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第三章 異世界転移の謎を解け!
その頃、日本では~side 八十神の異世界回想2
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僕の本体、異世界のラーフ公爵ジオライドは、アケロニア国王や勇者に返しきれない恩があった。
学生時代、身分の高さを傘に着て婚約者の令嬢を虐げ、婚約破棄をしでかしていた。王家の仲介での政略結婚にも関わらず、だ。
落ちはあっさりしたもので、増長と傲慢の根拠だった『公爵家嫡男』のはずが、実態は母親の不義の子だった。
全校生徒の前でその事実が露呈して、当然婚約はジオライド側の有責で破棄。
公爵家からも廃嫡、除籍されて平民落ちになる寸前で助けてくれたのが今の王と勇者だった。
ジオライドのおかしな言動に違和感を感じて、調査をしてくれたのだ。
良くない母親の悪影響で『一時的な汚染』を受けていただけだとフォローをしてくれた。
結果、ジオライドは廃嫡されることもなくそのままラーフ公爵の爵位を継承できた。
母親の不義の子である事実は変えられなくても、公爵家の一族の女性を娶ることで産まれた子供に公爵位を譲れば血筋を繋ぐことができる。
このような事情があったから、ジオライドは強固な王と勇者派だ。何があろうと二人の味方でいると最初から決めていた。
そう、二人のために僕は動く。
他の側近の中には王だけ、王家全体など忠誠の向ける先は様々だが、僕は何があっても王と勇者を最優先に生きる。
夢見の術は、夢を通じて様々な世界へ飛ぶための古の魔法だ。
飛べる世界は過去でも未来でも良く、あるいは次元を超えた異世界でも良い。
……王が勇者を救うために利用した理由がよくわかる。
ただし、飛べるのは術者の意識だけだ。夢見の世界で何か問題が起これば戻れず、そのまま死亡するケースもあるという。
だから王は自分だけで夢見を行い試行錯誤して、側近たちにすら助けを求めなかった。
だがついに、魔力源を確保する資金も尽きたと白状する羽目になった。
さすがにジオライドたちは王を止めた。
それに、勇者のステータスには死亡へのカウントダウンまで始まっている。
この時点で、王の周りは勇者を助けるべき派と諦めろ派に分かれた。
側近たちは全員「諦めて欲しい派」だ。
数少ない王族を失うのは痛いが、それは王が妃を迎えて子孫を作ればいい。
しかし最終結論を出す前日の夜、王が更に側近たちに告白をした。
邪悪と対峙するため他国に赴いていた期間中、勇者と大喧嘩をしていたこと。
『敵を……魔に堕落した親の仇と、もっと話をしておけば良かったなどと世迷言を抜かしおったから』
人間が邪や魔に堕落するまでには段階がある。
自分から邪悪な生き方を楽しんで悪に堕ちる者もいれば、世界に絶望して堕ちてしまう者もいる。どうやら勇者は対峙していた魔を後者と捉えている節があったようだ。
敵ではあっても、魔に堕ちた理由があるなら理解したいと考えていたらしい。
だが勇者が追う魔は、彼の実の父を殺した男だ。確か学園時代、彼のクラスにいた他国からの転校生だったと聞いている。
勇者の父は高齢で退位した数代前のアケロニア国王だ。そして王の曾祖父でもある。
王からしてみたら、魔は自分の尊敬する曾祖父の仇だ。それで余計に理解を示そうとした勇者が許せなくなったようだ。
そこまで話を聞いて、僕たち側近は「まだあるでしょう?」と王に詰め寄り続きを吐かせた。
こんな話、素面ではお互い話せないし聞けもしない。その日の執務が終わった後で王の私室に酒瓶を持ち込み、ひたすら飲みながら膝を突き合わせていた。
そして判明したのは、なぜ、王が我々に何も相談できなかったかの理由だ。
『……私はあやつを強引にアケロニア王国に連れ帰ってきてしまった。仲間は皆、反対していたのに』
当時、ラスボスとの決戦の場はアケロニア王国から離れた西の小国だったと聞く。ウーパールーパーの歌聖殿が守護者となっていた国だ。
そこには大聖女を始めとした実力ある聖賢が集っていた。
『彼女たちに預けていたほうが、治癒の機会も多かったのに。だが、私は、どうしても……』
重い王の口を開かせてみれば。
「あやつが倒れる前日、口論をした。私の最愛を振り回すあやつがどうしても許せなくて、結論を出せと詰め寄ったのだ」
