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本編'24
2月23日 (1*
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雨降ってる。
でも、素肌でなぞるシーツが気持ち良い。
まだ朝なのに俺は何も着ないままベッドに居る。
昨日の夜約束した。
明日の朝になったら、始めようって。
それで今、寝室に居ない二人は俺の下着をどれにするか言い争ってる。
うるさいしめんどくさい。
だから、勝手に始める事にした。
ひと通り恥ずかしい拘束具は此処に揃ってる。
寝室のチェストだ。ゴロゴロ出てくる。
そこから3個選ぶ。
一つハーネスの上下
只の幅のある布紐に首と胸を通して行く。
Vネックの様な姿を見せる胸元には、リングが付いている。
痛くは無いし苦しくも無い。このリングも体重が掛かっても大丈夫な程に薄い。
下はシャツガーターに似てる。
腰から太腿に革が伸びて、膝の辺りでで二重の輪になっている。
これで良い。
あとは、両足首に拘束具を巻いていく。
前に使った手枷同様、内側にファーが付いたベルト式で、自分で心地良い締め付けを探してバックルを通す。
「んっ、」
最後のひとつはこれだ。
60センチのシルバーの鎖。大丈夫。アルミだから凄く軽い。
これを、足首のベルトに繋ぐ。
あとは、手枷と首輪をすれば完璧だけど。
流石に一人では着けて楽しい訳もなく。ここまでにする。
「ふぅ... っ、♡」
こんな格好でリビングまで歩けるのか。
試しにベッドを降りてみる。
チャリ、と鎖にしては軽い音がする。
「あ...っ、と♡」
今まで、これで家の中を歩いた事は無い。
60センチって案外短いんだな。ちょっと歩きずらい。
あとは、そろそろ暖かくなって来たからと洗い直した紺色のタオルケットを全身に羽織る。
「よし。行こう」
ちまちま、歩いて寝室を出た。
廊下がなんだか長い...な、全然進めてる気がしない。
しかも音がする。これは予想外だが、もう引き返せない。
「ぁ、うわ...っ、!?」
難しい。
小さく歩くと躓くし、大きくし過ぎると転ぶ。
「良悟?どうかした?」
「大丈夫、か...」
あ。どうする。
勢いだけで来たから、言う事何も考えて無かったな...っ、
でも、タオルケット羽織ってるからって、中身がハーネスだとは限らない筈だ。
「もしかして着替えたの良悟?」
「パジャマかも知れないだろっ、」
「ふっ、それにしては良い物が見えてるぞ。」
陸也がトントン、と自分の首元を指した。
あ。首のハーネス...が見えたんだ。
「見ても良いっ、けど...此処じゃ嫌だ。」
「そうだな。ベッドに戻るか?」
陸也が数歩リビングからこっちに来た。
俺は首を振って断った。
せっかく苦労して歩いたのに、また寝室に戻るのはいやだっ。
「じゃあリビングにおいで良悟。」
うん、とは言ったけど。
これはさっきまでとは違う。
此処で今、一歩進むと多分二人は気付く。
だって、明らかに普段より小さい歩幅で、何より音がする筈っ、
でも、歩かないのも変だし。
座り込むのも無理だ。
最悪心配されて抱っこになってバレるのも恥ずかしい、
「あ、のっ」
「ん?」
「決めて欲しい。俺が陸也に抱っこされるか、自分でリビングまで歩いて行くのか。俺には、決められない...っ、」
ギュっ、とタオルケットを握り締める。
どっちにしろ恥ずかしいなら、二人が見たい方にするっ。
「じゃあ。歩いて良悟。そしたらベッドまで陸也に運んで貰う。どう?」
「賛成だな。」
「わ、分かった、えっと。転ばないように気を付けるから、なるべく手を出さないでほしい...」
「オーケー。」
「気を付けてな。」
「はぁ...っ、ふぅ、♡」
息が乱れる。
別に体内に何か仕込んでる訳じゃ無い。
羽織ったタオルケットの下に、ハーネスと足枷と鎖を嵌めてるだけ。
一歩、踏み出せばこんな緊張、すぐおわるっ、
チャリ。
ズズ、チャリ...チャリ。
ズズズ、チャリ。チャリ。チャリ。
「は、ぁ...っ、♡」
