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第三章 異世界転移の謎を解け!
その頃、日本では~side 八十神の異世界回想3
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あの御米田の本体ともいえるのが、このアケロニア国王なわけだが……
思えばこの王は学生時代、まだ王太子の頃から迷走気味ではあった。
王家に生まれ、すべての能力値が平均値以上でバランスが良く有能。
性格も鷹揚にして明朗闊達、慈悲深く、兄貴肌の気持ちの良い男である。この気質はアケロニア王族に共通するが王は特に安定している。
臣下からすれば仕えやすい理想の君主といえた。
反面、麗しの竜殺しの君に一目惚れしてからは、最高学年に進学するまで声すらかけられない内気さを見せた。
かと思えば影から見守って、その記録を元にファンクラブの学内開設と会報発行までしていた。
ほぼ自分ひとりで。当時既に王太子で日々学業と公務で忙しかったはずなのに。
その行動力でとっとと告白して玉砕してくれていたら、僕たちだって骨ぐらいは拾ってやれたのに。
勇者の死期へのカウントダウンが明らかになったことと、それでも王が頑固に諦めなかったことで王家の方針も明らかになった。
『あの愚息に付き合ってやってくれ。済まぬ』
王の母である先代女王からも苦渋に満ちた激励のお言葉を賜り、僕たち側近も覚悟が決まった。
先代女王やまだ健在の先々王、それに勇者の母からも出資金を得た。これであと数回は夢見が行える。
とりあえず、我らの王は単独にしておくと何をしでかすかわからない。綱が必要だ。
仕方ないから側近の中からサポーターを出すことにした。
とはいえ誰でも良いわけじゃなかった。
王の護衛の近衛騎士団長は、王族の親戚の現役ウェイザー公爵。彼は無理だ。
このまま勇者が死に、王に何かあったとき次期国王になるのは王位継承権を持つ彼になる可能性が高いためだ。
宰相補佐は宰相の嫡男。彼も駄目だ。
グロリオーサ侯爵家の嫡男で彼は一人っ子。下に弟妹がいない。
こんな調子で王の側近たちは皆、高位貴族や国の重要な職位にあるものばかりで難しい。
夢見の術自体が、夢の世界へ飛ぶ不確定要素の大き過ぎる術だ。そのせいで尻込みしてしまったのもある。
そこで白羽の矢が立ったのが僕の本体ジオライドだ。
僕とて現役のラーフ公爵だが先代公爵の血を引いていない、母親の不義の子。
一族の娘と婚姻したことで辛うじてラーフ公爵家の血を繋ぐこともできた。
そう、既に健康な男子を儲けて次の公爵位の心配もない。できたらもう一人ぐらい欲しかったが……
こんな僕でも父は愛してくれていたが、ラーフ公爵一族のことを考えれば、僕は早く表舞台から退場したほうがいい。
元々、王と勇者に助けられなければ平民落ちして追放されたその日に毒を呷るつもりだった身だ。
夢見の術で死ぬかもしれない? 恩返しして死ねるなら本望だ!
喜んでジオライドは王に魔力を捧げることにした。
そうして夢見を続けたが、御米田がなかなかもなか村に帰省しない。
勇者の前世の遺骨のある、もなか村へと。
毎回ろくでもない女に捕まる。
「田舎は嫌」と言われて東京に家やマンションを買って、もなか村の祖母と疎遠になってしまうのだ。
同じ会社の同僚で友人となった八十神がどれだけたしなめても聞きやしない。
そして夢見を実行するための魔力が尽きた。
資金もだ。今度こそすっからかんに尽きた。
先代女王たちからの出資金も、協力を申し出てくれた貴族や商人、有力な平民たちからの献金も使い果たした。
僕たち側近ももう成す術がなく諦めきっていた。
しぶとく執拗に勇者を救うことにこだわっていたのは王だけ。
ついには先代女王が強権を発動して、王から王位を剥奪するという話にまでなってしまった、そのとき。
西の小国から、かつて勇者や王の仲間だった者たちがアケロニア王国へやってきた。
守護者のウーパールーパーの歌聖殿を始めとして、歌聖殿の保護者を自認する大聖女様とその世話役、そして――歌聖殿に宰相として引き抜かれていたあの竜殺しの麗しの君だ。
いつまで経っても勇者が目を覚ました連絡が来ないので、痺れを切らしてやってきたのだ。
『内政干渉になるからと介入を堪えておりました。しかし彼が倒れてあなたが連れ去ってから四年。今さら私たちを拒みはしませんね?』
竜殺しの君は、元はアケロニア王国の貴族家当主だ。