王の最愛は、竜殺しの称号を持つ麗しの君だ。
魔法剣士で勇者の幼馴染みである。
王の初恋の相手だ。しかし本人は幼い頃から勇者を一途に想っていて、王の想いに応えてはいなかったと聞く。
勇者は竜殺しの君をただの幼馴染みとしか思っていない。だが突き放すこともしないから君は諦めることもできない状態だ。
この一方通行の三角関係は学生時代から有名だった。
時間をかけてさらに聞き出していった。
勇者が倒れて、現地でできる限りの治療や対処を行ったが目覚めないままだった。
仲間たちは西の小国で勇者を引き受けると申し出てくれたのだが、王はこれをチャンスだと思ってしまったらしい。
何を? 勇者と、己の最愛の竜殺しの君を引き剥がす絶好の好機だと、だ。
それで強引に昏睡状態の勇者と一緒にアケロニア王国に帰国した。
『そのせいで、私は仲間たちと険悪になってしまって。助けを求めるどころではなくなってしまった……』
王は帰国時はまだ王太子だった。
すぐに国王に即位したのだが、そのとき彼の仲間たちは西の小国から戴冠式に出席しに訪れている。
僕たち側近の目から見ても、王と彼や彼女たちは仲が良いように見えた。
しかし王の言うことが事実ならば、その裏では勇者の処遇を巡って冷戦状態であったと……
ついには、意識不明のままの勇者の死期が明らかになった。
『あやつがこのまま死ねば。いなくなれば、あの人は私を見てくれるかもしれない、などと……思ってしまったのだ』
『……陛下』
『何と愚かな。あやつだって私にとって大切な存在なのに。そんな自分が私はどうしても許せなくなった』
それからも次々と、王が心の中だけで煮詰めていた感情を吐き出させたわけだが。
とりあえず、僕たち側近たちの気持ちは一つになった。
『駄目だこの王。何とかしないと』
聞けば夢見の中でも迷走して、いろいろな人間と拗れている。
そういうところは御米田の詰めの甘さに反映されていたようだ。
かつて〝全方向に優秀な王太子〟と呼ばれていた彼は、恋愛や愛情に絡む領域だけに欠けがある。
そのせいか国王に即位してもなかなか王妃が決まらず、二十八の歳になった今も独身のままだ。
まさかここまで強烈な短所だったとは、と愕然とするやら呆れるやらで。
→八十神の異世界回想は続く……
꒰(。-ˇ_ˇ-。)꒱ ダカラオマエハダメナノダプゥ~...
※ウパルパ様と王様は仲が良かった。でも今はげきおこされて絶縁状態……
学生時代、身分の高さを傘に着て婚約者の令嬢を虐げ、婚約破棄をしでかしていた。王家の仲介での政略結婚にも関わらず、だ。
落ちはあっさりしたもので、増長と傲慢の根拠だった『公爵家嫡男』のはずが、実態は母親の不義の子だった。
全校生徒の前でその事実が露呈して、当然婚約はジオライド側の有責で破棄。
公爵家からも廃嫡、除籍されて平民落ちになる寸前で助けてくれたのが今の王と勇者だった。
ジオライドのおかしな言動に違和感を感じて、調査をしてくれたのだ。
良くない母親の悪影響で『一時的な汚染』を受けていただけだとフォローをしてくれた。
結果、ジオライドは廃嫡されることもなくそのままラーフ公爵の爵位を継承できた。
母親の不義の子である事実は変えられなくても、公爵家の一族の女性を娶ることで産まれた子供に公爵位を譲れば血筋を繋ぐことができる。
このような事情があったから、ジオライドは強固な王と勇者派だ。何があろうと二人の味方でいると最初から決めていた。
そう、二人のために僕は動く。
他の側近の中には王だけ、王家全体など忠誠の向ける先は様々だが、僕は何があっても王と勇者を最優先に生きる。
夢見の術は、夢を通じて様々な世界へ飛ぶための古の魔法だ。
飛べる世界は過去でも未来でも良く、あるいは次元を超えた異世界でも良い。
……王が勇者を救うために利用した理由がよくわかる。
ただし、飛べるのは術者の意識だけだ。夢見の世界で何か問題が起これば戻れず、そのまま死亡するケースもあるという。
だから王は自分だけで夢見を行い試行錯誤して、側近たちにすら助けを求めなかった。
だがついに、魔力源を確保する資金も尽きたと白状する羽目になった。
さすがにジオライドたちは王を止めた。
それに、勇者のステータスには死亡へのカウントダウンまで始まっている。
この時点で、王の周りは勇者を助けるべき派と諦めろ派に分かれた。
側近たちは全員「諦めて欲しい派」だ。
