異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

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第三章 異世界転移の謎を解け!

俺とカズアキ1

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 とりあえずカズアキが現れてから、俺とばあちゃんが即やったことは本人の遺骨隠しだ。
 いくら何でも本人に見せちゃなんねえだろと、ばあちゃんと意見が一致した。

 と言っても仏壇のある部屋にあるから、部屋ごと鍵をかけて開けられないようにした。
 仏壇への供え物や線香はばあちゃんが他の家族の目がない隙を見てやっている。

 今日もユキりんが引率してカズアキとピナレラちゃんを連れてお出かけしていった。
 その間にばあちゃんと、それぞれの把握してる情報をまとめて二人会議だ。

 なぜ、カズアキが十年以上も過去の日本からこの異世界へ転移してきたのか。いまだに不明のままだ。
 けど俺とばあちゃんには、俺たちが中二の夏休みにもなか山でカズアキが行方不明になって、その日の夜にはひょっこり帰ってきた記憶がある。
 それからすると、カズアキはそう遠くないうちにまた過去の日本に戻っちまう可能性が高かった。

 俺たちはカズアキに、高一の冬に起こる事故の伝えて警戒させたかった。
 だが話そうとすると、俺もばあちゃんも声がパクパクと空振りして出なくなってしまった。
 話せた、と思ってもカズアキにまったく聴こえていなかった。

 ならばとカズアキに伝えたいメモをまとめて本人に見せると、何も書いてないと言われて困惑することになった。
 こういうのを〝世界の強制力〟と呼ぶとネット掲示板で教えられ、ゾゾゾッと血の気が下がる思いをした……
 異世界転移してからこっち、平和なスローライフを送っているけど、俺たちはこんな異常現象と隣り合わせなのだ。

 それでも毎日、カズアキに伝える努力は惜しまなかった。
 ばあちゃんとの会議では何をどう伝えるときに声が出なくなるか、どこまでなら伝わったかなどの情報交換が主だった。

 夏にカズアキが現れてから三ヶ月めだ。いつ消えてしまうかと思うと気が気でない。
 仕方ないので、もうずっとばあちゃんと作戦会議を続けている。



 カズアキは日本で十年以上前に事故で死んだ俺の同い年の従兄弟だ。
 それがなぜか、中二の十四歳の姿で異世界のど田舎村に現れた。

 夏休み、ばあちゃんちに来てもなか山にハイキングして行方不明になったことがあった。そのとき異世界転移してきたのが今ここにいるカズアキらしい。
 異世界転移で時間軸が捻れてしまっているようなのだ。

 俺は従兄弟のカズアキとは仲が良かった。
 だけど同い年の従兄弟だから何かと張り合ってた。俺が一方的にだったけど。

 同じ父方似の顔立ちで、頭の出来も同じくらい。だけど向こうのほうが叔父さんが若い頃に独立してからずっと社長で金持ちだし、何かと羨ましかったもんだ。
 同じメーカーの自家用車でもあっちは高級車、うちは家族向けの量産車……子供の頃はそういう違いが大きく感じるもんだろ。

 それでも妬んだり恨んだりすることがなかったのは、カズアキがとにかく〝良い子〟だったからだ。
 いつも機嫌良さそうで感じがいいし、見るからに人の良さそうな雰囲気。そう、ばあちゃんにそっくりの性格なんだ。

 俺に勝てるところといえば、女の子たちに多少モテてるところぐらい……
 それだってカズアキはあんまり女子にガツガツした感じがないから、中学までは女子の友達も多かったようだ。

 ただ高校進学して中学のほとんどの友達と別れてしまった。
 高校ではクラスに馴染めず空気みたいだったと、俺たちは残された日記の内容から知っている。



 カズアキとの出会いは四歳の頃の冬だ。それまでは叔父家族が海外にいたため会うのが遅めだった。
 女の子みたいなフリルの付いた可愛い服を着ていたのを覚えている。あれ海外の幼児向け高級ブランドの服だったな。
 多分叔母の趣味だったんだろう。

 髪も長めのショートカットだったから最初女の子と勘違いして「おれにこんなかわいい従妹が!?」とドキドキした。
 けどカズアキという男の名前と、その後一緒に入った温泉で下半身に自分と同じものが付いているのを見て現実を受け入れた。

 こいつは従妹じゃない、従弟だ……男かあ……
 リアルに(orz)の形で突っ伏した俺を親父が指差して爆笑してたわ。勘違いしたのわかってたなら早く教えてけろ!?

 女の子みたいなヒラヒラした服だともなか村みたいな田舎では動きにくい。
 俺の服に着せ替えてみれば、ふつうに俺たち御米田家顔の男の子だった。要は正統派なイケメン顔の幼児だ。
 お気に入りのキャラがプリントされたトレーナーを譲ってやったもんだぜ。獣耳のフード付きのやつ。

 カズアキのいる叔父一家はそれから毎年、夏と冬にばあちゃんちに帰省してきた。
 そのたび俺はカズアキと一緒に遊び回った。夏は山や川、冬は一緒に雪かきして庭にでっかい鎌倉を作ったり。シーズン中はうちの親父や叔父さんと一緒にスキーも。

 途中からはカズアキの弟が生まれて叔母は来なくなったが、中三の冬までは毎年そんな感じだった。

 お互い高校に進学した最初の夏休み、仕事が忙しいからと叔父さんが夏の帰省をしなかった。
 ばあちゃんはカズアキ一人でも預かると言ってたようだが、叔母が断ってきたと聞いていた。

 その年の冬にカズアキはバイト先の事故で死んだ。
 大雪の重みで落ちてきた看板に押し潰されてほぼ即死だったという。



 そんなカズアキだったが、過去のもなか村の山からこの世界に異世界転移して、魔術師の冒険者として活躍しひと段落着いた頃に俺たちと合流したようだ。

 ユキりんとは奴隷商の支部で出会っていたとのことで、すっかり意気投合している。
 今は二人してど田舎領の自警団入りしてるが、普段は見回り程度でやることがそんなにない。
 なので隣町にある冒険者ギルドに出向いて、その日にこなせる依頼中心に受けるようになっていた。

 異世界に来てから俺もそこそこ訓練して剣が使えるようになっている。
 そのうち俺も冒険者登録してみたいもんだ。


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