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第三章 異世界転移の謎を解け!
俺、王様のチート剣を思い出す
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ウパルパ様が出したビンゴの黒オーブに飲み込まれた俺は、見知らぬ場所に飛ばされていた。
ここは……どこだ?
西洋風の宮殿の回廊に立っていた。
窓から見える外はまだ暗かったが、少しずつ陽が昇り始めてほんのり明るくなりかけていた。夜明け寸前だ。
カツカツ、と遠くから靴音が聞こえてきた。
誰か来る。咄嗟に隠れようとしたが隠れ場所を見つけるより相手が来る方が早かった。
……って王様!?
俺と同じ顔と体格の、多分俺の前世か来世どっちかの男だ。
いつもなら黒の軍服姿だが、今日は普段着っぽいズボンと白シャツ姿だ。こういう格好だと本当に俺そのものだ。鏡でも見てる気分になる。
「王様! おーい、王様ー?」
声をかけたが顔を向けてくれない。どうもこちらの声が聞こえておらず、姿も見えていないようだ。
そのまま俺を通り過ぎていったので、追いかけることにした。
やってきたのは王宮の宝物庫だ。
ここに到着する前に、物置きエリアから掃除用品を調達してきている。
重い鉄製の扉を開けると、ぶわわっと埃が舞った。王様がゴホゴホ咳き込んでいる。
あーなるほど、これの掃除をしに来たのか。いやそれ王様がやる仕事じゃなくないか?
と思ったら本人が答えを呟いてくれた。
「迂闊に人を入れられぬ場所とはいえ……さすがに掃除が必要だからな……ゴホッ」
なるほど、下働きには任せられない場所か。貴重品多そうだしな。
宝物庫はそんなに広くない。見た感じ十二畳くらいか。
武具は見かけず、どちらかといえば小物が多いように見える。
棚や箱で区切られて整理されていたが、とにかく埃臭くカビ臭い。
王様は意外にも慣れた手つきで掃除を始めた。
ボロ布を棒で挟んだハンディワイパー的なもので棚の埃を払いとり、水拭き……は棚や保存してる箱を傷めると見て諦めてひたすら雑巾で乾拭きしていた。
掃除しながら、すべての棚と段を一つずつ確認することも忘れない。
見た感じ、掃除よりこっちの確認のほうが主目的っぽかった。
「まだか……。見知らぬ小物は増えているが、本命がまだない……」
確か前もこの宝物庫にいる姿を俺は夢に見ていた覚えがある。王様の日課のようだ。
……良縁祈願のお札は結局外れだったんだっけ……?
毎朝そうして小一時間ほど掃除して、掃除自体は数日で終わらせていた。
だが朝晩どんなに短い時間でも必ず訪れては、棚を確認しては残念そうに肩を落としている。
「まだない、か。くそ、オコメダ・ユウキともっと直接的に意思の疎通さえ取れれば……!」
ここ、ここ、王様ここです、俺はここにいますよー!?
俺は王様を見かけるたび話しかけてるんだけど、全然相手に届いてない。俺の姿も見えていない。
これ本当に何なんだろうな? これも〝世界の強制力〟とやらのせいなのか?
☆ ☆ ☆
翌朝、目が覚めて俺は「アッ!」と大声を上げた。
王様の夢を見るのは久し振りだった。
というか、王様といえば……!
「出てこい、王様のチート剣!」
全身から真紅の魔力が吹き出して収束し、一振りの大剣になる。
最初に夢の中で王様に会ったときくれたものだ。
両刃の大剣の刃には透明な魔石が嵌め込まれている。三つあったうちの二つは使用済みで少し濁って透明度を失ってしまっている。
真ん中は青、左は黄色に光ったんだっけ。
残るは右の魔石だけだ。
夢でこの大剣をくれたとき、王様はなんて言っていた?
