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第三章 異世界転移の謎を解け!
俺、ばあちゃんと勉さんの過去を知る
しおりを挟む鮭焼きを堪能した後、カズアキとユキりんはお手伝いしたがったピナレラちゃんと一緒に厨房に残って工夫を重ねるそうだ。
具体的には鉄板のヘコみの形を修正するらしい。
鯛でも鮭でもいいのだが、縁起物としてアケロニア王国や、領の紋章の形を刻印するのはどうか、と料理人さんたちから意見が出た。
御米田家にも家紋があって、米の字を囲む稲穂の図象がある。
上手くいったらど田舎領の名産品がひとつ増えることになりそうだ。
俺はグレイシアさんを連れて男爵の執務室に向かった。朝のばあちゃんの部屋での出来事を報告するためだ。
執務室には村長と勉さんも揃っていた。
「いんやぁ~たい焼きなんて久し振りに食っだわ、あんがとユキちゃん!」
「おめえな、たい焼きの前に先に報告に来い、ユウキ!」
村長には喜ばれたが、勉さんには怒られた。うっ、すんません!
「お昼にいただいたよ、美味しかったねえ。魚の形のパンケーキなんて面白いね」
良かった。男爵には好評のようだ。
ともあれ報告だ。
俺が夢の王様から貰ったチート大剣に、貴重な超レア鉱物のアダマンタイトが魔石として嵌め込まれてることは、この三人も知っている。
「未来のアケロニア国王から賜った大剣とな?」
「ええ。こいつです」
俺は集中して両手の中に魔力を込めた。真紅の魔力とともに一振りの大剣が現れる。
「……大物の名前ばかりが記録されておるな」
自前の物品鑑定スキルで大剣を見た王女様が驚いている。
前に村長が鑑定したときも、剣本体が記録していた但し書きを読んで腰を抜かしてたっけ。
『私の手持ちの剣の中でも、最も〝チート〟とやらに近い剣を授けた。神人四人と数多の聖女聖者の祝福を賜った究極のプレミアものだぞ』
夢で王様はそう言っていた。
剣に記録されてる名前のうち、神人三人は、俺がど田舎村に異世界転移するとき次元の狭間で会った連中でもある。
「すごいな。神人カーナに魔王ジューア。医聖アヴァロニス、歌聖……む? 名前が読めんぞ」
「どうやらまだ今の時代では知られてない方のようです。サラマンダー……ウーパールーパーのお姿をされてたので、俺は親しみを込めてウパルパ様と呼んでます」
そう、謎の歌聖様はお歌の上手な可愛い女の子ではなく、ふてぶてしいウパルパ様だったのだ。
まあ歌聖、歌で世界を祝福する聖者様というだけあって、声はめちゃくちゃ可愛かった。究極のロリ声だったべ。
「環創成の魔術師フリーダヤ。聖女ロータス。残りの聖賢の名前は読めぬ者ばかりか。だが読める名前だけを見ても大物ばかりよな。〝大聖女〟までおるわ」
他にも聖者や剣聖の称号持ちの名前が記されている。名前が読めないから百年後、王様の時代の人々なのだろう。
「三つあるうち、最後の魔石を使ったところ、聖女様と魔力使いらしき二人が現れて、カズアキに真実を話す手助けをしてくれました。多分、前に話した百年後の王様の関係者ですね」
「ん? 魔石はクウさんには使わなかったのかい?」
「ばあちゃんが、自分じゃなくてカズアキに使ってくれって」
「そうか……」
部屋の空気が重い。
そりゃあな。ばあちゃんは老い先短い自分より、まだ子供のカズアキを助けたかったんだ。
でもこの国や村長、勉さんにとっては元大公令嬢クーティアという、ばあちゃんの存在は大きい。
けどそれを口に出さない程度の賢明さは皆持ってるわけだ。
「そうか。クウは覚悟しどるな」
「うん……」
勉さんがムスッとしてる。今でこそ三十近く年下だが、日本に転移する前は勉さんのほうがばあちゃんよりずっと年上だったと聞いている。
元はばあちゃんが生まれた大公家の騎士団長だったとも。ばあちゃんは主君筋に当たるんだな。
今のばあちゃんたち三人は主従関係なんてこれっぽっちも感じさせないけど、何かしら思うところはあるようだ。
「あー、そのなあ、ユキちゃん。勉はベントリーだったときクーティア様の婚約者だったの。年の差が二十以上あっだからそのうち解消しでたとは思うけんども」
「マジですか」
ベントリーは異世界にいた頃の勉さんの本名だ。ウェイザー公爵令息ベントリー。王家の親戚出身と聞いていた。
俺は勉さんを見た。異世界に来てから顔や脚の大怪我も治ってるが、まだ視力は戻りきってないようで眼鏡をかけたままだ。
でもレンズ越しでもわかるぐらい、ムスッとしたまんま。
「俺たちの知っとるクーティア様は子供だったからね。日本に転移したら大人になってて、結婚もしでて……はははっ」
え、それ笑いごとじゃなくね?
いや待って、村長は結婚してバツイチなの知ってる。勉さんは五十過ぎた今も独身のままだ。それって?
「余計なこと言うでね、セイジ! おいユウキ、クウは俺たちが見とるから、最中は切らすなよ!」
「わがってるて。ばあちゃんを頼む」
もなか酒造で醸造してる日本酒、異界最中は時短魔導具を使って毎日一升ぐらいずつ生産できている。
ばあちゃんに飲ませるのは毎日朝晩、お猪口一杯分ずつ。残りは薬師のおじさんに渡してポーション研究に使ってもらっている。
あとは本来の設備でも作れるよう試行錯誤すれば、本格的な生産体制に移行できるはずだ。
そうしたら村の人から協力者を募って、量産して。ど田舎村のポーション酒は名産品としていい金になるだろう。
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