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第三章 異世界転移の謎を解け!
俺とカズアキ2
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俺とカズアキは同い年だったから、仲が良いなりに夏休みや冬休みに田舎のばあちゃんちで再会するたび、何かと張り合っていた覚えがある。
だが、今こうして異世界で再会してみると俺は二十八、あっちはちまっこい十四の中学二年生。
……ヤバいな。俺は年の離れた年下に弱いんだ。ピナレラちゃんやユキりんと同枠で可愛い圏内に入る。
あの鈴木すら可愛い後輩だったわけで。
あいつ俺がいなくなった後ちゃんと働けてるんだろうか。心配だな。余計なトラブル起こしてなきゃいいけど。
最近音沙汰ないし、今度またメッセージ送っておくか。
そんなわけだから、ユキりんがツンツンしてるのもいまだに可愛いもんだ。最近はすっかり家出中に保護された猫みが取れてますます可愛い。
多分、年下が可愛いのは『俺が守ってやらなきゃ』な気持ちがいろいろなことのモチベーションになってるんだと思う。
中三までばあちゃんちで会ってたカズアキにはそんなこと感じたことなかったし。
そんで今、俺は二十八、カズアキが十四。俺の本能は速攻でカズアキを年下認定した。
カズアキが年相応にちょっと突っ張った言動なのも、これは愛でるものだって感覚が出ている。
……俺ってボス山のボス気質なんだな。
ともあれカズアキが来てから三ヶ月。何でこいつがあんなに早死にしたのか、俺には何となくわかるような気がした。
性格が良すぎるんだ。出来が良すぎる。それでかえって幸薄いんじゃないか。
ピナレラちゃんともすぐ仲良くなったし、ど田舎村の人々にも親切で可愛がられてすぐに馴染んだ。
元からばあちゃんっ子で家の手伝いも率先してやるし。大変な家事もカズアキが来てからぐっと楽になった。
普通の中二男子ってこんな出来る子じゃねえべ? 俺の頃なんか学校の部活やら何やらで家のことなんかなーんもしてなかったっての。
まあ俺には軽口叩いたり、膝カックンしてくる悪戯っ子だがな……
いや可愛いもんだよ。……本当に。
カズアキに、このまま元の世界に戻ったらお前は数年後に事故死しちまうぞ、と何としてでも伝えたかった。
当時の状況をあらかじめ知っておけば事故は避けられるし、そうであってほしかった。
しかし声が出ない。どう頑張っても無理だった。
魔力使いのユキりんや、領主の男爵や配下の薬師のおじさんに相談して工夫しても駄目だった。
こうなると俺が助けを求めるのは現代社会の落書き版、ネットの匿名掲示板である。
俺はカズアキの存在は隠しつつ、過去に死んだ人間が違う時間軸でこちらの世界に転移してることを相談した。
最初に掲示板の住人が教えてくれたのがこれだ。
『イッチそれ世界の強制力ってやつじゃない?』
『詳しく』
『異世界モノのラノベでよくある設定
元からストーリー展開が決まってて
決まった通りに強制させる力というか
逸脱しようとすると本筋に戻させる力にもなる』
そういえば鈴木に借りたラノベ原作の漫画にそんな作品がいくつかあった気がする。
俺たちは十数年前の過去にカズアキが死んだことを知っているし、体験している。
つまり既に確定した過去は変えられないのではないか、というのがネット掲示板の在野の有識者たちの意見だった。
掲示板ではこの件についてものすごく詳しく説明してもらった。
現代の最新物理学やら量子理論やら、ときどきオカルトネタや陰謀論が混ざりつつも一応は理解した。
だが……だが! そんなのクソ喰らえだ、理論はいいからカズアキをどうやったら救えるんだよ!?