数少ない王族を失うのは痛いが、それは王が妃を迎えて子孫を作ればいい。
しかし最終結論を出す前日の夜、王が更に側近たちに告白をした。
邪悪と対峙するため他国に赴いていた期間中、勇者と大喧嘩をしていたこと。
『敵を……魔に堕落した親の仇と、もっと話をしておけば良かったなどと世迷言を抜かしおったから』
人間が邪や魔に堕落するまでには段階がある。
自分から邪悪な生き方を楽しんで悪に堕ちる者もいれば、世界に絶望して堕ちてしまう者もいる。どうやら勇者は対峙していた魔を後者と捉えている節があったようだ。
敵ではあっても、魔に堕ちた理由があるなら理解したいと考えていたらしい。
だが勇者が追う魔は、彼の実の父を殺した男だ。確か学園時代、彼のクラスにいた他国からの転校生だったと聞いている。
勇者の父は高齢で退位した数代前のアケロニア国王だ。そして王の曾祖父でもある。
王からしてみたら、魔は自分の尊敬する曾祖父の仇だ。それで余計に理解を示そうとした勇者が許せなくなったようだ。
そこまで話を聞いて、僕たち側近は「まだあるでしょう?」と王に詰め寄り続きを吐かせた。
こんな話、素面ではお互い話せないし聞けもしない。その日の執務が終わった後で王の私室に酒瓶を持ち込み、ひたすら飲みながら膝を突き合わせていた。
そして判明したのは、なぜ、王が我々に何も相談できなかったかの理由だ。
『……私はあやつを強引にアケロニア王国に連れ帰ってきてしまった。仲間は皆、反対していたのに』
当時、ラスボスとの決戦の場はアケロニア王国から離れた西の小国だったと聞く。ウーパールーパーの歌聖殿が守護者となっていた国だ。
そこには大聖女を始めとした実力ある聖賢が集っていた。
『彼女たちに預けていたほうが、治癒の機会も多かったのに。だが、私は、どうしても……』
重い王の口を開かせてみれば。
「あやつが倒れる前日、口論をした。私の最愛を振り回すあやつがどうしても許せなくて、結論を出せと詰め寄ったのだ」
王の最愛は、竜殺しの称号を持つ麗しの君だ。
魔法剣士で勇者の幼馴染みである。
王の初恋の相手だ。しかし本人は幼い頃から勇者を一途に想っていて、王の想いに応えてはいなかったと聞く。
勇者は竜殺しの君をただの幼馴染みとしか思っていない。だが突き放すこともしないから君は諦めることもできない状態だ。
この一方通行の三角関係は学生時代から有名だった。
時間をかけてさらに聞き出していった。
勇者が倒れて、現地でできる限りの治療や対処を行ったが目覚めないままだった。
仲間たちは西の小国で勇者を引き受けると申し出てくれたのだが、王はこれをチャンスだと思ってしまったらしい。
何を? 勇者と、己の最愛の竜殺しの君を引き剥がす絶好の好機だと、だ。
それで強引に昏睡状態の勇者と一緒にアケロニア王国に帰国した。
『そのせいで、私は仲間たちと険悪になってしまって。助けを求めるどころではなくなってしまった……』
王は帰国時はまだ王太子だった。
すぐに国王に即位したのだが、そのとき彼の仲間たちは西の小国から戴冠式に出席しに訪れている。
僕たち側近の目から見ても、王と彼や彼女たちは仲が良いように見えた。
しかし王の言うことが事実ならば、その裏では勇者の処遇を巡って冷戦状態であったと……
ついには、意識不明のままの勇者の死期が明らかになった。
『あやつがこのまま死ねば。いなくなれば、あの人は私を見てくれるかもしれない、などと……思ってしまったのだ』
『……陛下』
『何と愚かな。あやつだって私にとって大切な存在なのに。そんな自分が私はどうしても許せなくなった』
それからも次々と、王が心の中だけで煮詰めていた感情を吐き出させたわけだが。
とりあえず、僕たち側近たちの気持ちは一つになった。
『駄目だこの王。何とかしないと』
聞けば夢見の中でも迷走して、いろいろな人間と拗れている。
そういうところは御米田の詰めの甘さに反映されていたようだ。
かつて〝全方向に優秀な王太子〟と呼ばれていた彼は、恋愛や愛情に絡む領域だけに欠けがある。
そのせいか国王に即位してもなかなか王妃が決まらず、二十八の歳になった今も独身のままだ。
まさかここまで強烈な短所だったとは、と愕然とするやら呆れるやらで。
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