鎖の音がした。
途端、家中の空気がピンーッと張り詰めた様な気がした。
一足俺が廊下を進むごとに、二人の視線が突き刺さって来る。
「んっ、ん...っ、はぁっ♡」
チャリ...チャリ。チャリ。チャリ。
陸也の横を通り過ぎ和己の肩を掠めそうになる程、辿々しく歩いて。
漸くリビングのドアを抜けた。
「着いた...っ、何処に座れば良いっ?」
「座る前に。何時もの約束をしよう良悟。」
「そうだな。急ごう。今ので俺の理性も危うい。」
「分かった...っ。」
一つ 無理だと思ったらやめる
一つ 嫌だと思ったらやめる
一つ 言いたい事は言って良い
「俺は理解して、納得した。」
「今日のセーフワードは。」
「"狐の嫁入り"」
「じゃあ、始めようか。」
ーーーーー
陸也の腕に抱き上げられ寝室に向かった後、俺を繋ぐ鎖はもう一本増えた。
抱えられたままリクがたっぷりキスをくれて。
カズが何処から出して来たのか、ピンクの丸いラグを敷いた。
前言ってたフェイクファーはこれか。
そっと下ろされても、キスは続く。
「首輪嵌めるから、上向いて良悟。」
「んぅっ、♡」
デカいリクの手に掴まれた顎は、角度を付け上向きになった。
そのまま固定するつもりらしく、少し力が入ってる。
ドキッとして思わず甘えたような声が出た。
二人に息で笑われながら、首輪をしてベルトがバックルを通る。
それから。
カズがパチンッと手に持っていたフックを掛けた。
「出来たよ。大人しく出来て偉いね良悟。」
ジャラッと金属の音がする。
足枷と同じアルミ素材の鎖が、俺の首輪に繋がった。
「リードはリクに持ってて貰おうね。良い?」
返事は態度で示す。
しっかり頷いて、理解している事を示す。
鎖の先に着いたストラップがリクに渡される。
受け取ってリクが右手を輪に通し、ストラップと鎖の付け根を少し弛ませグッと握るのを見た。
「嬉しいか?」
嬉しい。嬉しいに決まってる、前も後ろもきゅってなった。
差し出されたリードを握り込む右手に、頬を寄せた。
すりすりして、甘えるように食む。
「可愛いねー。」
カズも俺を見てる。
しゃがみ込んで、甘える俺を見てた。
目が合うと微笑んでくれたから、俺も。
顎を上げて目を瞑る。
お願い。お願い。お願いっ、♡
「キスのおねだり?俺で良いの?」
良いに決まってる。
目を瞑ってるから分からないけど、俺は大きく頷いて見せた。
くれたのは、吸い付く様なキス。
1秒で合わさって、2秒目で吸って、3秒でゆっくり離れて行く。
そんなキスが5回ほどあって、ゾクゾクとした波が下から上へ。
肩先まで震わせる俺に与えられた次の指示は。
【おすわり】と【見て】
何時ものおすわりで、見せられたのは。
椅子を持って来たリクの膝に跨って、俺の知らないキスをする二人の姿だった。
無言で、荒い息と唾液の混ざる音。
俺の時とは違う、お互いに噛みつく様なキス。
良いな、良いな...っ、俺もっ、
リクが握る長いリードが床に垂れてる。
右手で俺を握ってるくせに、左手はカズの腰を抱いてる。
「俺も...っ、!」
言い付けを守れなくて叱られるかもしれないっ、
おすわりって言われたけど、俺も一緒に居たい、
「あは、寂しくなった?」
「大丈夫だぞ良悟。」
二人が俺の頭と顎をぐしゃぐしゃ、さりさり撫でてくれる。
違うっ、それも欲しいけど、俺が欲しいのはもっと違うやつだ。
目を閉じて、はくっ、と口を開ける。
態度で示す。
口を開けたのは、ベロのちゅーがして欲しいの合図。
「んなっ、!?」
突然、首輪が引かれ変な声が出た。
「ステイだ良悟。」
「リク、ひどいなぁ。あんなに一生懸命キスして欲しがってるのに。」
「ダメだ。最近甘やかし過ぎだぞ。」
カズが叱られながら膝から降りてる。
ドサっと座ったのは寝室のど真ん中にあるベッドだ。
俺は床に敷いたラグの上なのに。
リクは椅子に座って、足を組んでる。
さっきクンッと引かれたリードを握って、カズと話してる。
もしかして。このフェイクファーのラグは、あれか。
犬のベッドで、この首輪とリードは文字通りで、あれ?
