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第三章 異世界転移の謎を解け!
その頃、日本では~鈴木は兄に救われた
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銀座の歩道橋の上で、オレはクソババアと言い争い、揉み合いに発展していた。
通り過ぎる人々は迷惑そうにオレたちを避けて、遠巻きにしている。
学生らしき男たちがスマホでその様子を撮影している――クソ、撮ってんじゃねえよ慰謝料請求すっぞ!
「ザギンで男女関係のもつれか? SNSに上げようぜ」
そんな視界の端でスマホを構えてる学生たちに、知らない男が声をかけていた。
「すいません。僕いまケータイ持ってないので110番通報してもらえますか?」
「え? あ、うん、いいよーわかった」
そっちに気を取られてるうちに、オレは母親にスマホを奪われた。取り返そうと掴み合いになって、オレはババアに押されて歩道橋の手すりを越えて下の道路に落ちかけた。
(――今ならクソババアを道連れにできるかも!?)
下には高スピードで自動車が走っている。
いける! とババアの手首を掴んでやろうと思ったそのとき――
「おっと。大丈夫? オサム」
腕を掴まれて、落ちかけていたオレはのしかかってたババアごと、歩道橋の上まで引っ張りあげられた。
「え、え? なんでオレの名前知って……」
街灯の明かりが逆光になって、助けてくれた男の顔は見えなかった。
黒髪で中肉中背の体格の男だ。
顔は見えなかったがオレには彼が優しげに微笑んでいるのが、なぜかわかった。
遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる。
クソババアは自分も歩道橋から落ちかけて男に助けられたことで、呆然としてへたりこんでいた。
「嘘でしょ。あなた、その顔。まさか」
ババア側からは男の顔が見えてるらしい。
男が、子供に言うようにしっかりと、オレに言い聞かせてきた。
「いいか? このままお母さんとそこのスマホ撮影した人を連れて警察に行くこと。事情を話して警察にいるうちに、お母さんのお兄さんに連絡を入れて、引き取りに来てもらえ。そしたらもう、オサムは自由だ」
「え、……えっ?」
淡々と語る男にオレは混乱した。
なんだ? なんでこいつはオレや母親のことや……伯父さんのことまで知ってるんだ?
「元気でな。ばいばい、オサム」
名前を呼ばれてハッと気づいた。
歩道橋を降りかけていた男が振り返る。でも顔はやっぱり街灯の逆光でよく見えない。
「待って、お兄ちゃん!」
オレは慌てて首にかけていたペンダントネックレスをワイシャツから引っ張り出して、男に差し出した。
小さな純金コインが半月に割られたペンダントトップで、革紐に通してあるやつだ。
「お兄ちゃん、これ。ずっと返さなきゃって、でもオレ、お兄ちゃんが死んじまったから」
カズアキお兄ちゃんが父方の祖父から形見分けで譲られていた物だった。
まだオレが子供だった頃、お兄ちゃんが部屋で眺めていたのを見て「欲しい」ってねだったら貸してくれたんだ。
お兄ちゃんはその後すぐ事故で死んだ。これを借りちまったせいかとずっと後悔してたんだ。
「オサム。ずっと持っててくれたのか」
「うん、うん……あのババアに見られたら取り上げられそうだから、必死に隠してた」
お兄ちゃんが死んだ後で判明したことだが、このクソ女はお兄ちゃんがお年玉や、金持ちの母方の祖父母から貰って銀行口座に貯めてたお金を使い込んでいた。
御米田のお父さんから貰ってた生活費だけじゃ足りなかったからって。
「このペンダントはオサムをちゃんと守ってくれたか?」
「もちろん! ろくでなしのオレなのにいつもどこからか助けが来るんだ。お兄ちゃんが見守ってくれてたんだろ?」
このペンダントに不思議な力があることはわかっていた。
子供の頃から怪我や病気をしたこともないし、両親の離婚では大好きだった父方には残れなかったけど、母親の再婚相手とは仲良しになれてそっちが離婚した後は引き取ってもらえた。
