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第三章 異世界転移の謎を解け!
俺、酒造り再び
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再び酒造りに着手した俺だったが、なかなか上手くいかず困り果てた。
材料の米は大量にあるし、麹作りも順調だったのだが、いざ醸造となるとどうも上手くいかない。
もなか村の日本酒最中は、水みたいに味も香りも爽やかで飲みやすい酒で有名だった。
今どきは〝ワインのよう〟な吟醸香華やかな日本酒のブームだが、その走りの一つの銘柄に挙げられもする、知る人ぞ知る酒でもあった。
ラインナップの中で一番手頃な普通酒でも十分美味くて良い酒だったんだが……
酒造りの手順は、普通酒と大吟醸酒は酒米の磨き度が違うだけで、他はほとんど同じだ。
なら一番味の良い大吟醸を今度こそ、と張り切っていたが思うようにいかなかった。
ネットの匿名掲示板に助けを求めると、
『素人がいきなり大吟醸作るとかw』
『御米田氏
イケメンなのに能力見合ってなくない・・・?』
『それ知ってる
残念なイケメンというやつ』
『おいやめろ
皆思ってても
優しいから言わなかったのに
おれも思ってましたけどね』
と散々にdisられまくり俺はしょんぼりした……
そうだよな、ネット掲示板ってこういうとこだよな。必死になるほど弄られる。
というか何なんだ残念なイケメンて。俺は普通にイケメンですけど!?
しかし捨てる神あればなんとやら。
――神が降臨した。
引退した某有名酒造メーカーの杜氏を名乗る人物が掲示板に現れたのだ。
ハンドルネーム〝元杜氏〟氏は簡単に自己紹介した後で、俺にもなか酒造の設備の詳細を訊いてきた。
「機械の名前はよくわがんね。全体と型番シールの写真を投稿します、と」
異世界転移しても普通にスマホが使えたから、これ幸いにと写真投稿した。
すると元杜氏氏は俺がどんな手順で酒造りを行ってきたか訊ねてきた。
この辺は毎日きっちりノートに記録を残してあったので、それも写真に撮って掲示板に投稿した。
すると一昼夜明けて、俺の酒造りノートを読み込んだと思しき元杜氏氏が驚愕のコメントを投稿した。
『御米田氏の手順で間違いない
ただ日本酒の酒造りには秘密がある』
秘密? と俺は首を傾げた。
掲示板の住人たちもワクテカしながら次のコメントを全裸待機モードになった。
『歴史のある日本酒の酒蔵では
作る過程で酒に祈りを捧げることがある
最中にも試してはどうだろうか』
元杜氏氏の書き込みはそれで終わりだった。
掲示板はその後プチ炎上して荒れた。スピ乙コメントの荒らし増加で。
仕方ないので元杜氏氏のコメントだけメモって俺は掲示板を閉じた。
「……ってことなんだけど、どう思う?」
酒造りに『祈りが重要』とは、面白い視点だ。
日本酒は神の酒と言われることもあるし、実際に神社に樽でよく奉納されてるじゃないか。
以前、三重の伊勢神宮に参拝したときも、内宮の敷地内に全国から奉納されたでっかい酒樽が高く積まれてて「おおお!」と圧倒された覚えがある。
だから俺としてはすんなり受け入れやすい助言だったのだが。
「良い助言だと思います。リースト家のご本家も領地でウイスキーを作ってますが、仕込みの前に地元の神殿で美味い酒になりますようにって祈願祭をやるので」
「ユウ君、悩む前にやってみようよ。駄目ならまたそのとき考えよう」
ユキりんとカズアキもそう後押ししてくれて、俺は再び酒造りの日々に戻った。
そこからは酒造りに奔走だ。
ユキりんやカズアキは朝一で米を蒸したり麹作りの手伝いをしてもらった。
村の田畑の手入れは冬の間はほぼない。元々東北のもなか村は冬は田畑が凍ってしまってたし、それはど田舎村でも同じだった。
一応、一部に温室のビニールハウスはあったが転移してきてからは燃料確保が難しく稼働させてないので、やることもあまりなかった。
十四歳の二人はその後でいつものように隣町の冒険者ギルドに出かけて依頼を受けている。
二人はいまだ奴隷商の行方を気にしている。
カズアキがど田舎村に来る前に潰したのは隣国の一支店だけ。そこに捕えられていたユキりんの本家のお嬢様はまだ行方不明のままだ。
冒険者ギルドは独自の通信網を持っているのと、冒険者たちを通じて情報が早いので毎日通ってお目当ての情報が出てないかチェックしに行くのだそうだ。
ただ今までと少し違うのは、薬草採集の依頼を増やして帰りに薬草の一部買い取りとポーション類を仕入れてくることか。
家に帰ってくる前に男爵の屋敷に寄って、それらを薬師のおじさんに渡してもらっている。
あとはばあちゃんの様子を確認してくるようお願いしていた。
ポーションやヒーリングで小康状態を保ってはいるが、ほとんど寝たきりだそうだ。
お世話の手伝いをしているピナレラちゃんも落ち込みがちだという。
恐らくもうそんなに時間はないと思う。
焦りがじりじりと全身を焼くような感覚を覚えながら、俺は毎日もなか酒造へと通い続けた――
※「醸造中の酒に祈れ」はガチらしい。めちゃくちゃ有名なお酒の酒蔵はそうやって作っているらしい……🍶
作中の掲示板disりコメントは、これまで御米田に頂戴したコメントからヒントを得てw
幸せを祈られたりdisられたり、今までの主人公の中ではいちばんバラエティ豊かな反応をいただいてますね……
材料の米は大量にあるし、麹作りも順調だったのだが、いざ醸造となるとどうも上手くいかない。
もなか村の日本酒最中は、水みたいに味も香りも爽やかで飲みやすい酒で有名だった。
今どきは〝ワインのよう〟な吟醸香華やかな日本酒のブームだが、その走りの一つの銘柄に挙げられもする、知る人ぞ知る酒でもあった。
ラインナップの中で一番手頃な普通酒でも十分美味くて良い酒だったんだが……
酒造りの手順は、普通酒と大吟醸酒は酒米の磨き度が違うだけで、他はほとんど同じだ。
なら一番味の良い大吟醸を今度こそ、と張り切っていたが思うようにいかなかった。
ネットの匿名掲示板に助けを求めると、
『素人がいきなり大吟醸作るとかw』
『御米田氏
イケメンなのに能力見合ってなくない・・・?』
『それ知ってる
残念なイケメンというやつ』
『おいやめろ
皆思ってても
優しいから言わなかったのに
おれも思ってましたけどね』
と散々にdisられまくり俺はしょんぼりした……
そうだよな、ネット掲示板ってこういうとこだよな。必死になるほど弄られる。
というか何なんだ残念なイケメンて。俺は普通にイケメンですけど!?