俺は...ほんとうに、二人のペットになったんじゃないのか。
裸にハーネスと足枷、首輪にリードに鎖まで付けて。
おすわりと、待てが出来る。
ふわっ、と脳味噌が揺らいだ気がして。
同時に胸を締め付けてくる、ぎゅっとしたこの感情を俺は知ってる。
「良悟?」
「ん... ...っ。♡」
「あれま、ふわふわだね。にこにこになっちゃったの良悟?」
「ん。♡」
「カズ、写真撮った方が良いんじゃないか。」
「あ、言ったらダメだって、あぁーほら、睨んでるっ」
「ふっ、それも可愛いだけだぞ。」
ーーーーー
俺達の良悟が、にこにこしてる。
今までにも何度も見た顔だ。
かなり機嫌が良くて、完璧に安心した時にしか見られない。
目が澄んでて、口角が両方緩やかに上がって、眉尻が垂れてる。
仔犬みたいなこの表情が堪らなく可愛い。
何時もの哀愁も、不器用さもどっか行っちゃったみたいに微笑んでたのに。
それを写真に撮られるのは凄く嫌がって、ジト目になってる。
遊びに誘う人間を、気分じゃないってあしらう柴みたい。
可愛いね。
何が引き金になったのかね。
「良悟。」
「ん。♡」
「何がご機嫌になったの?教えて欲しいな。」
今日の良悟はかなり調子が良い。
普通の健康な人間みたいに見える。
今朝、明らかに丸い肩にタオルケットを羽織り、ハーネスを着て、鎖まで付けて歩いて来た時は膝から崩れ落ちそうだった。
自分でお散歩リードを持ってくる黒柴を俺は見た。
雨が降ってるから合羽まで着て来たのかと思うとニヤニヤしそうだった。
「俺だけ床に座ってるの、ちゃんとしたペットみたいだ...。」
「嬉しい?」
「嬉しい...♡」
「首輪とリード着いてるのに?」
それでも良悟はまた、嬉しいって言う。
「リクもカズもペットを捨てたりしない。ちゃんと可愛がってくれる。俺も二人のペットなら、ちゃんと可愛いがって貰える...♡」
「可愛い。」
「名札買うか。」
「ドッグタグね。賛成。俺、小さい鈴買うわ。」
「鈴?」
「首輪に付けたら、チリチリ鳴ると思うんだよね。」
「良いな。」
「... ... 冷たいのはいやだ。」
「冷たくない名札なら、着けてくれるか?」
「煩くない鈴も付けて良い?」
良悟はコテン、と首を傾げて微笑んだ。
「楽しみにしとく。♡」
でも、素肌でなぞるシーツが気持ち良い。
まだ朝なのに俺は何も着ないままベッドに居る。
昨日の夜約束した。
明日の朝になったら、始めようって。
それで今、寝室に居ない二人は俺の下着をどれにするか言い争ってる。
うるさいしめんどくさい。
だから、勝手に始める事にした。
ひと通り恥ずかしい拘束具は此処に揃ってる。
寝室のチェストだ。ゴロゴロ出てくる。
そこから3個選ぶ。
一つハーネスの上下
只の幅のある布紐に首と胸を通して行く。
Vネックの様な姿を見せる胸元には、リングが付いている。
痛くは無いし苦しくも無い。このリングも体重が掛かっても大丈夫な程に薄い。
下はシャツガーターに似てる。
腰から太腿に革が伸びて、膝の辺りでで二重の輪になっている。
これで良い。
あとは、両足首に拘束具を巻いていく。
前に使った手枷同様、内側にファーが付いたベルト式で、自分で心地良い締め付けを探してバックルを通す。
「んっ、」
最後のひとつはこれだ。
60センチのシルバーの鎖。大丈夫。アルミだから凄く軽い。
これを、足首のベルトに繋ぐ。
あとは、手枷と首輪をすれば完璧だけど。
流石に一人では着けて楽しい訳もなく。ここまでにする。
「ふぅ... っ、♡」
こんな格好でリビングまで歩けるのか。
試しにベッドを降りてみる。
チャリ、と鎖にしては軽い音がする。
「あ...っ、と♡」
今まで、これで家の中を歩いた事は無い。
60センチって案外短いんだな。ちょっと歩きずらい。
あとは、そろそろ暖かくなって来たからと洗い直した紺色のタオルケットを全身に羽織る。
「よし。行こう」
ちまちま、歩いて寝室を出た。
廊下がなんだか長い...な、全然進めてる気がしない。
しかも音がする。これは予想外だが、もう引き返せない。
「ぁ、うわ...っ、!?」
難しい。
小さく歩くと躓くし、大きくし過ぎると転ぶ。
