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第三章 異世界転移の謎を解け!
俺、おいなりさん大好き ※おいちい回
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一通り作りきって、最後にばあちゃんが手作りしてくれたのは稲荷寿司。うちは〝おいなりさん〟と呼んでいる。
もう日本から持ってきた備蓄の食糧も少なかったが、こっちの異世界にも大豆があったから豆腐が作れたのだ。
豆やナッツの植物性ミルクを飲む文化があったから専用の絞り機もあるし、固めるためのニガリに相当する薬品もあって木綿豆腐までは簡単に作れた。
大変だったのは、木綿豆腐を水切りして油で揚げる作業だ。
日本でならおいなりさん用の薄い油揚げが安く買えるが、自作するとなると時間も手間も費用もかかる。
ここアケロニア王国は揚げ物を日常的には食べないから、油を大量に使うのも気が引けるわけで。
それでも年に一度の稲刈りの時期だけ、と男爵を説得して揚げ油を調達してもらったのだ。
揚げて自作した油揚げは分厚かったが、ちゃんと豆腐屋さんで売ってるような手作り感のあるお揚げに仕上がった。
あとはばあちゃんに油抜きと、おいなりさん用の醤油と砂糖で甘辛く煮付けてもらって、酢飯を炊いてもらって。
御米田家のおいなりさんは、酢飯はかために炊いた米をしょっぱ酸っぱくきつめに、お揚げは甘み強めにして。このコントラストを意図的に作ると、お揚げに酢飯を詰めて数時間経った頃に味が馴染むように仕上げる。
村の会合があるときなんかは、早朝に作って食うまで時間がかかることが多い。
日持ちするように、酢飯もお揚げも濃いめの味付けにするわけだ。
……そういえば、今まで食べたおいなりさんの中では、ばあちゃんお手製を除くとやっぱり京都の伏見稲荷神社の参道の店のが美味かったなあ。
確か辞めた会社に新卒で入った年、国内の支社を挨拶巡りさせられて。同じ年に入社した八十神ときつねうどんと一緒に食った思い出……
あいつ、大学進学で東京に出るまでは京都に住んでたとかで。元地元だから詳しくて、お勧めされて入った店はめちゃくちゃ美味かった。
思えば遠いところまで来たもんだ。あの頃はまだ気の合う良い奴だと思ってた覚えがある……
家族全員でわいわい言いながら、お揚げに酢飯を詰めて、おいなりさんの出来上がり。
うちは酢飯だけ最初に俵形に簡単に握ってバットに並べてから、お揚げに詰めていくスタイル。これならばあちゃんに酢飯を握ってもらえば、詰めるのは簡単なので。
油揚げをあんまり数を作れなかったから量は少なかったが、それでも五十個は詰めただろうか。俺めちゃくちゃ頑張った。
村長や勉さんも呼んで、日本の味を堪能したのだった。
「おいなりしゃん。おいちいぃ~!」
ピナレラちゃんのおいちい判定も頂戴した。今回は特に反応がいい。
ほっぺたが落ちそうなくらいのふくふく幸せそうな笑顔だ。
そうだなあ、またこの笑顔を見るために、油揚げ量産を考えてみるか……!
