね!」
ユキノがもふもふの両脚でビーチボールを投げ返すと、申し訳なさそうに受け取って戻っていった。
「意外と礼儀正しい人たちだったね。よし」
「ぷぅ!(よしじゃないのだ、おとうたん! われのみわくのボディがベコベコにヘコんでしまったではないか!)
「うーん。ピアディ、幸運値高いのに。なんでこうもビーチボールが飛んでくるんだろ?」
しかも、ルシウス君やユキノがいるのに、微妙に死角から飛んでくるせいで、防いであげることもできないときた。
「ピアディさま、だいじょうぶ? いたいのいたいの、とんでいけー!」
「ぷぅ」
サナちゃんが小さな手で撫で撫でしてくれた。それで衝撃のショックが薄れるから不思議なものである。猫ならゴロゴロ喉を鳴らしているところだ。
「ぷぅ(うむ。このなでなでは良いなでなで。サナたんは良いとくを詰んだのだ。ごりやくあるかも)」
「ほんと? ならあたし、泳げるようになりたいの!」
「ぷぅ!?」
後ろでルシウス君とユキノがニヤニヤ笑っている。
よりによってそれか、とピアディは焦った。
しかし誤魔化すことはせず、恐る恐る白状することにした。
「ぷ、ぷぅう……(あ、あのねなのだ、サナたん。われもね、われも……泳げるようになりたいのだ)」
「そうなの? ならどっちが先に泳げるようになるか競走しよ!」
「ぷぅ!」
まずは海水に慣れるところから!
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