親の仇を追って出奔した勇者を追いかけて、最終決戦の場となった西の小国で歌聖殿に請われ現地の厄介ごとを引き受けたと聞く。
まさかアケロニア王国から籍を抜いて、他国の宰相にまでなるとは誰も思っていなかったが……
思えばこの王は学生時代、まだ王太子の頃から迷走気味ではあった。
王家に生まれ、すべての能力値が平均値以上でバランスが良く有能。
性格も鷹揚にして明朗闊達、慈悲深く、兄貴肌の気持ちの良い男である。この気質はアケロニア王族に共通するが王は特に安定している。
臣下からすれば仕えやすい理想の君主といえた。
反面、麗しの竜殺しの君に一目惚れしてからは、最高学年に進学するまで声すらかけられない内気さを見せた。
かと思えば影から見守って、その記録を元にファンクラブの学内開設と会報発行までしていた。
ほぼ自分ひとりで。当時既に王太子で日々学業と公務で忙しかったはずなのに。
その行動力でとっとと告白して玉砕してくれていたら、僕たちだって骨ぐらいは拾ってやれたのに。
勇者の死期へのカウントダウンが明らかになったことと、それでも王が頑固に諦めなかったことで王家の方針も明らかになった。
『あの愚息に付き合ってやってくれ。済まぬ』
王の母である先代女王からも苦渋に満ちた激励のお言葉を賜り、僕たち側近も覚悟が決まった。
先代女王やまだ健在の先々王、それに勇者の母からも出資金を得た。これであと数回は夢見が行える。
とりあえず、我らの王は単独にしておくと何をしでかすかわからない。綱が必要だ。
仕方ないから側近の中からサポーターを出すことにした。
とはいえ誰でも良いわけじゃなかった。
王の護衛の近衛騎士団長は、王族の親戚の現役ウェイザー公爵。彼は無理だ。
このまま勇者が死に、王に何かあったとき次期国王になるのは王位継承権を持つ彼になる可能性が高いためだ。
宰相補佐は宰相の嫡男。彼も駄目だ。
グロリオーサ侯爵家の嫡男で彼は一人っ子。下に弟妹がいない。
こんな調子で王の側近たちは皆、高位貴族や国の重要な職位にあるものばかりで難しい。
夢見の術自体が、夢の世界へ飛ぶ不確定要素の大き過ぎる術だ。そのせいで尻込みしてしまったのもある。
そこで白羽の矢が立ったのが僕の本体ジオライドだ。
僕とて現役のラーフ公爵だが先代公爵の血を引いていない、母親の不義の子。
一族の娘と婚姻したことで辛うじてラーフ公爵家の血を繋ぐこともできた。
そう、既に健康な男子を儲けて次の公爵位の心配もない。できたらもう一人ぐらい欲しかったが……
こんな僕でも父は愛してくれていたが、ラーフ公爵一族のことを考えれば、僕は早く表舞台から退場したほうがいい。
元々、王と勇者に助けられなければ平民落ちして追放されたその日に毒を呷るつもりだった身だ。
夢見の術で死ぬかもしれない? 恩返しして死ねるなら本望だ!
喜んでジオライドは王に魔力を捧げることにした。
そうして夢見を続けたが、御米田がなかなかもなか村に帰省しない。
勇者の前世の遺骨のある、もなか村へと。
毎回ろくでもない女に捕まる。
「田舎は嫌」と言われて東京に家やマンションを買って、もなか村の祖母と疎遠になってしまうのだ。
同じ会社の同僚で友人となった八十神がどれだけたしなめても聞きやしない。
そして夢見を実行するための魔力が尽きた。
資金もだ。今度こそすっからかんに尽きた。
先代女王たちからの出資金も、協力を申し出てくれた貴族や商人、有力な平民たちからの献金も使い果たした。
僕たち側近ももう成す術がなく諦めきっていた。
しぶとく執拗に勇者を救うことにこだわっていたのは王だけ。
ついには先代女王が強権を発動して、王から王位を剥奪するという話にまでなってしまった、そのとき。
西の小国から、かつて勇者や王の仲間だった者たちがアケロニア王国へやってきた。
守護者のウーパールーパーの歌聖殿を始めとして、歌聖殿の保護者を自認する大聖女様とその世話役、そして――歌聖殿に宰相として引き抜かれていたあの竜殺しの麗しの君だ。
いつまで経っても勇者が目を覚ました連絡が来ないので、痺れを切らしてやってきたのだ。
『内政干渉になるからと介入を堪えておりました。しかし彼が倒れてあなたが連れ去ってから四年。今さら私たちを拒みはしませんね?』
竜殺しの君は、元はアケロニア王国の貴族家当主だ。
親の仇を追って出奔した勇者を追いかけて、最終決戦の場となった西の小国で歌聖殿に請われ現地の厄介ごとを引き受けたと聞く。
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