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第三章 異世界転移の謎を解け!
その頃、日本では~side 八十神、早朝の神社参拝
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夏に京都の実家に帰省して、異世界にいた頃の記憶を思い出した。
あれから数ヶ月。秋に入りもう十月か……
僕、八十神アキラには、異世界・アケロニア王国で暮らしていた記憶がある。
そこでの僕はラーフ公爵ジオライドという名前だった。
顔や体型などはほとんど元のまま。色だけが違う。今の僕は日本人の標準よりちょっと明るめの茶髪と茶色い瞳だが、本来の僕は金髪に青い目をしていた。
僕に関していえば、ライトノベルやアニメの異世界転生や転移とは少し事情が異なる。
ジオライドの意識を、夢の世界を通じて違う次元の世界へ飛ばしている。そういう特殊な魔法があるのだ。
僕はアケロニア貴族のジオライドであり、日本人の八十神アキラでもある。
その事実を思い出してからは、二人の人物が上手く〝八十神アキラ〟を軸にして融合してきた。
思い出した当初は、八十神アキラがこちらでやらかした恥に悶えたなんてものじゃない。
御米田の企画を奪い、女を奪い……
だが自己嫌悪に陥っている時間はなかった。
あの御米田が故郷の村ごと転移した先が、異世界にあるアケロニア王国だ。
ジオライドの僕が生きているのは、いま御米田がいる時代より約百年後になる。
ジオライドはそこで当代の国王の側近の一人だった。
いつもより一時間以上早い時間に家を出た。
出社前に、自宅最寄駅の赤羽から一本で行ける王子の神社に参拝するためだ。
王子には有名な神社が二社ある。先に駅の出口に近かった王子稲荷へ向かった。
王子稲荷。関東稲荷総社で、京都育ちで伏見稲荷神社によくお参りしていた僕には同じご祭神のおられる縁のある〝おいなりさん〟だ。
まだ早朝だから参拝客もおらず、併設の幼稚園も閉園中だ。幼稚園脇の参道の階段を登って境内へと向かった。
拝殿の賽銭箱に小銭を入れようとして、ふと思い止まった。
札入れを取り出し、千円札を一枚小さく折り畳んで賽銭箱へ入れた。
あとは普通の神社へのお参りと同じだ。二礼二拍手の後、軽く祈願内容を祈る。
ただし自分の願いを叶えてもらいたいわけじゃない。
祈るのは、参拝した神社のご祭神や土地の産土神、神霊、精霊、そして神社の氏子や崇敬者、この土地に住む人々や活動する企業など団体への弥栄だ。
わかりやすくいえば、この神社と土地にまつわるものすべてに祝福の念を送る。
このやり方は、アケロニア王国で世話になっていた神官から教わったものだ。
『人は皆、自分のことだけで精一杯ですから。逆に一時的に自分のことは忘れて、聖なるものに感謝と祝福を捧げると良いのです』
まだ夜明け間もない時刻だから人もいない。拝殿の前で長い時間祈りを捧げていても他者の迷惑にならない。
ひたすら無心で祈りを続けていると、ふわっと身体や頭が軽くなる感触が出た。
目を開いて顔の前で合わせていた合掌の手を見る。
ぼわっと薄く白い光が両手を覆っていた。
その光は僕の全身から出ている。
無事、聖地を利用して力――魔力を得られたようだ。
ぼんやりした光はやがて僕の胸周りに光の円環として収束した。
全身に感じる軽やかな爽快感と充実感は久し振りだった。魔力が満ちた感覚だ。
それからしばらく祈り続けて、円環が安定してから一礼し、拝殿前から辞した。
同じことを王子神社でも行うつもりだ。
まだ朝の七時台で時間に余裕がある。あとは出社する前にどこかで朝食でも取ろうか。
→八十神は異世界と日本の違いに思いを馳せた……
あれから数ヶ月。秋に入りもう十月か……
僕、八十神アキラには、異世界・アケロニア王国で暮らしていた記憶がある。
そこでの僕はラーフ公爵ジオライドという名前だった。
顔や体型などはほとんど元のまま。色だけが違う。今の僕は日本人の標準よりちょっと明るめの茶髪と茶色い瞳だが、本来の僕は金髪に青い目をしていた。
僕に関していえば、ライトノベルやアニメの異世界転生や転移とは少し事情が異なる。
ジオライドの意識を、夢の世界を通じて違う次元の世界へ飛ばしている。そういう特殊な魔法があるのだ。
僕はアケロニア貴族のジオライドであり、日本人の八十神アキラでもある。
その事実を思い出してからは、二人の人物が上手く〝八十神アキラ〟を軸にして融合してきた。
思い出した当初は、八十神アキラがこちらでやらかした恥に悶えたなんてものじゃない。
御米田の企画を奪い、女を奪い……
だが自己嫌悪に陥っている時間はなかった。
あの御米田が故郷の村ごと転移した先が、異世界にあるアケロニア王国だ。
ジオライドの僕が生きているのは、いま御米田がいる時代より約百年後になる。
ジオライドはそこで当代の国王の側近の一人だった。
いつもより一時間以上早い時間に家を出た。
出社前に、自宅最寄駅の赤羽から一本で行ける王子の神社に参拝するためだ。
王子には有名な神社が二社ある。先に駅の出口に近かった王子稲荷へ向かった。
王子稲荷。関東稲荷総社で、京都育ちで伏見稲荷神社によくお参りしていた僕には同じご祭神のおられる縁のある〝おいなりさん〟だ。
まだ早朝だから参拝客もおらず、併設の幼稚園も閉園中だ。幼稚園脇の参道の階段を登って境内へと向かった。
拝殿の賽銭箱に小銭を入れようとして、ふと思い止まった。
札入れを取り出し、千円札を一枚小さく折り畳んで賽銭箱へ入れた。
あとは普通の神社へのお参りと同じだ。二礼二拍手の後、軽く祈願内容を祈る。
ただし自分の願いを叶えてもらいたいわけじゃない。
祈るのは、参拝した神社のご祭神や土地の産土神、神霊、精霊、そして神社の氏子や崇敬者、この土地に住む人々や活動する企業など団体への弥栄だ。
わかりやすくいえば、この神社と土地にまつわるものすべてに祝福の念を送る。
このやり方は、アケロニア王国で世話になっていた神官から教わったものだ。
『人は皆、自分のことだけで精一杯ですから。逆に一時的に自分のことは忘れて、聖なるものに感謝と祝福を捧げると良いのです』
まだ夜明け間もない時刻だから人もいない。拝殿の前で長い時間祈りを捧げていても他者の迷惑にならない。
ひたすら無心で祈りを続けていると、ふわっと身体や頭が軽くなる感触が出た。
目を開いて顔の前で合わせていた合掌の手を見る。
ぼわっと薄く白い光が両手を覆っていた。
その光は僕の全身から出ている。
無事、聖地を利用して力――魔力を得られたようだ。
ぼんやりした光はやがて僕の胸周りに光の円環として収束した。
全身に感じる軽やかな爽快感と充実感は久し振りだった。魔力が満ちた感覚だ。
それからしばらく祈り続けて、円環が安定してから一礼し、拝殿前から辞した。
同じことを王子神社でも行うつもりだ。
まだ朝の七時台で時間に余裕がある。あとは出社する前にどこかで朝食でも取ろうか。
→八十神は異世界と日本の違いに思いを馳せた……
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