『込められた祝福がお前に、不可能を可能にする力を与える』
そうだ。何で忘れてたんだ。王様のチート剣のチート魔石はまだ一個残ってるじゃないか。
一個め、中央の青く光った魔石は宇宙空間に飛ばされて巨大な男女の魔人が出没した。
片方はあの次元の狭間で出会った神人三人組の一人、美少女魔王様だった。
男のほうが聖剣を持っていて、強烈な青い光でユキりんの首を絞めていた隷属の魔導具を破壊してくれたんだ。
二個めは、左側の黄色く光った魔石だ。
ど田舎村を襲おうとした奴隷商の配下のならず者たちに追い詰められた俺たちを、小山のようにどーんとでっかいピンクのウパルパ様が現れ、幸運バフで助けてくれた。
三個め、残る一個はばあちゃんに使うべきだ!
そうと決まったら急がなきゃ。
すぐにばあちゃんのいる男爵家に向かいたかったが、まだ早朝で時間が早過ぎた。
それにうちには育ち盛り食い盛りの男の子二人がいる。朝飯は絶対必要だ。
飯……はそろそろ炊飯器で炊ける時間だ。
ばあちゃんが倒れてからは手間のかかる土鍋炊きより、潔く炊飯器を活用していたのでセットした時間ぴったりに炊ける。
俺はまだ寝てたユキりんとカズアキに声をかけて起こし、速攻で握り飯を作った。
具はない。梅干しや、冷蔵庫にはユキりんが作ってくれていた鮭フレークもあったが今は余裕がない。
味噌汁は出汁を取る時間も惜しい。
味噌汁椀にスプーン一杯の味噌、ネギの小口切り、鰹節をひとつまみ突っ込んでお湯で溶くだけ。一人暮らしのときよくやってた時短技だ。
漬け物……ああああ、もういい、おにぎりと手抜き味噌汁で勘弁してけろ!
「二人とも、飯食ったらすぐばあちゃんとこ行くぞ」
「ユウキさん、何かありましたか」
「ほら、大剣の魔石。あれ一個残ってるの思い出したんだ。あれをばあちゃんに使う」
「ああ……そういえば」
「うわ。おにぎり、しょっぱい!」
「随分大きく握りましたねえ」
すまない。だって具もおかずもねえがら、米だけはって思ったんだもん……茶碗二膳分をぎゅーっと一個に握って塩たっぷりまぶしたので。
文句を言いながらも完食したお子たち二人を連れて、俺は男爵の屋敷へと急いだ――
ここは……どこだ?
西洋風の宮殿の回廊に立っていた。
窓から見える外はまだ暗かったが、少しずつ陽が昇り始めてほんのり明るくなりかけていた。夜明け寸前だ。
カツカツ、と遠くから靴音が聞こえてきた。
誰か来る。咄嗟に隠れようとしたが隠れ場所を見つけるより相手が来る方が早かった。
……って王様!?
俺と同じ顔と体格の、多分俺の前世か来世どっちかの男だ。
いつもなら黒の軍服姿だが、今日は普段着っぽいズボンと白シャツ姿だ。こういう格好だと本当に俺そのものだ。鏡でも見てる気分になる。
「王様! おーい、王様ー?」
声をかけたが顔を向けてくれない。どうもこちらの声が聞こえておらず、姿も見えていないようだ。
そのまま俺を通り過ぎていったので、追いかけることにした。
やってきたのは王宮の宝物庫だ。
ここに到着する前に、物置きエリアから掃除用品を調達してきている。
重い鉄製の扉を開けると、ぶわわっと埃が舞った。王様がゴホゴホ咳き込んでいる。
あーなるほど、これの掃除をしに来たのか。いやそれ王様がやる仕事じゃなくないか?
と思ったら本人が答えを呟いてくれた。
「迂闊に人を入れられぬ場所とはいえ……さすがに掃除が必要だからな……ゴホッ」
なるほど、下働きには任せられない場所か。貴重品多そうだしな。
宝物庫はそんなに広くない。見た感じ十二畳くらいか。
武具は見かけず、どちらかといえば小物が多いように見える。
棚や箱で区切られて整理されていたが、とにかく埃臭くカビ臭い。
王様は意外にも慣れた手つきで掃除を始めた。
ボロ布を棒で挟んだハンディワイパー的なもので棚の埃を払いとり、水拭き……は棚や保存してる箱を傷めると見て諦めてひたすら雑巾で乾拭きしていた。
掃除しながら、すべての棚と段を一つずつ確認することも忘れない。
見た感じ、掃除よりこっちの確認のほうが主目的っぽかった。
「まだか……。見知らぬ小物は増えているが、本命がまだない……」
確か前もこの宝物庫にいる姿を俺は夢に見ていた覚えがある。王様の日課のようだ。
……良縁祈願のお札は結局外れだったんだっけ……?
