異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

文字の大きさ
160 / 216
第三章 異世界転移の謎を解け!

その頃、日本では~side 八十神の異世界回想2

しおりを挟む
 僕の本体、異世界のラーフ公爵ジオライドは、アケロニア国王や勇者に返しきれない恩があった。

 学生時代、身分の高さを傘に着て婚約者の令嬢を虐げ、婚約破棄をしでかしていた。王家の仲介での政略結婚にも関わらず、だ。

 落ちはあっさりしたもので、増長と傲慢の根拠だった『公爵家嫡男』のはずが、実態は母親の不義の子だった。
 全校生徒の前でその事実が露呈して、当然婚約はジオライド側の有責で破棄。
 公爵家からも廃嫡、除籍されて平民落ちになる寸前で助けてくれたのが今の王と勇者だった。

 ジオライドのおかしな言動に違和感を感じて、調査をしてくれたのだ。
 良くない母親の悪影響で『一時的な汚染』を受けていただけだとフォローをしてくれた。

 結果、ジオライドは廃嫡されることもなくそのままラーフ公爵の爵位を継承できた。
 母親の不義の子である事実は変えられなくても、公爵家の一族の女性を娶ることで産まれた子供に公爵位を譲れば血筋を繋ぐことができる。

 このような事情があったから、ジオライドは強固な王と勇者派だ。何があろうと二人の味方でいると最初から決めていた。

 そう、二人のために僕は動く。

 他の側近の中には王だけ、王家全体など忠誠の向ける先は様々だが、僕は何があっても王と勇者を最優先に生きる。



 夢見の術は、夢を通じて様々な世界へ飛ぶための古の魔法だ。
 飛べる世界は過去でも未来でも良く、あるいは次元を超えた異世界でも良い。

 ……王が勇者を救うために利用した理由がよくわかる。

 ただし、飛べるのは術者の意識だけだ。夢見の世界で何か問題が起これば戻れず、そのまま死亡するケースもあるという。
 だから王は自分だけで夢見を行い試行錯誤して、側近たちにすら助けを求めなかった。

 だがついに、魔力源を確保する資金も尽きたと白状する羽目になった。

 さすがにジオライドたちは王を止めた。
 それに、勇者のステータスには死亡へのカウントダウンまで始まっている。

 この時点で、王の周りは勇者を助けるべき派と諦めろ派に分かれた。
 側近たちは全員「諦めて欲しい派」だ。
 数少ない王族を失うのは痛いが、それは王が妃を迎えて子孫を作ればいい。

 しかし最終結論を出す前日の夜、王が更に側近たちに告白をした。



 邪悪と対峙するため他国に赴いていた期間中、勇者と大喧嘩をしていたこと。

『敵を……魔に堕落した親の仇と、もっと話をしておけば良かったなどと世迷言を抜かしおったから』

 人間が邪や魔に堕落するまでには段階がある。
 自分から邪悪な生き方を楽しんで悪に堕ちる者もいれば、世界に絶望して堕ちてしまう者もいる。どうやら勇者は対峙していた魔を後者と捉えている節があったようだ。
 敵ではあっても、魔に堕ちた理由があるなら理解したいと考えていたらしい。

 だが勇者が追う魔は、彼の実の父を殺した男だ。確か学園時代、彼のクラスにいた他国からの転校生だったと聞いている。
 勇者の父は高齢で退位した数代前のアケロニア国王だ。そして王の曾祖父でもある。
 王からしてみたら、魔は自分の尊敬する曾祖父の仇だ。それで余計に理解を示そうとした勇者が許せなくなったようだ。



 そこまで話を聞いて、僕たち側近は「まだあるでしょう?」と王に詰め寄り続きを吐かせた。
 こんな話、素面ではお互い話せないし聞けもしない。その日の執務が終わった後で王の私室に酒瓶を持ち込み、ひたすら飲みながら膝を突き合わせていた。

 そして判明したのは、なぜ、王が我々に何も相談できなかったかの理由だ。

『……私はあやつを強引にアケロニア王国に連れ帰ってきてしまった。仲間は皆、反対していたのに』

 当時、ラスボスとの決戦の場はアケロニア王国から離れた西の小国だったと聞く。ウーパールーパーの歌聖殿が守護者となっていた国だ。
 そこには大聖女を始めとした実力ある聖賢が集っていた。

『彼女たちに預けていたほうが、治癒の機会も多かったのに。だが、私は、どうしても……』

 重い王の口を開かせてみれば。

「あやつが倒れる前日、口論をした。私の最愛を振り回すあやつがどうしても許せなくて、結論を出せと詰め寄ったのだ」

 王の最愛は、竜殺しの称号を持つ麗しの君だ。
 魔法剣士で勇者の幼馴染みである。
 王の初恋の相手だ。しかし本人は幼い頃から勇者を一途に想っていて、王の想いに応えてはいなかったと聞く。

 勇者は竜殺しの君をただの幼馴染みとしか思っていない。だが突き放すこともしないから君は諦めることもできない状態だ。
 この一方通行の三角関係は学生時代から有名だった。



 時間をかけてさらに聞き出していった。

 勇者が倒れて、現地でできる限りの治療や対処を行ったが目覚めないままだった。
 仲間たちは西の小国で勇者を引き受けると申し出てくれたのだが、王はこれをチャンスだと思ってしまったらしい。

 何を? 勇者と、己の最愛の竜殺しの君を引き剥がす絶好の好機だと、だ。

 それで強引に昏睡状態の勇者と一緒にアケロニア王国に帰国した。

『そのせいで、私は仲間たちと険悪になってしまって。助けを求めるどころではなくなってしまった……』

 王は帰国時はまだ王太子だった。
 すぐに国王に即位したのだが、そのとき彼の仲間たちは西の小国から戴冠式に出席しに訪れている。
 僕たち側近の目から見ても、王と彼や彼女たちは仲が良いように見えた。

 しかし王の言うことが事実ならば、その裏では勇者の処遇を巡って冷戦状態であったと……

 ついには、意識不明のままの勇者の死期が明らかになった。

『あやつがこのまま死ねば。いなくなれば、あの人は私を見てくれるかもしれない、などと……思ってしまったのだ』
『……陛下』
『何と愚かな。あやつだって私にとって大切な存在なのに。そんな自分が私はどうしても許せなくなった』

 それからも次々と、王が心の中だけで煮詰めていた感情を吐き出させたわけだが。

 とりあえず、僕たち側近たちの気持ちは一つになった。

『駄目だこの王。何とかしないと』

 聞けば夢見の中でも迷走して、いろいろな人間と拗れている。
 そういうところは御米田の詰めの甘さに反映されていたようだ。



 かつて〝全方向に優秀な王太子〟と呼ばれていた彼は、恋愛や愛情に絡む領域だけに欠けがある。
 そのせいか国王に即位してもなかなか王妃が決まらず、二十八の歳になった今も独身のままだ。

 まさかここまで強烈な短所だったとは、と愕然とするやら呆れるやらで。





→八十神の異世界回想は続く……



꒰(。-ˇ_ˇ-。)꒱ ダカラオマエハダメナノダプゥ~...

※ウパルパ様と王様は仲が良かった。でも今はげきおこされて絶縁状態……

しおりを挟む
感想 271

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...