俺は毎日必ずカズアキに朝一で話しかけて、未来への警告を発している。
だがどれだけ試しても声が出ない。出たと思ってもカズアキの耳に届く前に消えちまう。
ばあちゃんも同じように何度も何度もカズアキに話そうとしていたが、俺と同じで声が出なかったようだ。
村長や勉さんも駄目だった。
俺たちと同じで声も出なくなるし、紙に書こうとしてもペンを握る手が動かなくなる。書けても文字がカズアキに見えなくなる。
だが諦めずに何度も繰り返していたある日、――ばあちゃんが胸を押さえて倒れた。
だが、今こうして異世界で再会してみると俺は二十八、あっちはちまっこい十四の中学二年生。
……ヤバいな。俺は年の離れた年下に弱いんだ。ピナレラちゃんやユキりんと同枠で可愛い圏内に入る。
あの鈴木すら可愛い後輩だったわけで。
あいつ俺がいなくなった後ちゃんと働けてるんだろうか。心配だな。余計なトラブル起こしてなきゃいいけど。
最近音沙汰ないし、今度またメッセージ送っておくか。
そんなわけだから、ユキりんがツンツンしてるのもいまだに可愛いもんだ。最近はすっかり家出中に保護された猫みが取れてますます可愛い。
多分、年下が可愛いのは『俺が守ってやらなきゃ』な気持ちがいろいろなことのモチベーションになってるんだと思う。
中三までばあちゃんちで会ってたカズアキにはそんなこと感じたことなかったし。
そんで今、俺は二十八、カズアキが十四。俺の本能は速攻でカズアキを年下認定した。
カズアキが年相応にちょっと突っ張った言動なのも、これは愛でるものだって感覚が出ている。
……俺ってボス山のボス気質なんだな。
ともあれカズアキが来てから三ヶ月。何でこいつがあんなに早死にしたのか、俺には何となくわかるような気がした。
性格が良すぎるんだ。出来が良すぎる。それでかえって幸薄いんじゃないか。
ピナレラちゃんともすぐ仲良くなったし、ど田舎村の人々にも親切で可愛がられてすぐに馴染んだ。
元からばあちゃんっ子で家の手伝いも率先してやるし。大変な家事もカズアキが来てからぐっと楽になった。
普通の中二男子ってこんな出来る子じゃねえべ? 俺の頃なんか学校の部活やら何やらで家のことなんかなーんもしてなかったっての。
まあ俺には軽口叩いたり、膝カックンしてくる悪戯っ子だがな……
いや可愛いもんだよ。……本当に。
カズアキに、このまま元の世界に戻ったらお前は数年後に事故死しちまうぞ、と何としてでも伝えたかった。
当時の状況をあらかじめ知っておけば事故は避けられるし、そうであってほしかった。
しかし声が出ない。どう頑張っても無理だった。
魔力使いのユキりんや、領主の男爵や配下の薬師のおじさんに相談して工夫しても駄目だった。
こうなると俺が助けを求めるのは現代社会の落書き版、ネットの匿名掲示板である。
俺はカズアキの存在は隠しつつ、過去に死んだ人間が違う時間軸でこちらの世界に転移してることを相談した。
最初に掲示板の住人が教えてくれたのがこれだ。
『イッチそれ世界の強制力ってやつじゃない?』
『詳しく』
『異世界モノのラノベでよくある設定
元からストーリー展開が決まってて
決まった通りに強制させる力というか
逸脱しようとすると本筋に戻させる力にもなる』
そういえば鈴木に借りたラノベ原作の漫画にそんな作品がいくつかあった気がする。
俺たちは十数年前の過去にカズアキが死んだことを知っているし、体験している。
つまり既に確定した過去は変えられないのではないか、というのがネット掲示板の在野の有識者たちの意見だった。
掲示板ではこの件についてものすごく詳しく説明してもらった。
現代の最新物理学やら量子理論やら、ときどきオカルトネタや陰謀論が混ざりつつも一応は理解した。
だが……だが! そんなのクソ喰らえだ、理論はいいからカズアキをどうやったら救えるんだよ!?
俺は毎日必ずカズアキに朝一で話しかけて、未来への警告を発している。
だがどれだけ試しても声が出ない。出たと思ってもカズアキの耳に届く前に消えちまう。
ばあちゃんも同じように何度も何度もカズアキに話そうとしていたが、俺と同じで声が出なかったようだ。
村長や勉さんも駄目だった。
俺たちと同じで声も出なくなるし、紙に書こうとしてもペンを握る手が動かなくなる。書けても文字がカズアキに見えなくなる。
だが諦めずに何度も繰り返していたある日、――ばあちゃんが胸を押さえて倒れた。
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