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第三話
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ーーーサマエル。
それは悪魔の名前。
楽園の果実を“堕落の実”に変じた蛇。
人間を唆し命を狩るもの。
「サマエルお前、どうやって封印を解いた。なぜそんな名前を名乗っている!」
サマエル、自称サミュエル・ヴィーチェはやれやれと言った風で首を振って神父様見遣る。
「お前と話す気は無いよ、大っ嫌いな偽善者どもめ。僕はこの可愛いマリーと話がしたいんだから。」
「そんな事させるか!」
神父は小さな瓶を取り出して、サマエルへ強く投げ付けた。瓶は蓋がされていなかった。中の液体がバシャ、とサマエルに掛かると同時に神父は数珠を握りロザリオを向け、朗々と唱えた。
「”黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。あなたは…“」
その呪文は効いている様に見えた。サマエルは喉から不気味な声をあげ、がくりと膝を付いた。
そして。低く、大地を揺らすような声で笑い出したのだ。
「くくっ、ふははぁ、はぁああっ、???
お前何ソレ、そんなのでこの俺が倒せるとでも思ったのかぁ、ぁあ?笑わせてくれたぞ、ニンゲン。この俺を甘く見積もってくれた礼はしてやらないたなぁー?」
笑いながら、ソレは怒っていた。
ビキビキと指の節を鳴らし、一言ごとに空気を凍らせた。右腕を、大きく振り被ったその瞬間。
「やめてっ‼︎」
マリーの声がソレの動きを止めた。
「おや、やめてしまうのかぃマリー?これからが良いところだよぉ。このお馬鹿さんに俺の本気を判らせてあげないとねぇ?」
「だめっ、だめよサミュエル‼︎私の言う事を聞いてくれるんでしょう?そうでしょ、!?」
震える声で更に言い募るマリーにサミュエルはにぃ、と笑って急にその手を引っ込めた。
「そうだね。そうだよマリー!こんなゴミ虫の相手よりも俺を助けてくれたマリーのお願い事を聞いてあげなくちゃ。」
にこにこと今度は楽しそうな顔でマリーに近付いて、跪いた。
「マリー。俺を助けてくれてありがとう。こんなカビ臭くて埃だらけの場所から出してくれて。ほんと、ありがとうマリー。」
その姿は、やっぱり紳士的でマリーの目を真っ直ぐに見ている。そこに悪魔と呼ばれるような邪な影は見当たらない。
「ねぇ、マリー。俺はこんなとこ、もううんざりなんだけどマリーはどうする?ここは毎日、退屈ばかりだろう?俺と国中を旅するのはどうだ、名案だろ。」
「えぇ、いいわ。でも条件を出してもいい?」
「条件?そうだなぁ、難しくないと良いんだけなぁ、教えてくれるかい?」
それは悪魔の名前。
楽園の果実を“堕落の実”に変じた蛇。
人間を唆し命を狩るもの。
「サマエルお前、どうやって封印を解いた。なぜそんな名前を名乗っている!」
サマエル、自称サミュエル・ヴィーチェはやれやれと言った風で首を振って神父様見遣る。
「お前と話す気は無いよ、大っ嫌いな偽善者どもめ。僕はこの可愛いマリーと話がしたいんだから。」
「そんな事させるか!」
神父は小さな瓶を取り出して、サマエルへ強く投げ付けた。瓶は蓋がされていなかった。中の液体がバシャ、とサマエルに掛かると同時に神父は数珠を握りロザリオを向け、朗々と唱えた。
「”黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。あなたは…“」
その呪文は効いている様に見えた。サマエルは喉から不気味な声をあげ、がくりと膝を付いた。
そして。低く、大地を揺らすような声で笑い出したのだ。
「くくっ、ふははぁ、はぁああっ、???
お前何ソレ、そんなのでこの俺が倒せるとでも思ったのかぁ、ぁあ?笑わせてくれたぞ、ニンゲン。この俺を甘く見積もってくれた礼はしてやらないたなぁー?」
笑いながら、ソレは怒っていた。
ビキビキと指の節を鳴らし、一言ごとに空気を凍らせた。右腕を、大きく振り被ったその瞬間。
「やめてっ‼︎」
マリーの声がソレの動きを止めた。
「おや、やめてしまうのかぃマリー?これからが良いところだよぉ。このお馬鹿さんに俺の本気を判らせてあげないとねぇ?」
「だめっ、だめよサミュエル‼︎私の言う事を聞いてくれるんでしょう?そうでしょ、!?」
震える声で更に言い募るマリーにサミュエルはにぃ、と笑って急にその手を引っ込めた。
「そうだね。そうだよマリー!こんなゴミ虫の相手よりも俺を助けてくれたマリーのお願い事を聞いてあげなくちゃ。」
にこにこと今度は楽しそうな顔でマリーに近付いて、跪いた。
「マリー。俺を助けてくれてありがとう。こんなカビ臭くて埃だらけの場所から出してくれて。ほんと、ありがとうマリー。」
その姿は、やっぱり紳士的でマリーの目を真っ直ぐに見ている。そこに悪魔と呼ばれるような邪な影は見当たらない。
「ねぇ、マリー。俺はこんなとこ、もううんざりなんだけどマリーはどうする?ここは毎日、退屈ばかりだろう?俺と国中を旅するのはどうだ、名案だろ。」
「えぇ、いいわ。でも条件を出してもいい?」
「条件?そうだなぁ、難しくないと良いんだけなぁ、教えてくれるかい?」
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