▶︎【R18】天塚桃李〜四人の龍王様の嫁になりました〜

mimimi456/都古

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第十三話 天帝

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雅豊かな雅楽の音も、舞も無く。

ただ粛々と、厳かに。
天塚神社の神主であり、天塚桃李の養祖父が低く祝詞を唱え始めた。

「掛けまくも畏き 天塚大神の御祖 高天原にて禊ぎ祓へ給ひし時に 誓ひし四龍 仙桃妃をば御地に護り給ひ... ...」

神前より向かって右に、四龍が袴を着て座っている。
同じく左には、白無垢を纏った桃李と直衣姿の友康。

この場と、この身を先ず清めることから儀式は始まった。

「諸々の禍事・罪・穢 有らむをば 祓へ給へ清め給へと白すことの... ...」


「来るよ。」

「おう。」

やがで、祖父が柏手を打ち、一礼。

2つ目の祝詞が始まった。


「天と地に御働きを現し給う龍王は
大宇宙根源の御祖の御使いにして 一切を産み一切を育て... ...」

突如、真っ青に晴れ渡っていた空に曇天雷雨が現れ始めた。

「すげぇ」

木々がざわっと揺れ風は漲る程に吹き荒れ始めていく。

「萬物を御支配あらせ給う王神なれば
一ニ三四五六七八九十の十種の御寶を... ...」


遠くで、祖父の祝詞を唱える声がする。
白無垢のせいか、桃李は前がよく見えていない。
それどころか、次第に頭が重くなっている様な気がする。


"そう言えば、友康の声がしな、ぃ... ..."

ドサッ、と何処かで何かが倒れる音がした。
それでもまだ、祖父の祝詞の声が聞こえてくる。

"なんでかな。すごく眠くなってきた...じーちゃん。
ばーちゃん、ともやす...どこいったんだ。"


桃李は霞む意識と、重い頭で
自分の名前を叫ぶ声を確かに聞いたーーー

「ばーちゃ、ん...」


◯◯◯◯◯◯◯


声がする。
聞き覚えのある優しい声と大好きなお話。

「昔々。ひとをお創りになって、大切に育ててくれた神様とその1番偉い神様が、私たちの住む地球を悪いものから守ってくれることになりました。」


それは、桃のお姫様の物語。

「そこで4匹のとっても綺麗な龍が選ばれました。
この4匹の龍は、1つずつ持っているたった1つの宝物を
地球に来る時、1番偉い神様に預けて来ました。」

"この声だれだ...け?"

「大切な物を預けて来てしまった龍たちですが、寂しくて、切なくて時々泣き出してしまいました。
それでも、1番偉い神様と約束したので寂しくても我慢して、地球を悪いものから一生懸命に守りました。」


"ばーちゃん...?"

「時には、痛くてたまらない程の大怪我もしました。
それでも、龍たちは約束したので、痛いのも、寂しいのも我慢してまた、一生懸命に地球を守り続けました。
そんな4匹の龍を、あなたは守れますか?」


"え。"

「4匹の龍は、とても優しく、とても勇敢で、とても賢く、とても一途な生き物です。
どれだけ痛くとも、どれだけ寂しくとも4匹の龍たちは人々を守ってあげました。
では、この4匹の龍たちをあなたは守ってあげられますか?」


"これは、この声は...まさか天帝っ、!?"



ハッと、目を覚ました桃李は、
目覚めてもまだ、真っ白な空間にいた。

右も左も、上も下も前も後ろも真っ白な世界。

そこに、たった一人で立っていた。


「あなたは、守ってあげられますか?」

まるでエコーがかかった様に
その台詞だけが響き続けている。

「あなたは、寂しい龍を守ってあげられますか?」

「あなたは、痛がる龍を守ってあげられますか?」

「あなたは、苦しがる龍を守ってあげられますか?」

「あなたは、孤独な龍を守ってあげられますか?」


突如頭の中に、沢山の映像がフラッシュしてきた。

"くそがぁああ!"
"やめろ、騰礼!"
"義栄、そいつを止めなさいっ!"
"駄目だ、間に合わないっ、"

龍は皆、ボロボロで怪我だらけだった。

"僕じゃ、弟たちを守れない...っ、"
"もう誰も、傷を増やさないでくれ。"
"俺の、俺の作戦がいけなかったのか、"
"誰か、こいつらを...守ってくれ、!"


仁嶺、義栄、耽淵、騰礼、が
何かと、命を懸けて戦う姿が見えた。 
だが、その命はもう風前の灯火。

「やめろっ、やめてくれっ、!
傷が開いてるし、血が出てる...だろ、!」

「彼等は逃げられない。それが役目。」

「馬鹿言うな、死ぬぞ!」

映像は、まだ続いている。
四龍は、まだ戦い続けている。

「フラついて、地べたに膝まで着いてこんな状況で何を守るって言うんだよ!」

「あなたを。」

「何だ、と」

「あなたを護っているのよ、天塚桃李。」


◯◯◯◯◯◯

「翁、桃李が倒れた!目を覚まさないぞ。」

「己がすがたと変じ給いて 
自由自在に天界地界人界を治め給う... ...」

桃李は、床に突っ伏したまま微動だにしない。
それでも彼の祖父は祝詞を唱え続ける。

「仁嶺、嫗を。ここは俺がやる。」


そう言って、前に出てきたのは火を司る四龍のひとり、朱雀の名を冠する者。

名を騰礼とうれいーーー
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