「良悟?どうかした?」
「大丈夫、か...」
あ。どうする。
勢いだけで来たから、言う事何も考えて無かったな...っ、
でも、タオルケット羽織ってるからって、中身がハーネスだとは限らない筈だ。
「もしかして着替えたの良悟?」
「パジャマかも知れないだろっ、」
「ふっ、それにしては良い物が見えてるぞ。」
陸也がトントン、と自分の首元を指した。
あ。首のハーネス...が見えたんだ。
「見ても良いっ、けど...此処じゃ嫌だ。」
「そうだな。ベッドに戻るか?」
陸也が数歩リビングからこっちに来た。
俺は首を振って断った。
せっかく苦労して歩いたのに、また寝室に戻るのはいやだっ。
「じゃあリビングにおいで良悟。」
うん、とは言ったけど。
これはさっきまでとは違う。
此処で今、一歩進むと多分二人は気付く。
だって、明らかに普段より小さい歩幅で、何より音がする筈っ、
でも、歩かないのも変だし。
座り込むのも無理だ。
最悪心配されて抱っこになってバレるのも恥ずかしい、
「あ、のっ」
「ん?」
「決めて欲しい。俺が陸也に抱っこされるか、自分でリビングまで歩いて行くのか。俺には、決められない...っ、」
ギュっ、とタオルケットを握り締める。
どっちにしろ恥ずかしいなら、二人が見たい方にするっ。
「じゃあ。歩いて良悟。そしたらベッドまで陸也に運んで貰う。どう?」
「賛成だな。」
「わ、分かった、えっと。転ばないように気を付けるから、なるべく手を出さないでほしい...」
「オーケー。」
「気を付けてな。」
「はぁ...っ、ふぅ、♡」
息が乱れる。
別に体内に何か仕込んでる訳じゃ無い。
羽織ったタオルケットの下に、ハーネスと足枷と鎖を嵌めてるだけ。
一歩、踏み出せばこんな緊張、すぐおわるっ、
チャリ。
ズズ、チャリ...チャリ。
ズズズ、チャリ。チャリ。チャリ。
「は、ぁ...っ、♡」
鎖の音がした。
途端、家中の空気がピンーッと張り詰めた様な気がした。
一足俺が廊下を進むごとに、二人の視線が突き刺さって来る。
「んっ、ん...っ、はぁっ♡」
チャリ...チャリ。チャリ。チャリ。
陸也の横を通り過ぎ和己の肩を掠めそうになる程、辿々しく歩いて。
漸くリビングのドアを抜けた。
「着いた...っ、何処に座れば良いっ?」
「座る前に。何時もの約束をしよう良悟。」
「そうだな。急ごう。今ので俺の理性も危うい。」
「分かった...っ。」
一つ 無理だと思ったらやめる
一つ 嫌だと思ったらやめる
一つ 言いたい事は言って良い
「俺は理解して、納得した。」
「今日のセーフワードは。」
「"狐の嫁入り"」
「じゃあ、始めようか。」
ーーーーー
陸也の腕に抱き上げられ寝室に向かった後、俺を繋ぐ鎖はもう一本増えた。
抱えられたままリクがたっぷりキスをくれて。
カズが何処から出して来たのか、ピンクの丸いラグを敷いた。
前言ってたフェイクファーはこれか。
そっと下ろされても、キスは続く。
「首輪嵌めるから、上向いて良悟。」
「んぅっ、♡」
デカいリクの手に掴まれた顎は、角度を付け上向きになった。
そのまま固定するつもりらしく、少し力が入ってる。
ドキッとして思わず甘えたような声が出た。
二人に息で笑われながら、首輪をしてベルトがバックルを通る。
それから。
カズがパチンッと手に持っていたフックを掛けた。
「出来たよ。大人しく出来て偉いね良悟。」
ジャラッと金属の音がする。
足枷と同じアルミ素材の鎖が、俺の首輪に繋がった。
「リードはリクに持ってて貰おうね。良い?」
返事は態度で示す。
しっかり頷いて、理解している事を示す。
鎖の先に着いたストラップがリクに渡される。
受け取ってリクが右手を輪に通し、ストラップと鎖の付け根を少し弛ませグッと握るのを見た。
「嬉しいか?」
嬉しい。嬉しいに決まってる、前も後ろもきゅってなった。
差し出されたリードを握り込む右手に、頬を寄せた。
すりすりして、甘えるように食む。
「可愛いねー。」
カズも俺を見てる。
しゃがみ込んで、甘える俺を見てた。
目が合うと微笑んでくれたから、俺も。
顎を上げて目を瞑る。
お願い。お願い。お願いっ、♡
「キスのおねだり?俺で良いの?」