大学も入れたし、就職先では従兄弟のユウキ先輩と会えて可愛がってもらえた。仕事もまあまあできている。文句なしだ。
――でもこの幸運はオレのものじゃない。
本当ならお兄ちゃんが持ってるべき力だったはずだ。
「ばいばい、お兄ちゃん……」
歩道橋の下にパトカーが到着する。
オレと一緒に落ちかけた母親は呆然自失としてたが、駆けつけた警官たちが周りの見物客から撮影動画付きで事情を説明されると、その場で逮捕されてパトカーに押し込められた。
「君のお袋さんなんだって? 悪いが署で事情を聞かせてもらえるかい?」
「……はい。あの、母の件は弁護士を入れてますので呼んでもいいですか?」
母方の伯父さんは資産家の金持ちだから、顧問弁護士がいる。両親の離婚を担当してくれた先生で、オレも今でも世話になってる人だ。
あとはお兄ちゃんが言ってた通り、伯父さん本人と、――ゲンキ伯父さんも呼ぼう。
「もしもし、ゲンキ伯父さん? 悪いんですが母親の件で築地警察署まで来てもらえます?」
通話する声は震えてたけど、オレには確信があった。
――悪夢はもう、終わったんだ。
☆ ☆ ☆
僕が再び次元の狭間に戻ってくると、もうユウ君はいなかった。
「オサム、ちゃんと立派な大人になってたなあ。お母さんは……相変わらずだったけど。
LEDセイバーをカチカチ操作して元の十四歳に戻ろうとした。
けど、戻れない。
今の大人の姿は二十代前半くらいかな。神人のジューアお姉さんに言われて、勇者として冒険者活動するのに一番適した年齢と体格だ。
「〝夢見の術〟と言っていたか。随分と手の込んだ真似をしたものだ」
あれ、口が勝手に動く……?
「僕は御米田カズアキ……?」
「僕はアケロニア王国の……」
なんだろう。頭の真ん中から自分の中が半分に分かれたみたいな変な感覚がある。
しばらくその感覚に意識を向けてると、ピタッとズレがパズルみたいにきれいに整合される感覚があった。
「勇者君。友、友、待っていたのだぷぅ! うええええん……!」
暗い空間に虹色を帯びて黄色く光りながら、何かやってくる。
手のひらサイズの小さなピンクのウーパールーパーが、大泣きして飛びついてきた。
「おっと」
両手で受け止めると、ぷにっと柔らかくしっとりボディのウパルパが縋りついてくる。
「ごめんなさいなのだ。われ、ちょっと悪戯のつもりでね、そんな気はぜんぜんなかったのだけど、本当よ? 悪気はまったくこれっぽっちもなかったのに、気づいたら大事になってたのだぷぅー!」
「わかった。わかったから。夢見の術の練習に僕たちを巻き込んだのだろう?」
「ごめんなさいなのだぷぅー!」
「大丈夫、大丈夫だ。……だ、大丈夫だよな?」
ウパルパの焦り具合から、言ってる自分まで不安になってきた。
「はやく、はやく起っきするのだ。このままお寝坊さんを続けたら、そなたもう起きれなくなるのだぷぅ!」
小さく短い前足でぺちぺちと胸元を叩かれた。
「――――。ではやはり、僕のいるこの世界は」
「はやく! 早くなのだぷぅー!」
「わかっている。――『夢から覚める!』」
꒰( ´•̥ω•̥`)꒱ トモ、オカエリナサイナノダプゥ...
悪気はなかった。ほんとになかった……
そしてウパルパ様はステータス幸運値が最大値10のラッキーサラマンダーである
※本日から御米田や王様たちの(ということはカズアキや勇者君の)異世界のご先祖様のお話を公開スタートしております。
「回帰した貴公子はやり直し人生で勇者に覚醒する」
どシリアス展開をウパルパ様がよちよち歩いて横断する仕様。こちらもぜひよろしくお願いします!
꒰( ˙ᵕ˙ )꒱ノ☆
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学生らしき男たちがスマホでその様子を撮影している――クソ、撮ってんじゃねえよ慰謝料請求すっぞ!
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(――今ならクソババアを道連れにできるかも!?)