……ピナレラちゃんのめんこい笑顔に俺の顔もゆるゆるだったが、頭の片隅には常にカズアキのことがある。
カズアキはといえば、ピナレラちゃんに負けず劣らずの顔でおいなりさんを頬張っている。
ばあちゃんそっくりの顔つきで、ほんと『美味いもの食ってるときが一番幸せ!』な顔だ。
まさか。まさかこの顔をまたみることができるだなんて。
「村の人たちへはお裾分けしなくても良かったの?」
「こっちは食文化がヨーロッパぽくてな。飯が甘いのは馴染まないみたいだ」
昼飯においなりさんをいただいた後、一緒に台所で食器洗いと片付けをしていたカズアキが首を傾げていたので、一応言い訳しておいた。
食後やおやつのスイーツが甘い分には問題ないから、食文化の違いがもろに出ている。
村人たちはばあちゃんが作る煮物も少し苦手なようだった。
そのせいか、こっちの世界に来てしばらくすると、ばあちゃんの料理も現地人寄りに肉やハーブで取った出汁の風味を生かす方向に変わってきている。和風の煮物というよりポトフみたいなイメージだな。
なので、おいなりさんも御米田家と村長、勉さんのもなか村勢だけでひっそりと、なわけだ。
日本にいた頃読んでたラノベや見てたアニメだと、異世界転生や転移すると日本食の再現に必死なキャラは珍しくなかった。
俺たちはといえば、ここアケロニア王国は基本的に食事が美味いんだわ。イタリア料理とか地中海料理のイメージだ。
米もあるし、このまま異世界に骨を埋めるならやっぱり現地の食事にシフトしていくのが良かんべ。
ただしこの世界、先人たちに同じ日本からの異世界転生者たちが若干いる。
彼らの集落があって、味噌や醤油といった和食に必須の調味料を作っていると聞いた。
高額になるが、もなか村の在庫が切れてどうしても欲しくなったら取り寄せはできるとのことだった。
ところで、おいなりさんはといえば。
日本にいたときなら、酢飯をお揚げに詰める前に表面にちょこっとだけ生のおろし山葵を塗って山葵いなりにしたり。
ばあちゃんご自慢の山椒の塩漬けを混ぜたりもして、酒の肴にしたりしたっけ。
もなか山に流れる川の上流付近には、野生の山葵が自生していてだな。
一応、早朝に数本採ってきてたんだが、山葵はピナレラちゃんやユキりんがダメなんだよな。まだ大人の味は早かっぺ。
「カズ君は山葵、平気だっけ?」
「大丈夫。お鮨に入ってるのも食べられるよ」
「回る鮨?」
「ううん。職人さんが握ってくれるやつ。前にお母さんのおじいちゃんが誘ってくれて」
あー……そうだ、こいつは叔父さんが社長なのもあるが、母方の祖父母が金持ちなんだった。
俺は回らない鮨なんて社会人になってから接待で初めて食ったもんだ。家族で行ってたのはもっぱら回る鮨チェーン店。
く、悔しくなんかないぞう!
「じゃあ夜はこいつで何か作ろうか」
天然物でちょっと細いが新鮮な生山葵がある。
「お刺身とか?」
「いいや」
山葵丼だ。
※おいなりさんレシピ、いろいろ名店の出回ってますが「ためしてガッ○ン」で紹介されたレシピが平均的にどの地域の人でも美味しいと感じる配合らしい。
お揚げが甘くて、逆に酢飯に砂糖入れずに酢と塩だけ。
もう日本から持ってきた備蓄の食糧も少なかったが、こっちの異世界にも大豆があったから豆腐が作れたのだ。
豆やナッツの植物性ミルクを飲む文化があったから専用の絞り機もあるし、固めるためのニガリに相当する薬品もあって木綿豆腐までは簡単に作れた。
大変だったのは、木綿豆腐を水切りして油で揚げる作業だ。
日本でならおいなりさん用の薄い油揚げが安く買えるが、自作するとなると時間も手間も費用もかかる。
ここアケロニア王国は揚げ物を日常的には食べないから、油を大量に使うのも気が引けるわけで。
それでも年に一度の稲刈りの時期だけ、と男爵を説得して揚げ油を調達してもらったのだ。
揚げて自作した油揚げは分厚かったが、ちゃんと豆腐屋さんで売ってるような手作り感のあるお揚げに仕上がった。
あとはばあちゃんに油抜きと、おいなりさん用の醤油と砂糖で甘辛く煮付けてもらって、酢飯を炊いてもらって。
御米田家のおいなりさんは、酢飯はかために炊いた米をしょっぱ酸っぱくきつめに、お揚げは甘み強めにして。このコントラストを意図的に作ると、お揚げに酢飯を詰めて数時間経った頃に味が馴染むように仕上げる。
村の会合があるときなんかは、早朝に作って食うまで時間がかかることが多い。
日持ちするように、酢飯もお揚げも濃いめの味付けにするわけだ。
……そういえば、今まで食べたおいなりさんの中では、ばあちゃんお手製を除くとやっぱり京都の伏見稲荷神社の参道の店のが美味かったなあ。
確か辞めた会社に新卒で入った年、国内の支社を挨拶巡りさせられて。同じ年に入社した八十神ときつねうどんと一緒に食った思い出……
あいつ、大学進学で東京に出るまでは京都に住んでたとかで。元地元だから詳しくて、お勧めされて入った店はめちゃくちゃ美味かった。
思えば遠いところまで来たもんだ。あの頃はまだ気の合う良い奴だと思ってた覚えがある……
家族全員でわいわい言いながら、お揚げに酢飯を詰めて、おいなりさんの出来上がり。
うちは酢飯だけ最初に俵形に簡単に握ってバットに並べてから、お揚げに詰めていくスタイル。これならばあちゃんに酢飯を握ってもらえば、詰めるのは簡単なので。
油揚げをあんまり数を作れなかったから量は少なかったが、それでも五十個は詰めただろうか。俺めちゃくちゃ頑張った。
村長や勉さんも呼んで、日本の味を堪能したのだった。
「おいなりしゃん。おいちいぃ~!」
ピナレラちゃんのおいちい判定も頂戴した。今回は特に反応がいい。
ほっぺたが落ちそうなくらいのふくふく幸せそうな笑顔だ。
そうだなあ、またこの笑顔を見るために、油揚げ量産を考えてみるか……!