毎朝そうして小一時間ほど掃除して、掃除自体は数日で終わらせていた。
だが朝晩どんなに短い時間でも必ず訪れては、棚を確認しては残念そうに肩を落としている。
「まだない、か。くそ、オコメダ・ユウキともっと直接的に意思の疎通さえ取れれば……!」
ここ、ここ、王様ここです、俺はここにいますよー!?
俺は王様を見かけるたび話しかけてるんだけど、全然相手に届いてない。俺の姿も見えていない。
これ本当に何なんだろうな? これも〝世界の強制力〟とやらのせいなのか?
☆ ☆ ☆
翌朝、目が覚めて俺は「アッ!」と大声を上げた。
王様の夢を見るのは久し振りだった。
というか、王様といえば……!
「出てこい、王様のチート剣!」
全身から真紅の魔力が吹き出して収束し、一振りの大剣になる。
最初に夢の中で王様に会ったときくれたものだ。
両刃の大剣の刃には透明な魔石が嵌め込まれている。三つあったうちの二つは使用済みで少し濁って透明度を失ってしまっている。
真ん中は青、左は黄色に光ったんだっけ。
残るは右の魔石だけだ。
夢でこの大剣をくれたとき、王様はなんて言っていた?
『込められた祝福がお前に、不可能を可能にする力を与える』
そうだ。何で忘れてたんだ。王様のチート剣のチート魔石はまだ一個残ってるじゃないか。
一個め、中央の青く光った魔石は宇宙空間に飛ばされて巨大な男女の魔人が出没した。
片方はあの次元の狭間で出会った神人三人組の一人、美少女魔王様だった。
男のほうが聖剣を持っていて、強烈な青い光でユキりんの首を絞めていた隷属の魔導具を破壊してくれたんだ。
二個めは、左側の黄色く光った魔石だ。
ど田舎村を襲おうとした奴隷商の配下のならず者たちに追い詰められた俺たちを、小山のようにどーんとでっかいピンクのウパルパ様が現れ、幸運バフで助けてくれた。
三個め、残る一個はばあちゃんに使うべきだ!
そうと決まったら急がなきゃ。
すぐにばあちゃんのいる男爵家に向かいたかったが、まだ早朝で時間が早過ぎた。
それにうちには育ち盛り食い盛りの男の子二人がいる。朝飯は絶対必要だ。
飯……はそろそろ炊飯器で炊ける時間だ。
ばあちゃんが倒れてからは手間のかかる土鍋炊きより、潔く炊飯器を活用していたのでセットした時間ぴったりに炊ける。
俺はまだ寝てたユキりんとカズアキに声をかけて起こし、速攻で握り飯を作った。
具はない。梅干しや、冷蔵庫にはユキりんが作ってくれていた鮭フレークもあったが今は余裕がない。
味噌汁は出汁を取る時間も惜しい。
味噌汁椀にスプーン一杯の味噌、ネギの小口切り、鰹節をひとつまみ突っ込んでお湯で溶くだけ。一人暮らしのときよくやってた時短技だ。
漬け物……ああああ、もういい、おにぎりと手抜き味噌汁で勘弁してけろ!
「二人とも、飯食ったらすぐばあちゃんとこ行くぞ」
「ユウキさん、何かありましたか」
「ほら、大剣の魔石。あれ一個残ってるの思い出したんだ。あれをばあちゃんに使う」
「ああ……そういえば」
「うわ。おにぎり、しょっぱい!」
「随分大きく握りましたねえ」
すまない。だって具もおかずもねえがら、米だけはって思ったんだもん……茶碗二膳分をぎゅーっと一個に握って塩たっぷりまぶしたので。
文句を言いながらも完食したお子たち二人を連れて、俺は男爵の屋敷へと急いだ――
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