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「おっと。大丈夫? オサム」
腕を掴まれて、落ちかけていたオレはのしかかってたババアごと、歩道橋の上まで引っ張りあげられた。
「え、え? なんでオレの名前知って……」
街灯の明かりが逆光になって、助けてくれた男の顔は見えなかった。
黒髪で中肉中背の体格の男だ。
顔は見えなかったがオレには彼が優しげに微笑んでいるのが、なぜかわかった。
遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる。
クソババアは自分も歩道橋から落ちかけて男に助けられたことで、呆然としてへたりこんでいた。
「嘘でしょ。あなた、その顔。まさか」
ババア側からは男の顔が見えてるらしい。
男が、子供に言うようにしっかりと、オレに言い聞かせてきた。
「いいか? このままお母さんとそこのスマホ撮影した人を連れて警察に行くこと。事情を話して警察にいるうちに、お母さんのお兄さんに連絡を入れて、引き取りに来てもらえ。そしたらもう、オサムは自由だ」
「え、……えっ?」
淡々と語る男にオレは混乱した。
なんだ? なんでこいつはオレや母親のことや……伯父さんのことまで知ってるんだ?
「元気でな。ばいばい、オサム」
名前を呼ばれてハッと気づいた。
歩道橋を降りかけていた男が振り返る。でも顔はやっぱり街灯の逆光でよく見えない。
「待って、お兄ちゃん!」
オレは慌てて首にかけていたペンダントネックレスをワイシャツから引っ張り出して、男に差し出した。
小さな純金コインが半月に割られたペンダントトップで、革紐に通してあるやつだ。
「お兄ちゃん、これ。ずっと返さなきゃって、でもオレ、お兄ちゃんが死んじまったから」
カズアキお兄ちゃんが父方の祖父から形見分けで譲られていた物だった。
まだオレが子供だった頃、お兄ちゃんが部屋で眺めていたのを見て「欲しい」ってねだったら貸してくれたんだ。
お兄ちゃんはその後すぐ事故で死んだ。これを借りちまったせいかとずっと後悔してたんだ。
「オサム。ずっと持っててくれたのか」
「うん、うん……あのババアに見られたら取り上げられそうだから、必死に隠してた」
お兄ちゃんが死んだ後で判明したことだが、このクソ女はお兄ちゃんがお年玉や、金持ちの母方の祖父母から貰って銀行口座に貯めてたお金を使い込んでいた。
御米田のお父さんから貰ってた生活費だけじゃ足りなかったからって。
「このペンダントはオサムをちゃんと守ってくれたか?」
「もちろん! ろくでなしのオレなのにいつもどこからか助けが来るんだ。お兄ちゃんが見守ってくれてたんだろ?」
このペンダントに不思議な力があることはわかっていた。
子供の頃から怪我や病気をしたこともないし、両親の離婚では大好きだった父方には残れなかったけど、母親の再婚相手とは仲良しになれてそっちが離婚した後は引き取ってもらえた。
大学も入れたし、就職先では従兄弟のユウキ先輩と会えて可愛がってもらえた。仕事もまあまあできている。文句なしだ。
――でもこの幸運はオレのものじゃない。
本当ならお兄ちゃんが持ってるべき力だったはずだ。
「ばいばい、お兄ちゃん……」
歩道橋の下にパトカーが到着する。
オレと一緒に落ちかけた母親は呆然自失としてたが、駆けつけた警官たちが周りの見物客から撮影動画付きで事情を説明されると、その場で逮捕されてパトカーに押し込められた。
「君のお袋さんなんだって? 悪いが署で事情を聞かせてもらえるかい?」
「……はい。あの、母の件は弁護士を入れてますので呼んでもいいですか?」
母方の伯父さんは資産家の金持ちだから、顧問弁護士がいる。両親の離婚を担当してくれた先生で、オレも今でも世話になってる人だ。
あとはお兄ちゃんが言ってた通り、伯父さん本人と、――ゲンキ伯父さんも呼ぼう。
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通話する声は震えてたけど、オレには確信があった。
――悪夢はもう、終わったんだ。
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僕が再び次元の狭間に戻ってくると、もうユウ君はいなかった。
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LEDセイバーをカチカチ操作して元の十四歳に戻ろうとした。
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今の大人の姿は二十代前半くらいかな。神人のジューアお姉さんに言われて、勇者として冒険者活動するのに一番適した年齢と体格だ。
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