良いに決まってる。
目を瞑ってるから分からないけど、俺は大きく頷いて見せた。
くれたのは、吸い付く様なキス。
1秒で合わさって、2秒目で吸って、3秒でゆっくり離れて行く。
そんなキスが5回ほどあって、ゾクゾクとした波が下から上へ。
肩先まで震わせる俺に与えられた次の指示は。
【おすわり】と【見て】
何時ものおすわりで、見せられたのは。
椅子を持って来たリクの膝に跨って、俺の知らないキスをする二人の姿だった。
無言で、荒い息と唾液の混ざる音。
俺の時とは違う、お互いに噛みつく様なキス。
良いな、良いな...っ、俺もっ、
リクが握る長いリードが床に垂れてる。
右手で俺を握ってるくせに、左手はカズの腰を抱いてる。
「俺も...っ、!」
言い付けを守れなくて叱られるかもしれないっ、
おすわりって言われたけど、俺も一緒に居たい、
「あは、寂しくなった?」
「大丈夫だぞ良悟。」
二人が俺の頭と顎をぐしゃぐしゃ、さりさり撫でてくれる。
違うっ、それも欲しいけど、俺が欲しいのはもっと違うやつだ。
目を閉じて、はくっ、と口を開ける。
態度で示す。
口を開けたのは、ベロのちゅーがして欲しいの合図。
「んなっ、!?」
突然、首輪が引かれ変な声が出た。
「ステイだ良悟。」
「リク、ひどいなぁ。あんなに一生懸命キスして欲しがってるのに。」
「ダメだ。最近甘やかし過ぎだぞ。」
カズが叱られながら膝から降りてる。
ドサっと座ったのは寝室のど真ん中にあるベッドだ。
俺は床に敷いたラグの上なのに。
リクは椅子に座って、足を組んでる。
さっきクンッと引かれたリードを握って、カズと話してる。
もしかして。このフェイクファーのラグは、あれか。
犬のベッドで、この首輪とリードは文字通りで、あれ?
俺は...ほんとうに、二人のペットになったんじゃないのか。
裸にハーネスと足枷、首輪にリードに鎖まで付けて。
おすわりと、待てが出来る。
ふわっ、と脳味噌が揺らいだ気がして。
同時に胸を締め付けてくる、ぎゅっとしたこの感情を俺は知ってる。
「良悟?」
「ん... ...っ。♡」
「あれま、ふわふわだね。にこにこになっちゃったの良悟?」
「ん。♡」
「カズ、写真撮った方が良いんじゃないか。」
「あ、言ったらダメだって、あぁーほら、睨んでるっ」
「ふっ、それも可愛いだけだぞ。」
ーーーーー
俺達の良悟が、にこにこしてる。
今までにも何度も見た顔だ。
かなり機嫌が良くて、完璧に安心した時にしか見られない。
目が澄んでて、口角が両方緩やかに上がって、眉尻が垂れてる。
仔犬みたいなこの表情が堪らなく可愛い。
何時もの哀愁も、不器用さもどっか行っちゃったみたいに微笑んでたのに。
それを写真に撮られるのは凄く嫌がって、ジト目になってる。
遊びに誘う人間を、気分じゃないってあしらう柴みたい。
可愛いね。
何が引き金になったのかね。
「良悟。」
「ん。♡」
「何がご機嫌になったの?教えて欲しいな。」
今日の良悟はかなり調子が良い。
普通の健康な人間みたいに見える。
今朝、明らかに丸い肩にタオルケットを羽織り、ハーネスを着て、鎖まで付けて歩いて来た時は膝から崩れ落ちそうだった。
自分でお散歩リードを持ってくる黒柴を俺は見た。
雨が降ってるから合羽まで着て来たのかと思うとニヤニヤしそうだった。
「俺だけ床に座ってるの、ちゃんとしたペットみたいだ...。」
「嬉しい?」
「嬉しい...♡」
「首輪とリード着いてるのに?」
それでも良悟はまた、嬉しいって言う。
「リクもカズもペットを捨てたりしない。ちゃんと可愛がってくれる。俺も二人のペットなら、ちゃんと可愛いがって貰える...♡」
「可愛い。」
「名札買うか。」
「ドッグタグね。賛成。俺、小さい鈴買うわ。」
「鈴?」
「首輪に付けたら、チリチリ鳴ると思うんだよね。」
「良いな。」
「... ... 冷たいのはいやだ。」
「冷たくない名札なら、着けてくれるか?」
「煩くない鈴も付けて良い?」
良悟はコテン、と首を傾げて微笑んだ。
「楽しみにしとく。♡」
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