しかし捨てる神あればなんとやら。
――神が降臨した。
引退した某有名酒造メーカーの杜氏を名乗る人物が掲示板に現れたのだ。
ハンドルネーム〝元杜氏〟氏は簡単に自己紹介した後で、俺にもなか酒造の設備の詳細を訊いてきた。
「機械の名前はよくわがんね。全体と型番シールの写真を投稿します、と」
異世界転移しても普通にスマホが使えたから、これ幸いにと写真投稿した。
すると元杜氏氏は俺がどんな手順で酒造りを行ってきたか訊ねてきた。
この辺は毎日きっちりノートに記録を残してあったので、それも写真に撮って掲示板に投稿した。
すると一昼夜明けて、俺の酒造りノートを読み込んだと思しき元杜氏氏が驚愕のコメントを投稿した。
『御米田氏の手順で間違いない
ただ日本酒の酒造りには秘密がある』
秘密? と俺は首を傾げた。
掲示板の住人たちもワクテカしながら次のコメントを全裸待機モードになった。
『歴史のある日本酒の酒蔵では
作る過程で酒に祈りを捧げることがある
最中にも試してはどうだろうか』
元杜氏氏の書き込みはそれで終わりだった。
掲示板はその後プチ炎上して荒れた。スピ乙コメントの荒らし増加で。
仕方ないので元杜氏氏のコメントだけメモって俺は掲示板を閉じた。
「……ってことなんだけど、どう思う?」
酒造りに『祈りが重要』とは、面白い視点だ。
日本酒は神の酒と言われることもあるし、実際に神社に樽でよく奉納されてるじゃないか。
以前、三重の伊勢神宮に参拝したときも、内宮の敷地内に全国から奉納されたでっかい酒樽が高く積まれてて「おおお!」と圧倒された覚えがある。
だから俺としてはすんなり受け入れやすい助言だったのだが。
「良い助言だと思います。リースト家のご本家も領地でウイスキーを作ってますが、仕込みの前に地元の神殿で美味い酒になりますようにって祈願祭をやるので」
「ユウ君、悩む前にやってみようよ。駄目ならまたそのとき考えよう」
ユキりんとカズアキもそう後押ししてくれて、俺は再び酒造りの日々に戻った。
そこからは酒造りに奔走だ。
ユキりんやカズアキは朝一で米を蒸したり麹作りの手伝いをしてもらった。
村の田畑の手入れは冬の間はほぼない。元々東北のもなか村は冬は田畑が凍ってしまってたし、それはど田舎村でも同じだった。
一応、一部に温室のビニールハウスはあったが転移してきてからは燃料確保が難しく稼働させてないので、やることもあまりなかった。
十四歳の二人はその後でいつものように隣町の冒険者ギルドに出かけて依頼を受けている。
二人はいまだ奴隷商の行方を気にしている。
カズアキがど田舎村に来る前に潰したのは隣国の一支店だけ。そこに捕えられていたユキりんの本家のお嬢様はまだ行方不明のままだ。
冒険者ギルドは独自の通信網を持っているのと、冒険者たちを通じて情報が早いので毎日通ってお目当ての情報が出てないかチェックしに行くのだそうだ。
ただ今までと少し違うのは、薬草採集の依頼を増やして帰りに薬草の一部買い取りとポーション類を仕入れてくることか。
家に帰ってくる前に男爵の屋敷に寄って、それらを薬師のおじさんに渡してもらっている。
あとはばあちゃんの様子を確認してくるようお願いしていた。
ポーションやヒーリングで小康状態を保ってはいるが、ほとんど寝たきりだそうだ。
お世話の手伝いをしているピナレラちゃんも落ち込みがちだという。
恐らくもうそんなに時間はないと思う。
焦りがじりじりと全身を焼くような感覚を覚えながら、俺は毎日もなか酒造へと通い続けた――
※「醸造中の酒に祈れ」はガチらしい。めちゃくちゃ有名なお酒の酒蔵はそうやって作っているらしい……🍶
作中の掲示板disりコメントは、これまで御米田に頂戴したコメントからヒントを得てw
幸せを祈られたりdisられたり、今までの主人公の中ではいちばんバラエティ豊かな反応をいただいてますね……
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