61 / 216
第一章 異世界転移、村ごと!
俺、美味しい水でお茶を飲む~魔力増え増え
しおりを挟む
俺は朝、早起きしてひと足先にささっと軽く朝飯を食べて、ど田舎村側の敷地を見て回るのが習慣になった。
山々と川に囲まれたもなか村。反対側を見れば、こちらも山や川に囲まれた異世界だ。
農作物などは、村ごと転移してきたからかふつうにすくすく育っている。
あとは最低限の手入れだ。水やりや除草など、手が回らないことは承知の上で、可能な範囲でやる。
今後、収穫できた野菜のうちカットして乾燥できるものは保存食として一定の需要があるそうなので、廃棄はある程度抑えられそうとのこと。
今日は特に湧水の水源である川の上流がお目当てだった。
「すごいな。水も岩も光ってる」
ここの水源はもなか山の中腹の岩から直接、勢いよく水が吹き出している。予想通り水は俺がこれまで見た飲み物や、水を使って炊いたご飯や料理のように白く光っている。
今までのような薄っすらぼんやりした光じゃない。柔らかいが強い光だった。
「それじゃあこいつを、と」
採水用の一ガロンボトルに湧水を詰めた。
ついでに、500ミリリットルの水筒にも。こっちには家から持参したあるものをポンと突っ込む。お茶パックだ。中にはもちろん緑茶の茶葉が入っている。
あとはしばらく、近くでストレッチしたり、散策で時間を潰して一時間後。
持参していたアウトドア用のステンレスのマグカップに、水筒から水出し緑茶を注ぐ。
ここの湧水は日本ではゴルフ場の除草剤のせいで、かつてほどの味はなくなってしまったと聞いている。
それでも近年は昔の品質を取り戻しつつあって、俺も何度もこうして汲みにきて味を覚えている。
ドキドキしながら飲んだ水出し緑茶はといえば。
「……うま。ヤバいな。俺もうペットボトルのお茶飲めないわ」
冷たい湧水で抽出した緑茶は、――甘い。そして口の中いっぱいに広がる爽やかさ。全身に染み渡るような清冽さは言葉に尽くし難い。
一時間置いただけでこれだ。もう数時間、濃いめに出したやつで酎ハイにしたら最高だろうな。
しかもそれだけじゃない。飲んだお茶が胃に到達するなり、俺の身体から真紅の魔力がぼわっと滲み出てきた。
「こりゃ毎日飲んだらすごいことになりそうだな。そうか、異世界人の俺たちにとっては、この土地のもの自体がチート恩恵なのかも」
俺はもう一杯だけ軽く飲んで、減った分の水を足してキュッと水筒の蓋を回し締める。これはばあちゃんにも飲ませてやらないと!
さーて、と気合を入れて登山用のリュックに採水ボトルを突っ込んで背負って山を降りたのだった。
ばあちゃんちに戻ってくると、居間のちゃぶ台でユキりんがピナレラちゃんに絵本を読んでやっていた。
絵本は男爵の屋敷から持ってきたピナレラちゃんの私物だ。亡きご両親に買ってもらった形見だそうで。
ユキりんは一度俺たちの前で大泣きした後は、吹っ切れたのか遠慮がなくなった。マイペースな性格だったが自由人というほどでもなかったので、家の中のことも頼めばふつうに手伝ってくれている。
どうもこの村に留まってるのは彼なりの思惑があるようだ。それも含めて見てやってくれと男爵から頼まれていた。
むう、めんこい幼女と麗しの美少年……この瞬間を保存しておきたい……って俺スマホ持ってるじゃないか。
俺は二人に声をかけた。振り向いた瞬間にパシッとカメラ機能で撮影した。
確認すると、俺を見て笑顔の尊いピナレラちゃんと、急にスマホを向けられてちょっと怒った顔のユキりんが映っている。
山々と川に囲まれたもなか村。反対側を見れば、こちらも山や川に囲まれた異世界だ。
農作物などは、村ごと転移してきたからかふつうにすくすく育っている。
あとは最低限の手入れだ。水やりや除草など、手が回らないことは承知の上で、可能な範囲でやる。
今後、収穫できた野菜のうちカットして乾燥できるものは保存食として一定の需要があるそうなので、廃棄はある程度抑えられそうとのこと。
今日は特に湧水の水源である川の上流がお目当てだった。
「すごいな。水も岩も光ってる」
ここの水源はもなか山の中腹の岩から直接、勢いよく水が吹き出している。予想通り水は俺がこれまで見た飲み物や、水を使って炊いたご飯や料理のように白く光っている。
今までのような薄っすらぼんやりした光じゃない。柔らかいが強い光だった。
「それじゃあこいつを、と」
採水用の一ガロンボトルに湧水を詰めた。
ついでに、500ミリリットルの水筒にも。こっちには家から持参したあるものをポンと突っ込む。お茶パックだ。中にはもちろん緑茶の茶葉が入っている。
あとはしばらく、近くでストレッチしたり、散策で時間を潰して一時間後。
持参していたアウトドア用のステンレスのマグカップに、水筒から水出し緑茶を注ぐ。
ここの湧水は日本ではゴルフ場の除草剤のせいで、かつてほどの味はなくなってしまったと聞いている。
それでも近年は昔の品質を取り戻しつつあって、俺も何度もこうして汲みにきて味を覚えている。
ドキドキしながら飲んだ水出し緑茶はといえば。
「……うま。ヤバいな。俺もうペットボトルのお茶飲めないわ」
冷たい湧水で抽出した緑茶は、――甘い。そして口の中いっぱいに広がる爽やかさ。全身に染み渡るような清冽さは言葉に尽くし難い。
一時間置いただけでこれだ。もう数時間、濃いめに出したやつで酎ハイにしたら最高だろうな。
しかもそれだけじゃない。飲んだお茶が胃に到達するなり、俺の身体から真紅の魔力がぼわっと滲み出てきた。
「こりゃ毎日飲んだらすごいことになりそうだな。そうか、異世界人の俺たちにとっては、この土地のもの自体がチート恩恵なのかも」
俺はもう一杯だけ軽く飲んで、減った分の水を足してキュッと水筒の蓋を回し締める。これはばあちゃんにも飲ませてやらないと!
さーて、と気合を入れて登山用のリュックに採水ボトルを突っ込んで背負って山を降りたのだった。
ばあちゃんちに戻ってくると、居間のちゃぶ台でユキりんがピナレラちゃんに絵本を読んでやっていた。
絵本は男爵の屋敷から持ってきたピナレラちゃんの私物だ。亡きご両親に買ってもらった形見だそうで。
ユキりんは一度俺たちの前で大泣きした後は、吹っ切れたのか遠慮がなくなった。マイペースな性格だったが自由人というほどでもなかったので、家の中のことも頼めばふつうに手伝ってくれている。
どうもこの村に留まってるのは彼なりの思惑があるようだ。それも含めて見てやってくれと男爵から頼まれていた。
むう、めんこい幼女と麗しの美少年……この瞬間を保存しておきたい……って俺スマホ持ってるじゃないか。
俺は二人に声をかけた。振り向いた瞬間にパシッとカメラ機能で撮影した。
確認すると、俺を見て笑顔の尊いピナレラちゃんと、急にスマホを向けられてちょっと怒った顔のユキりんが映っている。
1,008
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる