異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

文字の大きさ
130 / 216
第二章 異世界ど田舎村を救え!

俺、王様の隠したかった秘密を知る

しおりを挟む
 酒造りの発酵に失敗していた俺は、ダメ元で夢に答えを求めながら眠りについた。
 あの俺と関係のありそうな賢い王様なら、何か問題解決に繋がるヒントをくれそうな気がする。

 だが、俺が見た夢は最初、酒造りとは何の関係もなかった。



  * * *



 王様の青春時代を見る夢は続いていた。

 学生時代の後半になると、王様、あの竜殺しの子、親戚のメガネ君は三人で友人になったようだ。
 そうきたか……しかし相変わらず王様から始まる一方通行片想いのままだ。

 通ってる王都の学園の学食で一緒にランチを食べたり(ラーメンあったぞこの異世界!)、夏休みなんかは王家の別荘地に三人で遊びに行ったりして高校生らしい青春をエンジョイしていたようだ。

 別荘地では現地の新鮮な野菜や米料理を堪能している。バーベキュー用のコンロで焼きおにぎり焼いて食ってて楽しそう。

 関係はまっっったく! 進展していない。王様は次期女王様になる母親や、祖父王、それにまだ存命だった先々王の曽祖父なんかにしょっちゅう揶揄われている。
 というか相手を落とせるかどうかで身内内で賭けまでされてるし。掛け金は金貨じゃなくて王家御用達ショコラティエのお高いチョコレートとかだが。

 そうこうしているうちに学生時代は終わって、――次に俺が夢で見た王様は二十三、四歳ぐらいになっていた。

 場面はアケロニア王国ではなさそうだ。旅先のどこか違う他国らしい。海のある小さな小さな国だ。



 王様が誰かと喧嘩している。
 俺の視点からは後ろ姿しか見えないが、相手は例の恋敵メガネ君のようだ。
 大人になったら顔のよく似た親戚同士の二人には体格で大きな差が出ている。メガネ君は王様ほど体格が良くもなく、背も平均くらいか。

 王様はものすごい剣幕で相手に詰め寄って責め立てている。まだ若いとはいえあの威厳の塊の王様だぞ? めちゃくちゃ怖いわ。

「いい加減にどっちつかずをやめろ! 結論を出せ!」

 怒鳴られてるメガネ君は困ったような雰囲気。王様を宥めようとしているが、それで余計に怒らせてるようだ。

 そのまま捨て台詞を吐いて王様が去っていく。少し時間をおいて例の竜殺しのべっぴんがメガネ君を心配してやってきた。
 こっちはこっちで、まったく関係が進展していない。
 王様が怒っているのは、竜殺しの子の想いを知ってるのにメガネ君が受け入れもせず、かといって友人関係のまま何も結論を出さないことにだった。

「あの方の仰ることは気にしないでください。自分はあなたのお側にいられればそれだけで幸せなのです」

 ぐあ。べっぴんしゃんが健気すぎる。そりゃ王様も怒るべさ……



 そのまま何ヶ月か経過した。
 幾度か王様たち三人を含む仲間たちでパーティーを組んで魔物や魔獣、他国の侵略者たちと戦うシーンがあった。
 そして最後にラスボスと思われる、世界を汚染するとんでもない邪気の塊と対決して、仲間たちと一緒に苦労しながらも何とか倒すことができた。

 ところが気を抜くのはまだ早かった。敵がまだしぶとく生きていたのだ。
 近くにいた王様に魔の手が伸びる、というところで王様を庇った男がいた。そうだ。王様に怒鳴られていたあのメガネ君だ。

 なぜ、と王様の唇が言葉にならない言葉をつぶやく。
 庇ったメガネ君は敵の攻撃を受けるも最後の力を振り絞ってラスボスを殲滅し、力尽きて倒れた。その後は――目を覚まさなかった。



 そこからは見てる俺も辛くて居た堪れなくなるようなシーンが続いた。

 王様を庇ったメガネ君は同じ相手を巡る恋敵だったろう? しかも王様が劣勢で。
 いや、実際はもっと酷かった。王様の好きな子は倒れたメガネ君のことが好きだったから、王様はまったく恋愛的な意味で相手にしてもらえていなかった。頑張って頑張ってようやく友人になれたけどそこ止まり。

 だけどメガネ君は色気より食い気みたいなタイプ。ほとんど恋愛に興味のない、かなり特殊な部類の人間だった。
 王様の好きな子は幼馴染みな分、随分長いこと悲しい思いをしたようだ。王様はそれを責めていたんだな。

 ラスボスの最後の悪足掻きの攻撃のせいで、メガネ君は呪いを受けてしまった。意識不明の重体のまま意識を取り戻さない。

 残された仲間たちの憔悴っぷりは酷かった。
 特に王様だ。そりゃそうだ、恋敵がなんで自分を庇った? ってずーっと自分を責め続けている。

 なぜも何もない。
 ――メガネ君が勇者だったからだ。
 彼にとっては王様も等しく守るべき相手だったのさ。





NEXT→王様は勇者のために大切なものを捨てた……
しおりを挟む
感想 271

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...