……ピナレラちゃんのめんこい笑顔に俺の顔もゆるゆるだったが、頭の片隅には常にカズアキのことがある。
カズアキはといえば、ピナレラちゃんに負けず劣らずの顔でおいなりさんを頬張っている。
ばあちゃんそっくりの顔つきで、ほんと『美味いもの食ってるときが一番幸せ!』な顔だ。
まさか。まさかこの顔をまたみることができるだなんて。
「村の人たちへはお裾分けしなくても良かったの?」
「こっちは食文化がヨーロッパぽくてな。飯が甘いのは馴染まないみたいだ」
昼飯においなりさんをいただいた後、一緒に台所で食器洗いと片付けをしていたカズアキが首を傾げていたので、一応言い訳しておいた。
食後やおやつのスイーツが甘い分には問題ないから、食文化の違いがもろに出ている。
村人たちはばあちゃんが作る煮物も少し苦手なようだった。
そのせいか、こっちの世界に来てしばらくすると、ばあちゃんの料理も現地人寄りに肉やハーブで取った出汁の風味を生かす方向に変わってきている。和風の煮物というよりポトフみたいなイメージだな。
なので、おいなりさんも御米田家と村長、勉さんのもなか村勢だけでひっそりと、なわけだ。
日本にいた頃読んでたラノベや見てたアニメだと、異世界転生や転移すると日本食の再現に必死なキャラは珍しくなかった。
俺たちはといえば、ここアケロニア王国は基本的に食事が美味いんだわ。イタリア料理とか地中海料理のイメージだ。
米もあるし、このまま異世界に骨を埋めるならやっぱり現地の食事にシフトしていくのが良かんべ。
ただしこの世界、先人たちに同じ日本からの異世界転生者たちが若干いる。
彼らの集落があって、味噌や醤油といった和食に必須の調味料を作っていると聞いた。
高額になるが、もなか村の在庫が切れてどうしても欲しくなったら取り寄せはできるとのことだった。
ところで、おいなりさんはといえば。
日本にいたときなら、酢飯をお揚げに詰める前に表面にちょこっとだけ生のおろし山葵を塗って山葵いなりにしたり。
ばあちゃんご自慢の山椒の塩漬けを混ぜたりもして、酒の肴にしたりしたっけ。
もなか山に流れる川の上流付近には、野生の山葵が自生していてだな。
一応、早朝に数本採ってきてたんだが、山葵はピナレラちゃんやユキりんがダメなんだよな。まだ大人の味は早かっぺ。
「カズ君は山葵、平気だっけ?」
「大丈夫。お鮨に入ってるのも食べられるよ」
「回る鮨?」
「ううん。職人さんが握ってくれるやつ。前にお母さんのおじいちゃんが誘ってくれて」
あー……そうだ、こいつは叔父さんが社長なのもあるが、母方の祖父母が金持ちなんだった。
俺は回らない鮨なんて社会人になってから接待で初めて食ったもんだ。家族で行ってたのはもっぱら回る鮨チェーン店。
く、悔しくなんかないぞう!
「じゃあ夜はこいつで何か作ろうか」
天然物でちょっと細いが新鮮な生山葵がある。
「お刺身とか?」
「いいや」
山葵丼だ。
※おいなりさんレシピ、いろいろ名店の出回ってますが「ためしてガッ○ン」で紹介されたレシピが平均的にどの地域の人でも美味しいと感じる配合らしい。
お揚げが甘くて、逆に酢飯に砂糖入れずに酢と塩だけ。
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